旧型車両に対する鉄道合理化に名を借りた冷酷無比なる圧迫が繰り返される中、11・19東武南栗橋闘争において、我々革命的鉄道撮影者は東武実権派の一大譲歩を引き出し、淘汰の惨禍に直面した同志たる昭和の名車たちを激写するという一大勝利を勝ち取った。しかし、南栗橋闘争が展開されたその傍らでは、秩父鉄道の同志3000系が最期の雄叫びを上げていた。革命的鉄道撮影者としては、階級的な連帯に基づきもう一つの勝利を勝ち取るべく、羽生からさらに西へ遊撃戦を闘う必要が生じていた。しかし、時あたかも暗く冷たい雨で、速い列車を確実に写し止めることは難しい。
それでは、貴重な時間を活用せずにこのまま撤退しなければならないのか?! 否! 突き刺す如き氷雨に晒されればこそ、ますます革命的情熱をたぎらせ、貴重な車両を撮影するべく闘争しなければならないのだ。
労働者をはじめとした広範な人民に日々真摯な情熱を注ぎ続ける春日部ラーメンにて我が身を奮い立たせた後は、首都圏北辺の前衛たる野田線とTXを乗り継ぎ、久方振りに国鉄型車両の熱い鼓動が息づく革命根拠地・水海道車庫に至った。そこで眼にしたものは……今から30年以上も前に激しく燃え盛ったスト権ストの情景であった!
糾弾、粉砕、奪回……今や日本、そして世界の革命運動の堕落と崩壊によって薄れて久しいスローガン。そして無造作に貼られたアジビラの数々……。煤で汚れながらも、それゆえに質朴な力強さを感じさせる車体……。人民の鉄道はあのとき確かに、このような出で立ちで革命のうねりを広めるために走っていたのだ! もちろん、本来真善美を求める革命において、落書などあるまじきことであることは言うまでもない。しかし、確かに一時、広範な労農人民の魂を激しく揺さぶり、反動派とその走狗に落ちぶれた奴ら《日○》に怒りの鉄槌を下すために、国鉄車両は走る解放区さながらに走ったのだ……。
この眼前の光景は果たして幻であろうか? 否! 日本社会が革命のるつぼとして燃え上がったあの時代を映像として再現するには、国鉄型車両をはじめとした鋼製車両でなければならない。間違っても、走るんですにラッピングを施すなどという妥協的日和見主義であってはならないのだ。革命的だった時代はそれ自体ひとつの歴史的過程として様々なオマージュ的表現の対象となるべきだが、それを鉄道車両によって表現することが可能なのは、実は国鉄型をはじめ鋼製車両が残存している今しかないのだ……。それが如何なる映像なのかは今ここで問わないし、問い合わせなどという無粋な真似は厳にするべきではないが、まずは「貴重なキハ35・36の営業車が汚された」という正論はさておき、眼前に展開した時空を超える革命的光景に圧倒されるのが、会社側の革命的判断を断固として擁護する撮り鉄としての正しい態度であろう。
ふと車庫の周囲に目をやると、無断で車庫に立ち入ろうとする者を厳しく拒む掲示が! 鉄道会社の業務の遂行を妨害する者は、撮り鉄の風上にも置けない反革命として断固粉砕されなければならない!
鉄道の革命的安全運行万歳! 鉄道車両を用いた革命的表現万歳!
そして、心の底から革命的人民の魂を熱くたぎらせるあの旋律が聞こえてきた!
起て飢えたる撮り鉄 今ぞ最期の時
急げ我が同好の士 落日迫る
「走るんです」の鎖からむ日 レンズ血に燃えて
時空隔てつ我ら リンク結びゆく
いざ闘わんいざ 奮い起ていざ!
ああ昭和の鋼製車両 我らがもの!
万 国 の 地 味 系 鉄 、団 結 せ よ !!
【今回は画像のイメージそのままに、昔のアジテーション風文体でお届けしました ^_^; なお、撮影は全て敷地外から、特に1枚目の画像は柵の外から手を高く上げて撮影していることを申し添えます。敷地外である分には全く文句を言われませんでしたが、関東鉄道としては掲示を出して立入全面禁止としていますので、必ずお守り下さい。この撮影装飾に関する問い合わせは厳に慎まれますよう。また、いつまでこの状態か、さらに果たして撮りやすい位置に停まっているか全く分かりませんので、このように撮影出来ないとしても全く保証致しかねます。単に、撮影できた貴重な画像を公開してみたという趣旨でご了解下さい】