最近「天才少年(少女)…」とか「最年少…」等の様に大人顔負けの子供達を推奨する風潮がありますが、若くから才能を発揮し大人になるまで才能を発揮し続けるのはとても大変な事です。
子供の頃から大人になる迄才能を発揮出来るのは一握りの(そう言う才能を持った)天才だけだと言っても良いと思います。
年齢毎に異なった目的を持ちその目的を達成しながら成長して行くのが一般的です。
この場合は年齢に応じた練習をする事で最も良い結果を得られます。
スポーツの世界では年齢に応じた練習(指導)をする事によって才能ある子供達を大切に育てる事が常識となっています。
早くから才能を発揮させるのでは無く、長期的な視野に立ってトレーニングを考え生徒達が将来優秀な選手として活躍できる様に育てて行くのです。
楽器演奏はスポーツと共通する部分が多くこの様な事も共通なのですが、残念な事に音楽の世界ではこの様な考え方はまだまだ少数派の様です。
折角の才能を指導者の知識不足の為に育てる事が出来なかったり、指導者に知識があれば避けられる怪我をさせてしまうのは非常に残念な事です。
年齢に配慮した指導法は専門的に勉強する必要があるのですが成長期を軸に考えるのが一般的です。
大雑把に言うと指導法は次の様な感じになります。
成長期前:音楽の楽しさを教える。
成長期:脳や身体の発達を優先させる。
成長期後:本格的な練習を始める。
次のサイトはサッカー選手の為に書かれたものですが分かり易く参考になると思います。
http://t.co/C8zS6gXZ25
音楽を長く続け、楽器が上手くなりたいと思うのであれば練習方法は次の様に考えると良いと思います。
成長期前には音楽の楽しさを充分に味わう事が大切です。
この次期に音楽の楽しさを知る事はその後も音楽を続ける上で大きな財産になります。
この経験は音楽を続けて行く間に向上心へと変化し、様々な困難を乗り越える為のエネルギーとなるのです。
成長期にはしっかりした身体作りをし考える能力を身に付ける事を最優先にします。
沢山の曲を聴き、沢山の曲を演奏し、他校も含めた沢山の音楽仲間や先輩後輩達と交流を持ち、多くの先生の指導を受け沢山の知識を吸収し、沢山の経験をする事が大切なのです。そして沢山の失敗を経験する事も大切です。
出来る事ならば沢山のコンサートに足を運んで欲しいのですが、CDやYouTube等のメディアを利用するのも良いと思います。
本当に上手くなるのは成長期後です。成長期はその準備期間と考えると良いと思います。
成長期にしっかりした身体を作り沢山の経験をする事で成長期後の期間を充実したものにする事が出来る様になります。
大事なのは成長期に結果を求めない事です。
成長期が終わった頃からが本格的な練習のスタートです。
目標を持ち、その目標を達成する為の環境(先生)を選び、目標に向かって一生懸命練習するのです。
この時期にはこの様に自分で考えなければならない事も増えて来ます。
成長期にしっかりした身体を作っておけばハードな練習にも耐えられます。成長期に考える能力を養っておけば様々な難題を理解する時に役に立ちます。そして多くの失敗の経験は壁に突き当たった時にそれを乗り越える力となります。
つまり成長期の経験や失敗全てが将来への肥やしになるのです。
これらが多ければ多い程成長期が終わってからの長い期間を有効に使う事ができるのです。
そして本当の意味で才能を発揮し始めるのは成長期が終わってからなのです。
独裁者の様な先生が閉鎖的な環境でコンクールで勝つ事だけを目標に同じ曲ばかり練習すると言うのは成長期の子供達にとっては最悪の環境と言えます。
独裁者の様な先生は絶えず生徒に命令し続けます。これでは考える能力が育ちません。
閉鎖的な環境では情報が限られてしまい知識が偏ってしまいます。
コンクールで勝つ事だけを目標にすると失敗が許されなくなります。
多感で吸収力が旺盛な時に同じ曲ばかりを演奏させると言うのは勿体無いとしか言い様がありません。
これでは大切な準備期間を無駄にしてしまっています。
将来大きな花を咲かせる為の肥料を与えず育ててしまっている様なものなのです。
また、成長期の身体は変化が激しく怪我のリスクが非常に高くなります。
この様な時期に過度の練習や休み無しに長時間の練習をさせると言うのは(成長を考えた場合)避けなければなりません。
楽器演奏はスポーツと変わりません。
大切な才能を潰さない為にも、将来大きな花を咲かせる為にも年齢に合った練習をして下さい。
指導する先生にはある程度の知識は身に付けて欲しいですし、応援する保護者の方にも熱血指導や長時間の練習が良く無い年齢がある事を知っておいて欲しいと思います。

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