2018/8/17

「君が代」不起立戒告処分取り消し共同訴訟控訴審陳述書(7/7)  X日の丸・君が代関連ニュース
◎ 意 見 陳 述 書

2018年7月25日 大阪高裁
控訴人 井 前 弘 幸

 1 はじめに
 大阪府「国旗・国歌条例」の目的は、すべての教職員が「日の丸・君が代」に敬意を表明している姿を子どもたちに見せることにより、子どもたちの心の内に「我が国と郷土を愛する意識」を浸透させることです。今の情勢の下で、教職員が上意下達の「行政命令」に服従せざるを得ない姿勢を示すことは、それ自体が、間接的に子どもたちにも同様の服従を迫ることです。やがて、抵抗そのものがなくなる過程で、間接的であった子どもたちへの同調圧力が、直接的な強制へとつながって行くことは明らかです。

 原審判決は、「原告らによる本件職務命令違反行為は、・・・自己の教育上の信念等を優先させて、あえて式典の秩序に反する特異な行動に及んだもので、厳しい非難に値するものであるいうべきである」と断じました。


 判決理由の文脈から、「職務命令違反」かどうかの問題の前に、「国歌」斉唱時の「不起立」自体が厳しく非難すべき行為だと考える裁判官の一面的な価値観に基づいた判断です。
 政治・行政組織による強制に、政治から独立していなければならない教育司法も、このような同調の連鎖に絡め取られてはいけない最前線の現場だと思います。

 2 原審判決に事実に基づかない判断あり
 原審判決は、「国歌斉唱時の不起立」を「特異な行動」「厳しく非難すべき」と批判します。しかし、本年7月19日の「君が代不起立による再雇用拒否」裁判の最高裁判決を翌日の朝日新聞社説は強く批判しました。
 そして、「個人の尊厳を重んじ、多様な価値観を持つことを認め合う。そういう人間を育て、民主的な社会を築くのが教育の使命だ。そして、行政や立法にそれを脅かす動きがあれば、権限を発動してストップをかけることが、司法には期待されている。」と締めくくっています。このような議論があること自体、「不起立」が「特異な行動」として議論の余地なく一蹴されるものではありません

 原審において、O校長に対する証人尋問が行われました。
 私は、この証人尋問で、O校長もまた教育に介入する政治に対する抵抗を試みていたことを確信しました。以下は、原告側代理人と校長とのやり取りの一部です。
原告代理人「7日の職員会議では、内と外を明示した役割分担書を配布しないんだということも、井前さんにおっしゃいましたね。」

O校長配布しないでおこうかなということを井前先生に伝えました。」

原告代理人質問「あなたは井前さんに、職員会議で国旗掲揚・国歌斉唱の入った提案がされるが、これについて自由に意見をいってもらってよいと言ったんじゃないですか。」

O校長「はい。若い先生も多いので、そういう考え方もあるということについては、是非とも井前先生のご自由な発言をしていただければ・・。」

原告代理人「起立斉唱について、職務命令であるという言葉は使わないつもりだということを井前さんにおっしゃいましたね。」

O校長「文言として職務命令という言葉は使わずにという話はしました。」

原告代理人「違反した場合には、職務上の責任を問われるという言葉も職員会議では使わないということも、井前さんにおっしゃいましたね。」

O校長「はい。」
 原審判決は、上記内容を事実認定してもなお、O校長の「お願い」は「職務命令」だと断じました。
 職員基本条例が、「職務命令違反」の懲戒対象を文書によると限定していることからも大きく逸脱しています。
 O校長が、文書による「命令」も、「職務命令」という言葉も使わない決断をした背景に、職員基本条例があることは明らかです。

 被控訴人は、あえて「起立するかしないかは井前さんにお任せします」と話したことを、「O校長が控訴人井前に対する起立斉唱の指導・説得をしないと決意した発言」とこじつけています。
 ならばなぜ、尾之上校長は、「府教委マニュアル」に従って、井前への文書による個別の「職務命令」を発出しなかったのでしょうか。

 3 終わりに
 私は、前任校で、上記条例下で3年生担任として卒業式に参加し、「国歌斉唱時」着席しました。翌年は、新入学生の学年主任でしたが、式途中に入場し、「国歌斉唱」時に不在でした。
 人権教育推進委員会として、起立斉唱を行うかどうかを自分の判断で選択できる憲法に基づく権利があることを、卒業式前の卒業生と在校生に話しました。

 当時の校長は、これらすべてに暗黙の了承を与えていました。校長の判断として、「不起立の現認」を行わず、府教委に「不起立者」報告をしていません
 さらに、退職後、本裁判に取り組む私の行動を励まし、カンパを寄せてくださっています。

 原審判決のいう「特異な行動」「厳しく非難すべき」という一面的な批判は、この事実からだけでも不当な言いがかりという他ありません。公正な判断をお願いいたします。

『グループZAZA』(2018-07-30)
https://blog.goo.ne.jp/zaza0924/e/d089316211ea2c8a0ed48e63a9ba54f7


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