2017/10/30

根津公子の都教委傍聴記(2017年10月26日)  Y暴走する都教委
 ◆ 国定教員づくりにさらに乗り出す都教委

 公開議題
  @2018年度東京都教員研修計画の策定について
  A東京都教職課程カリキュラムの策定について。
 @は全教員に教員であるかぎり研修をさせるというもの、Aは採用前の大学での教員養成段階で「研修」させるというもの。2つをセットとして、養成・採用から退職に至るまで、都教委の求める教員作り、国定教員づくりをするというのだ。
 非公開議題は校長の任命について。宮崎緑教育委員の姿はなかった。

 ◆ @2018年度東京都教員研修計画の策定について
 7月27日の定例会において、「教育公務員特例法の一部を改正する法律」(文科省2016年11月)を受けて都教委は職層(教諭、主任教諭、主幹教諭、副校長、校長)に応じて身につけるべき能力を事細かに羅列した、「公立学校の校長・副校長及び教員としての資質の向上に関する指標」を策定した。これをリーフレットにして学校及び教員養成大学に配るとのことだった。


 この「指標」に基づき今回、以下に示すような「教員研修計画」(「学び続けよう、次代を担う子供たちのために」)が出された。

 「OJT」(「On the Job Training」=日常的な職務を通して、必要な知識や技能、態度などを、意識的、計画的、継続的に高めていく取り組み)、「Off-JT」(職場以外の研修機関での研修)、「自己啓発」の3本柱により、「東京都の教育に求められる教師像」に近づくべく研修計画を立てよという。
 職層ごとに求められる能力や役割、それを達成するためのOJT、Off-JTをこと細かに示し、それをもとに各人が「マイ・キャリア・ノート」にキャリア計画・研修計画を立案する。「マイ・キャリア・ノート」はネット上で管理職も見ることができ、その教員の人材育成に取り組むという。

 研修とキャリア・アップとで教員はがんじがらめにされる。ドロップアウトは許されない。
 これに対し、教育委員の多くは「非常に明確に示されている」(北村教育委員)等、絶賛ないしは同意した。山口教育委員だけは、「多忙な上に、またかと負担に教員が思う、押し付けられていると感じるのではないかと心配だ。研修では、教員が抱えていること、生の声を聞くことも入れたい。教員のやる気をどうやって引き出すかが大事だ」と、「研修計画」に反対はしないものの、懸念を示した。
 遠藤教育委員は発言の中で「父兄」を連発した。文科省・教育委員会が「父兄」という言葉使いを止め、「保護者」に変えたことの経緯を知らないのだろうか。

 都教委がこうした「教員の人材育成」に乗り出した最初は、人事考課制度(1999年)だった。各教員は「私は○○に頑張ります」「○○を達成できました」と自己申告書を提出させられ、校長が業績評価をし、その評価が賃金に反映される(2006年)ようになった。その頃から、休職者が増えたように思う。
 教員を都教委のコマとしか見ない、官製研修を強化したところで、教員の休職や体罰、わいせつ行為等が少なくなるとは思えない。
 都教委が教員管理を止め各学校・教員組織に決定権を戻すことこそが必要なのだ。民間中小企業で管理をしない企業が利益をあげている事例に、都教委は学ぶべきだ。

 A東京都教職課程カリキュラムの策定について
 「東京都の教員を目指す学生が採用段階で身につけておいてほしい資質・能力を具体的に各大学へ提示し、採用後の研修内容等との連携をより深めていくことで、『養成』『採用』『研修』段階が一体となって若手教員の人材育成を図る」のが狙い。
 これまでは大量退職・大量採用となった2010年に小学校教員に限定して「カリキュラム」を策定し大学に提示してきたが、今後は中・高の教職課程にも拡げるという。

 93ページに及ぶ「カリキュラム」を総覧すると、都教委の進める教育施策を見ているよう。
 「世界で活躍できる人材の育成」「道徳教育の充実」「キャリア教育の充実、防災教育の充実」「不登校対策」「オリンピック・パラリンピック教育の推進」と並ぶ。採用試験にも反映させるかも。
 都教委は大学教育にまで介入し、戦前の訓導=国定教員づくりをする。看過できないことだ。

『レイバーネット日本』(2017-10-27)
http://www.labornetjp.org/news/2017/1026nedu


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