2019年度の「森の風の生活」テーマ「ことばに満たされて〜ひびきあう〜」
年主題聖句「その人は流れのほとりに植えられた木」詩編1編:3節
4月のテーマ「ありのままで」
聖書の言葉「私はその民を喜び楽しむものとして、創造する」
イザヤ書65章18節
ご入園、ご進級おめでとうございます。
新しい年度の出発です。
今年度のテーマや聖書の言葉はキリスト教保育連盟のカリキュラムから頂くことにしました。
このテーマや聖書の言葉を軸にしながら進んでいきますが、
毎年、子ども達の姿から目を離さず、一年の季節を子ども達と歩んでいくと、本当に子ども達の姿がそのテーマに通りになっていくことに驚きます。
3月のテーマは「かけがえのない」です。
子ども達が最初はドキドキして緊張したり、不安だったりしながら新しいクラスや友達と出会いますが、少し経つと周りの環境に安心して、自分を出し始めます。
夏頃になると、思いっきり弾けられるようになります。思いっきり弾けた後は、実りの秋を向かえ、その頃になると、友達と一緒に力を合わせ、心をあわせることの楽しさを味わい、クリスマスを向かえ、その楽しさが喜びに変わり、冬、一年間、獲得してきた知恵や力が静かにその子のものとなって友だちとの連帯が深まっていきます。
一人ひとり「がかけがえのない」存在として、自分を認め、友達を認めることの出来る卒園の時を迎えます。その時その年令に応じて、おはなさんはおはなさんなりに、もりさんはもりさんなりに、おそらさんはおそらさんなりにそのような姿になっていくのです。全てはひとりひとりの中にあります。
小さな種が良い環境が与えられた時に、芽が出て、根が張り育っていくように、子ども達は「環境」によって育てられていきます。
その環境とは子どもを取り囲んでいる全てのもののことです。勿論、ご家庭のお父さんお母さんのパーソナリティーや関係性、そして、私たち保育者、ようちえんの願いや哲学、人生観、世界観、一人一人の人格や持っているものとご家庭との関係、そして、多くの仲間とその関係性。また、さらに私たちを取り囲んでいる息とし生ける全ての命。巡っている宇宙まで広がっていく大きな命。暖かい陽の光り、森から吹いてくる風、突然降ってくる雨、、、そのような環境の全てが子ども達を育てるのです。
私は「子ども達が希望を持って生きることができるように」という願いを持って森の風を始めました。その希望とは子ども達の体の中にあります。自分の思いを実現することの出来る両手があります。自分の意志どおりに自分を運ぶことの出来る足があります。お母さん達は良く働く手を持っておられます。朝起きてから夜寝るまでの間、ご飯を作り、洗濯をし、掃除をし、子どもの世話をし・・・どれだけ動いているでしょうか、どれほど人の為に働いているでしょうか。一度書き出してみられるといいですね。きっとびっくりされると思いますよ。そして一日に足はどれだけ歩いているでしょうか。子どもに呼ばれて歩いていき、ご飯を作りに台所に行き、買い物に行き・・・私たちを運んでいます。素晴らしいですね。
子ども達はどうでしょうか。特に3歳までの子ども達は一時も休まず動いていますよね。ひと時も休まず手足を動かし、何かを感じています。そうしながら子ども達は生きる為に必要な力を獲得し続けています。
森の風を始めた時、技としての好奇心が刻み付けられた身体を育てるという汐見先生の言葉にインスピレーションを受けていましたが、今、身体が希望そのものと言うことができるように少しずつ私の中が替わりました。子ども達の遊ぶ姿、子ども達の労する姿、子ども達の助ける姿を見ながら教えられたのです。子ども達に畑を耕すことなんて無理!と思っていたのですが、子ども達はやりたいし、できるのです。火に近づけたくなかったのですが、今は火熾しは子ども達の仕事になりました。子ども達があんなに沢山の苗を植えることが出来るとは思っていなかったのに嬉々として田植えをする。1000mの山にも登ることができる。小さい子達にそっと手を添えて助けることもできる。・・・全て手足を使って子ども達は楽しみ、喜んでいるのです。
今月の聖書の言葉は「私(神)はその民(私たち)を喜び楽しむものとして、創造する」とあります。私たちはそのような存在として今、ここに生きるものとされています。子ども達を見ているとそれがよく分かりますね。
4月、優しい花や小さな虫や温かいお日様や柔らかな草や木々の芽吹きや優しい風に包まれて過ごします。その中で不安や悲しさや楽しさ、喜びもそのまんま出せるといいですね。そのまんまを出しながら、隣にもそのような存在のいることを知って手を繋いだり、時にぶつかったりしながら、自分と出会い、友だちとであって仲間になっていきましょう。かけがえのない仲間に。