2016/7/20
東京「君が代」裁判第3次訴訟・最高裁上告棄却不当判決 X日の丸・君が代関連ニュース
東京「君が代」裁判第3次訴訟原告団・弁護団
◎ 声 明
◎ 声 明
1 7月12日、最高裁判所第三小法廷(大橋正春裁判長)は、都立学校の教職員49名(以下、「原告ら教職員」という)が「日の丸・君が代」強制にかかわる懲戒処分(戒告24件)の取消しと損害賠償を求めていた上告事件及び上告受理申立事件について、それぞれ上告棄却、上告申立不受理の決定をした。
本件は、原告ら教職員が、2003年10月23日通達(以下、「10・23通達」という)に基づいて各校長が為した卒業式等の国歌斉唱時に起立斉唱あるいはピアノ伴奏を命じる職務命令に従わなかったとして懲戒処分を受けたものであるところ、第1審の東京地裁(民事第11部)2015年1月16日判決(佐々木宗啓裁判長)、第2審の東京高等裁判所(第21民事部)2015年12月4日判決(中西茂裁判長)はいずれも、10・23通達と職務命令の違憲性を否定した上で、これらの懲戒処分のうち、減給及び停職処分については裁量権の逸脱・濫用に当たり違法であるとして、これを取り消す旨の原告ら教職員一部勝訴の判決を言い渡していた。
これに対し、原告ら教職員は、10・23通達と職務命令は憲法19条、20条、23条、26条に違反し違憲であると主張して上告するとともに、戒告処分も裁量権の逸脱・濫用に当たると主張して懲戒処分全ての取り消しと損害賠償を求める上告受理の申立を行った。
2 しかるに今回の最高裁判所第三小法廷判決は、「本件上告の理由は、違憲及び理由の不備をいうが、その実質は事実誤認若しくは単なる法令違反をいうもの」などとし、原告ら教職員の上告理由が民訴法312条所定の上告理由に該当しないとの理由で、原告らの上告を棄却した。
しかしながら原告らは、まさに正面から10・23通達及びこれに基づく職務命令の違憲性を主張し、第2審判決に憲法解釈の誤りがあるという民訴法312条1項に該当する理由を主張して上告したのであって、「実質は事実誤認若しくは単なる法令違反」などと指摘されなければならないような理由はまったく主張していないのである。
最高裁は正面から憲法判断すべきであったにもかかわらず、かかる事実無根の理由を持ち出してまで憲法判断を回避したことは、最高裁が憲法の番人たる責務を自ら放棄したとの謗りを免れることは到底できない。
3 都教委は、10・23通達及びこれに基づく職務命令により、卒業式等における国旗掲揚・国歌起立斉唱を教職員に義務付け、命令に従えない教職員に対し、1回目は戒告、2、3回目は減給(1〜6ヶ月)、4回目以降は停職(1〜6ヶ月)と、回を重ねるごとに累積加重する懲戒処分を繰り返す「国旗・国歌の起立斉唱の強制」システムを実施してきた。
2012年1月16日、最高裁判所第一小法廷は、これらの懲戒処分のうち、「戒告」は裁量権の逸脱・濫用とまではいえないものの、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては、本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要となる」とし、実際に下された「減給」及び「停職」処分は相当性がなく、社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を逸脱・濫用しており違法であるとした。以後、入学式等における「国旗・国歌の起立斉唱」を巡る訴訟では、この最高裁判決に沿った判決が続いている。
4 本件の第1審及び第2審判決は、この最高裁第一小法廷判決の内容に従い、減給以上の処分を取り消したものであった。
しかし、2006年度の規則改訂により、2006年以降に戒告処分を受けた本件原告ら教職員は、それ以前に減給処分を受けた場合以上の金銭的な損害を受けており、従前の減給処分以上の重い経済的損害を被っていることの問題性を訴え戒告処分も取り消されるべきとして、上告受理の申立てを行った。
更に、停職処分を受けた教職員に対しては、同じ最高裁判所第三小法廷が2016年5月31日に処分取り消しと同時に損害賠償を認めた東京高裁判決(2015年5月28日)を支持しているため、本件原告のうち、少なくとも停職処分を受けた原告に対しては、損害賠償請求が認められるべきことを主張していた。
5 しかるに今回の最高裁判所第三小法廷判決は、従前と比較した戒告処分の経済的不利益の拡大や停職処分を受けた原告の損害賠償請求に関する問題を全く検討することなく、また、何ら理由を示さないまま三行半ともいえる申立不受理の決定をした。
特に、前述のとおり停職処分者に対する損害賠償請求を認めた同じ最高裁判所第三小法廷の2016年5月31日判決とも齟齬する点については、公平性・法的安定性からみて大きな問題であると言わざるを得ない。
6 卒業式等における「国旗・国歌の起立斉唱」を巡る裁判では、本決定以前の最高裁判所の各小法廷の判決では、幾つもの補足意見が出されてきた。これらの補足意見は、原告ら教職員のやむにやまれぬ職務命令違反とそれに対する懲戒処分の応酬が教育環境を悪化させ、自由闊達な教育が損なわれることを最高裁判所も憂慮し、その発端は10・23通達を発した都教委に起因すると判断したからこそ、「強制や不利益処分も可能な限り謙抑的であるべき」(須藤裁判官補足意見)、「教育行政担当者において、寛容の精神の下に可能な限りの工夫と配慮を望む」(同)、「謙抑的な対応」(鬼丸裁判官補足意見)を都教委に求めたのである。
7 都教委は直ちに10・23通達を撤回して職務命令の発出をやめ、教育現場での「国旗・国歌」の強制と、「国旗・国歌」強制に象徴される教職員に対する管理統制をあらためるべきである。
わたしたちは、今後も「国旗・国歌」の強制を許さず、学校現場での思想統制や教育支配を撤廃させて、児童・生徒のために真に自由闊達で自主的な教育を取り戻すための取組を続ける決意であることを改めてここに宣言する。
2016年7月19日
東京「日の丸・君が代」処分取消訴訟(三次訴訟)原告団・弁護団






