「詳細情報を知れば知るほど腐臭が強い公務員という仕組み」
行政
2010年8月23日 月曜日
人間のあらゆる行動は自分の生命や身体がまず優先され、次に自分のカネが増えるか、減るかという経済基準に基づいています。
それは、利益共同体においても同じことです。利益共同体にいる限りはその組織を維持し、発展させようという動機が存在します。その次にどれだけの利益が組織から得られるか、ということになります。
しかし、個人の利益と共同体の利益がぶつかり合うとき、個人は利益共同体から離れるか、適当に利益だけを享受できるような精神的紐帯の弱い形でつながりを維持しようとします。しかし組織じたいを潰そうとは考えません。
だから利益を得ている限りは、誰も存続を廃止しようとは考えない、その結果が赤字でも存続できる無競争という状況を作りだしています。
〜〜読売オンライン8月23日引用〜〜
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100823-OYT1T00013.htm?from=top
共済経営のKKRホテル、国が赤字補填177億
財務省所管の「国家公務員共済組合連合会」(本部・東京都千代田区)が、各地で経営する「KKRホテル」の赤字補填(ほてん)のため、公費である国の拠出金を充てていることが、同省の資料で分かった。
2000年度から09年度の10年間では毎年15億〜21億円程度を補填し、計177億円に上る。共済ホテルを巡っては、総務省所管の「地方公務員共済組合」が赤字ホテルに対し、04年度から5年間で自治体の拠出金193億円を充てていたことが明らかになっており、国家公務員の共済組合でも同じ構図が浮き彫りになった。
財務省の資料などによると、補填は同連合会が共済年金を主な原資にホテルを建て始めた1958年度から続き、総額で442億円に上る。2009年度は赤字の24施設に15億円を補填した。同省は具体的なホテル名を明らかにしていない。
補填は、主に人間ドック受診費など、組合員の健康増進関連の経費からの繰り入れ名目で行われてきた。この経費は国の拠出金と組合員の積立金とで折半している。
KKRホテルは東京、京都、大阪など29都道府県に43施設を数える。1960年代には約80施設あったが、2年連続営業収支がマイナスで、3年目も改善の見通しが立たない施設は閉鎖してきた。
ただ、営業収支が黒字でも、建設費などの減価償却で経常収支が赤字の場合は補填の対象とし、営業を続けてきた。
補填について、財務省給与共済課は「赤字のホテルへの公費投入は当初から経営の前提条件。組合員はホテルに割引料金で宿泊できるので、公務員の福祉には必要。問題ない」と話す。
地方公務員共済組合による赤字ホテルへの公費補填では、原口総務相が7月23日の記者会見で「独立採算による運営が原則」と述べ、見直す姿勢を示した。
財務省の方針に、総務省の担当者は「他省のことなのでコメントできない」としているが、土居丈朗慶応大教授(財政学)は「公的組織が運営するホテルへの公費投入は、形を変えた公務員給与。国や地方からの資金提供を絶ち、独立採算に改めるべきだ」と指摘している。
国家公務員共済組合連合会=国家公務員を組合員に、年金運用や福利厚生業務を行う共済組織。警察庁所管の警察共済組合を除く1府11省や裁判所など、計20の共済組合で構成する。組合員は現在約105万人。
〜〜引用終わり〜〜
国家公務員共済組合連合会は以下の共済組合の連合体であり、の公務員の職員の共済事業を行うところです。
http://www.kkr.or.jp/soumu/enkaku.htm
衆議院共済組合
参議院共済組合
内閣共済組合
総務省共済組合
法務省共済組合
外務省共済組合
財務省共済組合
文部科学省共済組合
厚生労働省共済組合
農林水産省共済組合
経済産業省共済組合
国土交通省共済組合
裁判所共済組合
会計検査院共済組合
防衛省共済組合
刑務共済組合
厚生労働省第二共済組合
林野庁共済組合
日本郵政共済組合
国家公務員共済組合連合会職員共済組合
ふと気がつきましたが、環境省の職員は対象になっていません。ということはこれとは別に共済事業をしているところがある、ということです。 そのほかにも厚生労働省第二共済組合があるということは、そのほかに第一共済組合もある(?)ってことですか。また、日本郵政がここに入っていることは解せません。
大マスコミの記者のみなさま、こういうことは記者クラブで上から与えられる情報にはありません、自分の足で取材しなければわからないと思いますが・・・、いかがでしょうか。
まだまだ事実上の公務員に対する優遇はたくさんあるのでしょう。それが国家組織を蝕み、公務員の質を下げていることに気付かなければならないのですが、そんな気配はまったくありません。
どういうことか(?)
企業の場合、いい製品を作って売り込みに行っても、ウチはおたくとは系列が違うから、とか、前に他の企業に頼んでいるから、などの理由で断られることはよくあります。
それは、産業で使うあらゆる製品に及びます。では、同じ系列だと安いのか、あるいはもっと性能がいいのか、というとそんなことはありません。むしろ高くて性能が悪い、というほうが多いのではないでしょうか。
こんな営業をしていて、よりよい製品作りができるわけがありません。系列だというのはこの時点では強みでありますが、その強みで販売するようになると、営業への努力をしなくなります。「営業なんてこんなもの」と思うようになるわけです。
反対に、系列ではない独立系の会社だということで一生懸命に営業をしていれば顧客の考えていることがわかるようになるし、新しい製品づくりへのヒントが生まれることすらあります。つまり系列ではないということが弱みではなく強みになるわけです。
そして時代が変わり、系列会社が整理されることになると、営業力のない会社は成績を作ることができず淘汰されていきます。
行政というのは、競争がない社会・無競争社会で仕事をし、自分の評価を第三者からされない公務員という仕組みは、系列で仕事をしているのと同じことが、もっと大きな規模で起きているわけです。したがって「官僚が優秀」というのは神話であり、根拠がない。排他的な組織づくりをすることによって評価できない仕組みになっているだけでしょう。
これを、民間に開放し、政権党を支持する組織から人が送りこまれるようになれば、行政内部で競争が行われ、切磋琢磨される風土ができるでしょう。外からの影響力が大きくならない限り公務員という制度はかわりません。
無競争の弊害は、赤字の企業をこうしていつまでも放置しておくところにも現れています。企業であり、そこに管理があれば、赤字が出れば給付を下げるなどの対応をするものです。赤字タレ流しの経営なら誰にもできます。
「2年連続赤字」の場合は廃止、ただし減価償却が赤字でも営業利益が出ていれば補てんの対象としてきた、そうですが、ホントでしょうか。そもそも80施設が43施設になったということはそれだけ経営の見込みが甘いということでしょう。
そして、財務省はこのような無競争でも赤字をタレ流している施設は問題がなく、公務員の福祉にも必要なので問題がない、と言い放つあたりは、もう公務員と言う制度そのものをやめたほうがいい、行政廃業を選択すべきだとすら思うのです。
こういうことを平気でやるから国民は政府や行政を信頼しなくなるのです。大きな犯罪と言っていい、でしょう。
まず、施設ごとの貸借対照表と損益計算書を公開すること、他の同様な施設についても公開すること、が必要です。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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