2015/10/31

東京都教育委員会の裁量権逸脱を認める  Y暴走する都教委
 ◆ 「生徒と不適切メール」教諭の免職を取り消す判決 (週刊金曜日)
池添徳明(いけそえのりあき・ジャーナリスト)

 女子生徒に不適切なメールを送ったとして、東京都教育委員会から懲戒免職処分とされた都立高校の男性教諭(33歳)が、処分の取り消しと500万円の損害賠償を求めた裁判で、東京地裁(吉田徹裁判長)は10月26日、「免職は裁量権を逸脱し濫用している」として、処分を取り消す判決を言い渡した(処分背景や経緯は本誌1月30日号6月19日号で詳報)。

 男性教諭は、クラス担任の女子生徒に性的表現を含む不適切なメール845通を送信したとして、昨年7月14日付で懲戒免職処分とされた。
 教諭は、複雑な家庭環境で虐待されていた女子生徒の相談に乗り、高校生活を支えて励ますメールだったと主張。都教委は女子生徒から話を聞かずに免職処分を決めた。


 判決で吉田裁判長は、「メールの内容は性的内容を含み極めで不適切だが、送信は約3週間という比較的短期間に限られており、結果や影響が必ずしも重大とまでは言えない。都教委が定める処分量定に照らしても停職とするのが相当で、特に重い処分である免職とすべき事情は見当たらない」と指摘。「免職処分は裁量権の範囲を逸脱し濫用したもので違法と言うべきである」と判断して処分を取り消した。
 一方、都教委による事情聴取や研修の違法性は認めず、損害賠償請求は退けた。

 男性教諭の代理人の加藤文也弁護士は、「親から虐待を受けて不安定だった時期に、先生のメールで励まされて卒業できたと、女子生徒本人が法廷で証言している。生徒の置かれた状況を十分に理解した判決でないのは残念で、都教委の強引な事情聴取や対応について適切に判断されていないことも不満だが、提訴から1年以内の免職処分取り消しは画期的と言っていい」と評価した。
 その上で加藤弁護士は、「これまで男性教諭が都教委に命じられた約6カ月の長期研修は実質的には停職に相当する。これ以上の処分は必要ない。判決を早く確定させて授業できる環境にすべきだ。都教委の発表を裏付けなしに報道したメディアも反省してほしい」と訴えた。

 ◆ 裁判を愚弄する都教委
 この裁判では、免職処分を終始主導した都教委人事部職員課の相賀直・管理主事が、男性教諭の勤務校の校長(今年4月から病気療養中)に対し、虚偽の陳述書を裁判所に提出するよう指示していた事実が明らかになった。
 裁判所に再提出された陳述書の中で校長は、「相賀管理主事の指示で不本意ながら提出した陳述書の内容は事実に反し、男性教諭に極めて不利になる内容でした」と明言している。しかし今回の判決では、裁判と裁判所を侮辱し愚弄したに等しい都教委の行為には言及がなかった。

 判決を受けて男性教諭は、「生徒の求めに応じて送ったメールの内容が行き過ぎた表現になったことは真摯に受け止めている。私の授業を受けたいと言って教室で待ってくれている生徒たちのために、一日も早く授業がしたいです」と話した。
 男性教諭の身分をめぐっては、東京地裁が1月21日付で、一審判決まで免職処分の執行停止を決定。都教委側が不服を申し立てたが、東京高裁(須藤典明裁判長)も5月29日付で地裁の決定を支持した。男性教諭は6月23日から元の職場に戻り、現在は授業以外の教務・総務関係の仕事を担当している。

 中井敬三教育長「判決は誠に遺憾。内容を詳細に確認し対応を検討したい」とのコメントを出したが、都教委人事部は判決後、男性教諭に対し「免職処分の執行停止は一審判決の時点で効力が切れた。都の職員でなくなったので、学校に来ないように」と言い渡した。
 都教委の対応に、関係者から批判の声が上がっている。判決確定まで男性教諭の身分が極めて不安定になることから、弁護団は都教委側に控訴しないよう甲し入れる。

『週刊金曜日』2015.10.30(1061号)


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