2018/10/2

都教委が高校指導要領説明会を実施  Y暴走する都教委
 ◆ 高校改訂指導要領の都教委公開説明会
   〜主任指導主事「先送り」回答に、主幹からも「異議」をほのめかすどよめき
(週刊新社会)
永野厚男・教育ジャーナリスト

 文部科学省が「大綱的基準として各校の教育課程編成に法的拘束力あり」とする学習指導要領の高校の改訂版(3月30日官報告示)の中央説明会(7月17日、東大安田講堂)を受け、都教育委員会は9月4日、都立高校の教務主任である主幹教諭等や都民らを対象に、立川市内で「高等学校新教育課程・東京都公開説明会」を開いた。
 高校指導要領は2022年から学年進行で実施だが、文科省は地理歴史科・公民科の"領土教育"や、体育の選択種目に"銃剣道"(競技人口の大多数は自衛隊)を加える等は、19年度から先行実施させるとしている。都教委はこれらについては、文科省が中央説明会で言った通り、忠実に"伝達"した。


 休憩後、回収した質問用紙では、
 @(総合的な学習の時間を改変した)総合的な探究の時間を、(元々高校には道徳だけを扱う授業はないが、都教委が各校に既に設置を強制している科目の)『人間と社会』で代替できるか、
 A日本史の実質必修化(必修科目・歴史総合の新設)に伴い、現在、都教委が全都立高校生に配布している『江戸から東京へ』を使用する授業との関係は?
 ――などの疑問が続出。

 ところが都教委の市村裕子・主任指導主事は、
 @には「検討中なので、追って説明する。『人間と社会』との関係があるので、後で説明させて頂く」とし、
 Aには「教育課程編成基準を作成中なので、そちらで明らかにする」と、いずれも先送りの回答。参加者の多数を占める主幹教諭らからさえ会場全体、ため息のようなどよめきが起こった。
 管理職(副校長への)登用門と言われる主幹教諭が都教委に「異議あり」の態度を示すことは滅多にない。指導要領を"先取り"し独自の科目の設置を強制したり、偏った歴史観の副読本使用を現場に押し付けたりしてきた都教委の施策の、ツケが回ってきた瞬間だった。

 この後、「必修科目が増えるが、教員増員は?」といった質問に、市村氏が「人事部とどういうことが可能か協議していく」と述べるに留まった時も、「何をのんきな!」という声が聞こえた。

 ◆ 高校指導要領の現行・改訂版での道徳教育

 高校の指導要領では、小中のような特設の道徳の時間はなく、これまでずっと「道徳教育は学校の教育活動全体を通じて行う」としてきた。09年3月告示の現行版1頁も、冒頭の改訂版3頁も、これは踏襲している。
 だが、09年3月告示の現行版は、総則で(1)「我が国・・・を愛する・・・日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養うことを目標とする」と道徳教育の目標に"愛国心"を明示した上、(2)「各教科に属する科目、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、適切な指導を行わなければならない」と謳っている(1頁)。
 また、(3)前記(1)の「道徳教育の目標を踏まえ、指導の方針や重点を明確にして、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育について、その全体計画を作成すること」(7頁)と強制している。

 ここで、冒頭の3月改訂版を09年現行版と比較する。
 まず、前記(1)の"愛国心"については、総則(3頁)の前に新設した"前文"でも強制している(1頁)。
 次に(2)は、「総合的な学習の時間」を「総合的な探究の時間」とし、文末を「行うこと」とした以外、変化はない(3頁)けれど、(3)の「全体計画作成に当たって」「各教科・科目等との関係を明らかにすること」とし、"公共"・倫理・特別活動が「人間としての在り方生き方に関する中核的な指導の場面であることに配慮すること」と明記した(23頁)。
 ところで3月改訂版は、前記09年現行版から強制の「道徳教育の全体計画作成」を引き続き明記した(22頁)のに加え、小中と横並びで「校長の方針の下に、道徳教育の推進を主に担当する教師(道徳教育推進教師)」の新設も強制している(22頁)。
 都教委は文科省に倣い、"学校の働き方改革"を唱えているが、教員の多忙化(長時間労働)を益々加速するのが明白な、道徳教育の全体計画作成や推進教師新設に対し、都教委がどう対応するか、監視が必要だ。

 ◆ 総合的な探究の時間が「高校道徳の中核的指導場面」でないか〜私立大講師が分析

 文科省は、前述通り道徳教育の「中核的な指導場面」を、傍線部の2科目と特活だと"名指し"したが、公開説明会を傍聴した私立大非常勤講師は、前記@への市村氏の回答内容から、「都教委は高校の道徳教育の中核的な指導の場面を、総合的な探究の時間にしようとしているのではないか」と分析している。
 なお神奈川県立高校の現・元教職員らは10月6日(土)午後2時から、横浜駅から徒歩5分の神奈川県民センター302号室で、指導要領徹底批判の学習会を開催する。
...

『週刊新社会』2018年9月25日に、永野厚男さんが加筆した記事


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