2016/12/13

国連自由権勧告パラ22に関する三団体共同要請書  Z国際人権
2016年12月8日
 外務大臣 岸田 文雄 様

自由権規約第6回日本政府報告審査最終見解パラグラフ22について
◎ 国連勧告を即時実行することを求める要請

板橋高校卒業式事件から「表現の自由」をめざす会
東京・教育の自由裁判をすすめる会
個人情報保護条例を活かす会(神奈川)

 1,私たちは2014年自由権規約第6回日本政府報告審査に、規約18条・19条関連でレポートを提出し、ロビイング活動をしたNGOグループである。
 ○ 「めざす会」は、第6回政府報告書(パラ5,6)に引用された「板橋高校卒業式事件最高裁判決」は、「表現の自由」が「公共の福祉」を理由に制限された、規約19条違反であることを報告した。
 ○ 「すすめる会」は、東京都において、学校行事の際に国旗国歌への起立斉唱を拒んだために、教職員が減給・停職・解雇を含む制裁を受けたことは、規約18条違反であることを報告した。


 ○ 「活かす会」は、神奈川県教育委員会は、卒業式等で起立しなかった教員の氏名を収集・保管したが、これは個人の思想信条情報にあたるから、規約17条・18条・19条違反であることを報告した。

 2,パラグラフ22の懸念と勧告の意味 【別添資料.1】
 (1) 「公共の福祉」による基本的自由の制約について、規約委員会は第3回日本政府審査(1993年)以来毎回規約違反の懸念を示し続けてきて、今回は規約19条3項の「厳格な条件」を満たすようにとの具体的な勧告を示した。 【別添資料.2】
 (2) 規約18条の「思想・良心・宗教の自由」の制限についても、第3項の「厳格な条件」の適用を勧告した。事前審査で行われた「規約18条に関するやりとり」は、リストオブイシュー(パラ17)とそれに対する政府回答(187〜190)だったことから、当該事案に関して委員会が改善を求めた勧告であると受けとめるのが自然である。 【別添資料.3】
 (3) 委員会がこの項目について特に即時実行を求めていることは、最終見解の全パラグラフ中唯一このパラグラフだけで"urge"という動詞を用いていることから、明らかである。

 3,国内当局の無責任な対応
 この最終見解が発表されたあと、いくつかのNGOが、勧告パラ22の即時実施を求めて、国や地方の当局に要請を行ってきたが、未だ責任ある回答を得られていない。 【別添資料.4】
 どの部署においても、自らの問題として主体的にこの勧告の実現に取り組もうとする自覚も責任感も見られない
 教職員に制裁を科し続けている東京都教育委員会は、国連勧告は政府が対応するもので地方自治体は関係ないと責任転嫁の回答をしているくらいである。
 神奈川県においては、勧告がいつ外務省から届き、それが教育局、知事部局等の各室課にどの程度徹底されているか質したが、交渉にあたった教育局のある課では2014年の勧告から1年3ヶ月後に送られたNGOの要請書によって勧告の存在をはじめて知ったという。勧告22を含めて学校現場に周知することを求めたが、現在も応じていない。人権を生徒に教えるべき現場に、世界標準の勧告内容を伝えないというのは、人権の実現に後ろ向きとしかいいようがない。
 この勧告が、政府報告(個別具体の最高裁判例引用)→NGOレポート(最高裁判例引用への反論)→リストオブイシュー(具体的事例の存否についての質問)→政府再回答(最高裁裁判例を用いて回答)→NGO再レポート(政府回答再批判)の流れの中から出てきた経緯から、単なる抽象的な「一般論」でないことは明らかである。

 4,日弁連の見解
 日弁連は、この第6回最終見解について一般国民向けの解説パンフレットを作っている。 【別添資料.5】
 そのパラグラフ22の解説の中で、国内の人権侵害の事例として、19条(表現の自由)では「公職選挙法上の公務員の政治活動の制限や戸別訪問の禁止など」を、18条(思想・良心・宗教の自由)では「学校における日の丸の掲揚,君が代斉唱時に起立しなかった教員に対する懲戒処分」を、ここまでの審査の経過を踏まえて具体的にあげている。
 法律の専門家集団による「最終見解」解釈は、以上のように決して抽象的な「一般論」で済ませていない。

 5,最終見解パラグラフ22を受けて、以下のことを要望したい。
 (1) わが国の裁判で、過去に「公共の福祉」で「表現の自由」を制約した判例を全て見直し、今後基本的自由を制限する場合には「公共の福祉」は用いないで、規約19条3項の「厳格な条件」だけを規範として用いるよう、司法当局・行政当局・立法当局で統一した有効な措置を講じられたい。
 (2) パラグラフ22で委員会が指摘した「基本的自由」の制限とは如何なる事例を念頭に置いたものなのか、貴省の見解を示されたい。国内に不適切な基本的自由制限の事例が存在すると認めたから、懸念と勧告を示したのではないか。「学校行事の際に国旗国歌への起立斉唱を拒んだために教職員が減給・停職・解雇を含む制裁を受けていること」(List of Issues para17)が事例の1つに該当することを認められたい。
 (3) わが国が批准している国際人権条約を遵守する義務及び国際人権機関からの勧告を尊重し誠実に実行する責任は、中央政府はもちろん地方自治体にもあることを確認されたい。地方自治体における理解と自覚が徹底していないことがあれば、責任官庁として適切に指導されたい。

 ・・・同一文面の要請書を、法務大臣金田勝年宛、文部科学大臣松野博一宛にも提出した。
 ・・・別添資料は省略。

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