2011年4月29日 金曜日 昭和の日
企業というものは顧客である消費者と従業員・役員と国・地方自治体、金融機関等々、社会のたくさんの利害関係者でなりたっているわけで、誰の利益を一番に考えるかが、経営者の仕事ですが、今回の東京電力の事故では被災者利益を一番に考えなければならない典型的なケースです。しかし、自分たち身内の利益を第一に考えるという初歩的な判断ミスを冒しています。東京電力の他人に犠牲を転嫁し、自己保身をはかろうとする官僚主義丸出しの対応に怒りの声です。まぁ、当然です。
本当にはコスト高の原子力発電だったわけで、これから損害賠償を含めたコストで計算された新電気料金を基本におくべきです。それは原子力発電のない沖縄電力の3倍〜5倍の電気料金を甘受すべきです。つまり管内の消費者は高い電力を購入すること、会社は人件費削減を行うなど徹底したコスト低減を行うこと、株主は株価の下落ないしは無価値化を通じて株主責任を果たすこと、政府・地方自治体は言うまでもなく無過失・無限責任です。これが東京電力の担うべき責任であるはずです。
〜〜時事ドットコム4月28日引用〜〜
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2011042800761
原発賠償、免責あり得る=報酬半減は「大変厳しい」−東電社長
東京電力の清水正孝社長は28日、福島第1原発事故の被害補償に関し、巨大災害の場合は電力会社の責任を免除する原子力損害賠償法の規定について「私どもとして、そういう理解があり得ると考えている」と述べ、東日本大震災による大津波が免責理由に該当する可能性があるとの認識を表明した。都内の本社で記者団に語った。
また、役員報酬の50%カットを決めた東電の姿勢を海江田万里経済産業相が生ぬるいと批判したことに対し、「大変厳しい(リストラ策)と考えている」と反論。ただ、今後の対応は「未定」として、さらなる減額などに含みを持たせた。(2011/04/28-17:15)
〜〜引用終わり〜〜
原子力損害賠償法は次のように規定しています。
(無過失責任、責任の集中等)
第3条 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。
ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
2 (略)
この但し書きに基づいて想定外の津波によって原子力事故が起きた、「だから損害の賠償の責めは負わない」と主張するつもりのようです。
「想定外」という言葉を使えば想定外の事実認定が行われるかのような無責任な抽象的な態度には怒りを感じますが、ここは冷静に、国民は今具体的に何をしなければならないか、を考えましょう。
そもそも何かモノを作る場合には一定の想定しなければ施設建設はできません。たとえば震度7を想定すれば震度7に耐えられる設計をすることになります(品質目標)。
次に、その設計図を基に実際に製造をするわけですが、製造部門としての震度7に耐えられる製品としなければなりません(品質標準)。設計では30センチのコンクリートの厚さを製造現場で勝手に20センチにしてはいけません。
製品ができあがれば検査が行われます。検査で本当に震度7に耐えられることが証明されなければお客様に製品を提供できません。これが検査基準です。
そして、このようなプロセスを経て、最後にお客様に提供され使用される震度7に耐えられるスペックを持った製品として提供できます。これが保証品質です。
設計―製造―検査―使用という、それぞれの場面でその場面での品質管理が行われるわけですが、想定外というのは、このどこにも想定がされていない場合をいいます。想定されて設計されていれば想定外とはいいません。また、想定していなければならないのに想定していなかったことも当然ですが想定外ではありません。法律的にいえば過失です。
さて、これらのそれぞれの段階で東京電力は想定外という安全地帯に逃げ込む予定のようですが、現在でている情報ですら
1、津波による被害により原子炉溶融が起きたのではなく、その前の地震時に原子炉溶融が起きていた、と指摘されています。だから下請けの従業員は現場から逃げ出したのです。
2、もともと発電所製造時には地元での雇用を優先したため素人が工事をしており、発電所では小便は日常的に現場で行われ、強度不足を起こすバールなど工事道具が遺物の混入は当たり前のように行われていた、といいます。このような杜撰な工事が品質標準を下げたことは疑う余地がありません。
3、さらにこれらの事実を隠すかのようにアメリカ軍から提供された写真などの公表をしていません。不都合な真実があることが想像できます。
4、初期の段階でアメリカの冷却材の提供を断り、菅直人視察のために冷却が遅れたとの指摘もあります。これは使用品質を下げたことは間違いありません。
今回の放射能拡散事故は「一つ一つ具体的に見れば想定外ではない証拠が一杯ある」、という事実を集積していくことが求められます。
さて、
また、役員の報酬を50%とする、などというネボケたことを言っていますが、生活費の年間500万円程度まで下げるべきです。いや無償で働くべきだ、との声も多いと思います。
わたしが社長なら、事故収束まで献身的に仕事をすることだけが役員の責任の取り方だという立場から、役員報酬はゼロ、当然役員賞与はゼロとします。それが利害関係者のなかで一番に救済しなければならない被災者利益を第一に考える、ということです。
被災者には1か月以上も経ってから100万円の仮払いをしただけですが、自分たち役員は支払日には給料を定期的にもらっています。
いくらか?計算上平均して300万円です。
東京電力の役員の年収は取締役20人で7億2100万円、平均して3600万円です。
http://www.tepco.co.jp/ir/management/gover-j.html
本来経営者というのは利益から報酬を得るものであり、その性格は損金にならない役員賞与に現れています。会社の一大事を起こした責任者である役員が責任を取らずに、誰が責任を引き受けるのでしょうか。
自己保身と責任転嫁、責任をとらない官僚主義の典型的な組織である東京電力という無責任会社。世論で「責任を取れ」と。
原子力損害賠償法の但し書きを、適用し自らの責任を取ることなく、食い逃げをしようとしていることは明らかです。500万円の年収と収束までの無期限事故担当役員として残し、辞任を許さない、これが被害をここまで拡大させ混乱を招いた国民に対する責任でしょう。まぁ、しないし、できない、でしょうけど、これが国民の意思だと。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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