小泉ブームで小泉チルドレンが都市部で大量当選したが、反面、中山間地域や地方で多くの議員を失った自民党が出した対案が有害鳥獣対策特別措置法である。
選挙区に帰ると「鳥獣害対策を何とかして欲しい」と言う要望にさらされ、急遽、参議院選対策の一環として、自民党の農林漁業有害鳥獣対策議員連盟の宮路和明議員が山村振興委員会と農林漁業有害鳥獣対策議員連盟との合同部会で検討を始めた。最も声高らかに、対策を進めるべきと発言しているのが京都の中川泰宏議員である。
当初、自衛隊を投入して、鳥獣駆除に当たらせる方針で議論していた。しかし、防衛省が大きな抵抗を示した。そもそも自衛隊の出動は、「有事」の場合と「緊急事態(緊急災害)」に限られる。従って鳥獣被害を緊急事態として位置付けられるかが最初のハードルであった。
緊急事態、例えば、津波や台風、地震による災害で自衛隊が出動しているが、その場合、都道府県に緊急対策本部が設置され、対策計画が立てられる。その対策計画に基づいて、自衛隊が被災地に投入される。
では、鳥獣被害を災害として捉えた場合、各県に緊急対策本部の設置が可能か、誰が被害現場を的確に捉え、誰が対策計画を作るのか? 自衛隊は、人を殺す銃を所持しているが猟銃は、これまで持ったことがない。それに自衛隊で猟銃を持って現場に行く場合、半径6キロから人を排除する必要がある。まかり間違って、人身事故を起こしたら防衛省に取って命取りとなる。
この自衛隊に鳥獣駆除を行なわせることに、大日本猟友会は、自衛隊投入に反対している。
次に考えられた案、それは、退役が近い自衛隊員を訓練して、被害現場に投入し、被害対策をさせることだった。だが、退役した自衛隊員に任意で被害対策を担わせることが可能だろうか。また、永続的に被害対策の任務を遂行できるだろうか?
現状の法案には、自衛隊という明記はされていないが、参考資料として「自衛隊の活用について」という記述が明記されている。
さて、参議院選までに方針のとりまとめを行なったが、残念ながら参議院選で大敗した自民党は、法案提出まで踏み込むことにしたのである。
作られた法案は「有害鳥獣による農林水産業に係る被害防止のための特別措置に関する法律案」である。
特措法案と鳥獣保護法との関係図を見て頂ければ分かるが、農林水産大臣が基本指針を策定し、ダイレクトに市町村が被害防止計画を作り、被害対策を行なう仕組みになっている。鳥獣保護事業計画や特定計画との関係は、「調和」という言葉で薄められている。「整合性」ではない。基本方針だけ整合性をするが、鳥獣保護事業計画と特定計画は「調和」であれば、十分なのである。
その他にも問題点は、多数あるが、この辺にしておこう。
草刈(携帯)より!

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