2010年10月26日 火曜日
検察懲というところは、国民を懲らしめるために証拠の偽造まですることがわかったわけですが、今回わかったのは、偽造した証拠の廃棄を指示していたというのですから、開いた口がふさがりません。
〜〜MSN産経ニュース10月26日引用〜〜
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101026-00000500-san-soci
最高検、メモ廃棄を「指示」 大阪特捜は「従って廃棄」
厚生労働省元局長、村木厚子さん(54)の無罪が確定した郵便不正事件で大阪地検特捜部の検察官6人が取り調べメモを廃棄していた問題で、最高検が、検察官の判断でメモを速やかに廃棄するよう各高検・地検に通知していたことが25日、検察関係者への取材で分かった。通知は表向き「適正な保管」を求めていたが、補足説明として添付された内部資料は「原則廃棄」と読み取れる内容になっていた。
最高検通知は、平成19年12月の最高裁決定がメモを証拠開示の対象になると判断したことを受けて出されたとされるが、大阪地検の関係者は産経新聞の取材に「補足説明を読めば廃棄を指示しているのは明らかで、特捜部はこれに従った」と証言。最高検はメモ廃棄の経緯も対象に含めて郵便不正事件の検証を行っており、こうした通知を出しながら検証することの是非が論議を呼ぶ可能性もある。
検察関係者によると、問題の内部資料は20年7月と10月に当時の最高検刑事部長が出した通知に添付された補足説明。「不要となったメモは速やかにシュレッダーによって裁断するなど、適切な方法で廃棄することが求められている」と書かれてある。
その上で「必要性の乏しいメモを安易に保管しておくことで、無用に開示をめぐる問題が生じかねない」と指摘。供述調書の内容が公判で争われることが予想される場合以外は「プライバシー保護の観点から、安易に保管を継続せず廃棄すべきだ」と明記している。
最高検通知は表向き、捜査担当の主任検察官が起訴時にメモのつづりを作成し、公判担当に引き継ぐことなどを求めている。村木さんの公判でメモの廃棄が批判された今年3月には、大阪地検特捜部内で、通知と補足説明を証拠請求などの形で裁判官に見せ、廃棄の正当性を説明することも検討されたという。
25日会見した池上政幸・最高検刑事部長は「批判は真摯(しんし)に受け止める。検証の中で十分検討し、第三者の意見も承る」と述べた。
元判事の木谷明・法政大学法科大学院教授の話
「検察官に役立つメモ以外は廃棄するよう事実上指示しており、きわめて不適切な通知。表向きと異なる説明資料を添付した点も狡猾(こうかつ)なやり方といえる」
〜〜引用終わり〜〜
わたしたちは、普通に生きていれば検察官にお世話になることは一生に一度もないわけです。いや、大体検察官という仕事を見たこともないし、知り合いもいない。経験からモノを言うことは不可能です。検察官の経験者が、自分の見識や価値観から物事を判断した言葉を信用します。
そこで、元検察官で現在弁護士の落合洋司氏はブログでは次のように記しています。
〜〜弁護士 落合洋司(東京弁護士会)の「日々是好日」ブログ引用〜〜
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20101025
最高検 不要なメモの廃棄指示
http://www.nhk.or.jp/news/html/20101024/t10014789551000.html
NHKでは、最高検察庁が、おととし、取り調べのメモについて全国の検察庁に出した通知とその解説文を入手しました。この中で、最高検は、検察官が裁判で必要ないと判断したメモは速やかに廃棄するよう指示していたことがわかりました。解説文で、最高検は「必要性の乏しいメモを安易に保管しておくと、メモを開示するかどうかで無用な問題が生じかねない。裁判所が取り調べの状況について判断するうえで必要なメモは保管し、それ以外のメモは、プライバシー保護などの観点から速やかに廃棄すべきだ」としています。
ツイッターでもちょっとツイートしましたが、当初から起訴時まで、被疑者が一貫して自白していたように見える事件でも、公判になって争われ自白の任意性、信用性が問題になる、といったことが起きることがあります。取調べが適正に行われているのであれば、そうであるからこそ、取調べ時のメモは、適正さを裏付けるものとして貴重であり、検察官が自分勝手な判断で「必要ない」と即断して安易に捨てる、ということはできないはずです。安易に保管する、という発想自体がおかしく、安易に捨てることこそ戒められるべきでしょう。もちろん、これは取調べが適正に行われていることが前提で、そうでなければ、安易に保管するな、ということになります。
最高検の通知文書の全文は、記事でも紹介されていませんが、報道を見る限り、そういった健全な問題意識は垣間見ることすらできず、むしろ、取調べに関する問題を「無用な問題」として、取調べメモなどないほうがよいと、廃棄を推奨していたとしか読み取れません。そもそも、裁判所が判断すべき必要性を、勝手に判断するという独善性、傲慢さは大いに問題で、強く非難されるべきでしょう。
最高裁の判断で、取調べメモも証拠開示の対象になることが確立した判例になっているにもかかわらず、最高検が、このようなふざけた通知を発していたことは、取調べメモの廃棄が、検察庁による組織ぐるみの証拠隠滅として行われていたことを裏付けるもので、極めて重要かつ深刻な意味を持っていると思います。
こういった組織的な隠ぺい構造の中で、大阪地検における証拠改ざん、犯人隠避事件も起きている、それを捜査していたのが、よりにもよって最高検である、ということは、この問題の根の深さを浮き彫りにするものと言えるでしょう。
〜〜引用終わり〜〜
大方、このような見方になります。
そもそも検察官の権力には、ものすごいものがあります。逮捕状を請求し、被疑者を逮捕する権限(裁判所に逮捕状を請求するのですが裁判所は逮捕状の自動発行機だと揶揄されることもあるくらいです)、逮捕して捜査し、まだ捜査ができないので拘留期限を延長請求する権限、起訴する権限、公判では求刑し、刑罰を要求する権限等々です。
この途中で証拠が捏造されたり改竄されたりするわけです。そして、今回は、不都合な証拠は廃棄するように指示が出されていたというわけです。
検察はいつも「法と証拠に基づく捜査」と、カッコいいことを言いながら、実は「脱法と偽造・改ざんに基づく捜査」を行っていたわけです。そして、不都合な事実を証明する物証は廃棄しろ、と。
一端、検察に狙われたら、刑の執行まで覚悟しなければならない。足利事件の菅谷利和さんの例だけでなく、冤罪は数多く発生していますが、結局このような捜査をやっているのでは冤罪が起きるのは当たり前です。
検察というのは、捜査の段階で得られた証拠のすべてを出して裁判をするわけではありません。証拠のなかから犯罪を証明すると検察官が判断したものを裁判に証拠として出します。なかには事実とは逆のことを証明するような証拠もあるでしょうが、それは出しませんし、出さなくても違法ではありません。
ここまでの権限を持ちながら、さらに証拠の廃棄を要求するなど、正気の沙汰とは思えません。
まだまだ検察のヤミが解明されたとは言えないでしょう、これからも多くの検察に関するウラ情報が出てくることでしょう。
記者クラブ加盟以外の本物のジャーナリストが活躍して、検察のヤミを明るみに出して欲しいものです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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