2018/7/17

小学校「教科外国語」を子どもは楽しんでいるか?  ]Vこども危機
 ◆ 外国語活動で増えるのは子どもと教師の負担だけ (教科書ネット)
村石真依子(大田区小学校教員)

 大田区ではこれまで「大田区外国語活動」として1、2年生8時間、3、4年生12時間、「外国語活動」として5、6年生35時間をALT(外国語指導助手)と担任で行ってきました。
 新学習指導要領の前倒しで、今年度から3年のみ外国語活動が35時間に増やされました。新学習指導要領が全面実施される2020年度には4年生は卒業してしまい、3年生が6年生になるから、そのときに困らないように、という不可思議な理由からです。
 2018年度からは、4年も35時間、5、6年は50時間になる予定です。

 ◆ 「楽しい」はずが競争になると
 中学年の子どもたちは、クイズやゲームが大好きですから、ALTが教えてくれるゲームを基本的には楽しくやっています。


 しかし、聞き取りも、言葉の意味もよく分からない子どもたちと、英会話教室に通っている子どもたちとの差は歴然で、先生に「good!」とほめられるのは決まって英会話教室に通っている子ども達です。

 先生が単語を発音して、それが描いてあるカードを取る「カルタ取り」をしたときです。ある女の子が、始まってすぐに泣き出してしまいました。
 どうしたのかと聞いたところ、「だって、○○ちゃんと一緒だと、絶対負けちゃうもん」と言うのです。
 ゲームだから、負けても気にしないで、とか、相手の子に、ちょっと手加減してあげて、とか言ってなんとかまた続けさせますが、他の所でも、泣いたり、いじけたり…。
 子どもたちにとっては、「楽しい」はずの外国語活動も、激しい競争にさらされているのです。

 この1月に区教育委員会から「新学習指導要領の全面実施に向けて小学校の授業時数の増加が必要」と、今まで年間3回だった振替なしの土曜授業を毎月1回、年間11回に増やす「基本方針」が下ろされてきました。

 都教組大田支部では、区教委要請で「働き方改革を進めると言いながら、授業時数を更に増やすのは矛盾だ」と撤回を求めましたが、区教委としても、新学習指導要領に伴うことなので、何ともしがたいということです。
 しかし、教員の加配もなくただ闇雲に授業時間だけを増やしても、充実した授業などできるはずもありません。
 来年度からは5、6年の外国語活動も50時間に増え、内容も教科「外国語」に移行していくことになります。
 中学校での授業を小学校で行うことになるのですから、子どもたちの負担も計り知れないものがあります。

 ◆ 英語嫌いが増えるだけ
 小学校の外国語活動導入については、多くの研究者たちから「英語嫌いが増えるだけ」という批判の声が起きています。

 小学校という自国の言葉を丁寧に学ばなければならない時期の子どもたちに、「『聞く』『話す』を中心としたコミュニケーション能力の素地を養う」と称して、外国語文化を学ぶ楽しさではなく、言うなれば即席に英会話ができる子どもにするために600〜700もの単語を覚えさせる授業を押しつけようとしているからです。

 要請の最後に、私たちは次のことを訴えました。
 「5、6年では、教科外国語としてやらなければならない、単語も覚えさせなければならない、評価もしなければならないとなると、今までの外国語活動とも全く別物となります。そして、今までやってきた授業準備に上乗せされることになります。人員配置などの支援をぜひお願いしたい」。
 教育委員会側は熱心にメモをしながら聞いていましたが、事の重大性をどれだけ感じているか疑問に感じる対応でした。

 子どもも教師も要求していない外国語活動を上から一方的に押しつけ、ますます負担を増やし苦しめるだけの今度の学習指導要領の問題をみんなで考えたいと思います。
  (むらいしまいこ)

『子どもと教科書全国ネット21ニュース119号』(2018.4)


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