2018年度 森の風の生活「愛されているわたし達」
9月の聖書の言葉
「見よ、兄弟が共に座っている。なんという恵み、なんという喜び。」
詩編133編1節
9月~11月のテーマ「一緒に暮らそう」
春は春の喜びと楽しみ、夏は夏の喜びと楽しみ、秋は秋、冬は冬・・・こんなに嬉しく四季折々の恵みを受け取りながら暮らしていけるのって本当に有難いことですね。まるで色のグラデーションのように一年が過ぎていきます。夏、思いっきり水の冷たさ、気持ちよさを感じながら、体の感覚全開で遊んでいたら、心地よい秋の風が吹いてきています。そして秋の深まりの美しさ・・・。
1日に三重県野外体験保育者養成講座を行いました。
「森を使った教育課程をつくろう」です。
一年間どのように子ども達と過ごそうと見通しを持っているか、さらにどのような子ども達に育ってもらいたいと思っているか、さらには子ども達にどのような社会を残していきたいと思っているか、そんなことを50名の保育関係者が集まって学びました。
このことはとても大きなことだったと思います。
四季の変化、園の周りの草花、そこに暮らす虫達、さらに突然降ってくる雨、風の吹き方、それらが保育資源となり、それらに驚いたり発見したり、喜んだりしている子ども達を観、そこから保育を出発させるというあり方は、行事に追い立てられていると出来るものではありません。
実は、改訂された教育要領や保育所保育指針では、幼児の教育は環境によってなされるものということが言われています。しかも、一方的に教えたり、指示したりというやり方ではなく、主体的、対話的で深い学びを大切にした保育のあり方が示されています。「主体的な子ども達を育てよう」といっていても保育者の青写真に乗っけることが主体的であるかのように思っていたりするものです。
しかし、保育者に願いが無いと、ただの烏合の衆になってしまいます。
教育現場とはいえません。その為に「教育課程」を作っています。
皆さんにもクラス懇談のときにお渡ししていますね。あれは10年間、子ども達が春はこんな様子だったね。夏はこんなことをして喜んだね・・というように森の風で積み上げてきた子ども達の様子を思い出しながら、保育者の願いも込めて保育者の言葉で作り上げていったものです。毎年毎年見直していくものです。それに基づいて保育をしています。そして大切なことは保育者が人として、どう生きているのか、自分自身と向き合い、自分を知っていくこと・・。「保育道」という言葉が、この頃浮かんでいます。
さてさて、秋のクライマックの幕開けです。山にはサルナシが今年もたわわに実をつけています。田んぼにはまだ青いアケビがぶらさがっていました。稲刈りの頃には紫色になり、ぱっくりと口を開けるでしょう。ムカゴやエビズルが散歩道の楽しみになります。
山から下りてきたアキアカネが千草中を飛びまわって出迎えてくれています。そんな自然の営みが少し夏休みの間におうちの生活に慣れて、園の生活になんとなく整わない子ども達の心を「お!」「楽しい!?」というようにようちえんの暮らしへ心を向けさせてくれ、少しずつ整わせてくれます。本当に有難いことです。
二学期の私達の大きなテーマは「一緒に暮らそう」です。一学期新しいお友達と出会い、新しいクラス、あるいは新しいようちえんという社会に入ってドキドキしたり、どのように自分の居場所を確保しようかと考えたり、どのように自分を受け入れてもらおうかと考えていたり・・・その中で少しずつ安心の場を自分なりに広げてきた子ども達。ようちえんの暮らしのリズムにも慣れて安心して自分を出したり、友達と遊ぶ楽しさを満喫し始めていた子ども達です。夏季保育でしばらくぶりにお友達と座ると、うれしくて仕方が無い、そんな様子が見られましたよ。そして、夏休みに楽しかったことを我先に言いたい!いっぱい聞かせてもらいたいですね。先ず、自分の場所を温めなおして、それからですね。登園を渋ったり、涙が出てしまっても、大丈夫ですよ。「おうちが楽しかったもんね。」「お母さんがいいんだね」と気持ちに本気で共感しながら、「ようちえんも楽しいよ」「今日はどこへおさんぽ行くのかな、何に会えるかな?」と送り出してください。私達もしっかり受け止めます。夏をすごして、一回り成長した子ども達とこの秋の暮らしを作っていけることをとても楽しみにしています。大きな家族のように過ごして行きたいです。
(夏の間の田んぼ、畑の作業に参加してくださった皆様ありがとうございました。)