2019/3/3
「国威発揚」のためのお仕着せの「オリンピック・パラリンピック教育」 Y暴走する都教委
◆ 「オリパラ動員は強制徴用」
ボランティア意識を高める東京の教育 (週刊新社会)
◆ 東京都が必死の背景
2016年4月から東京都で始まった「オリンピック・パラリンピック教育」は、小・中・高校全てで年間35時間(週1時間)をかけ、これを行うために各校に30万円、「教育重点校」(100校)にはさらに20万円が支給される。そして、公立、国立、私立の小学4年生以上の全員に『オリ・パラ学習読本』や『オリ・パラ学習ノート』までも配布した。
ところで、「オリ・パラ教育」について、都教委の「実施指針」には、〈重点的に育成すべき5つの資質〉として、@ボランティアマインド、A障害者理解、Bスポーツ志向、C日本人としての自覚と誇り、D登かな国際感覚、を上げている。
ここで特微的なことは、第一にボランティアマインドを上げていることである。
前年12月に出された「有識者会議最終提言」では、「子供たちのボランティアマインドを高めていくことにより、子供たちが原動力となって、将来の日本がボランティア文化が進んだ社会へと変わっていくことも期待できる」とまで書いてある。
つまり、子どもたちを原動力として、日本社会全体を「ボランティア文化が進んだ社会(≒奉仕活動型社会)」へと変えていこうとしているのである。
また、4番目に「日本人としての自覚と誇り」が来ているのも特徴である。
安倍首相は2016年9月の「所信表明演説」で、「4年後の東京オリンピック・パラリンピックは、必ずや、世界一の大会にする。……同時に、我が国の『未来』を切り拓く。……世界一暮らしやすい国、世界一信頼される国を目指し、新たなスタートを切る時です」と述べた。
まるで、かつてナチスがやったような「国威発揚」のためのオリンピックである。東京の「オリ・パラ教育」はその具体化に他ならない。
◆ 学校での反響
東京都の学校現場では、「日の丸・君が代」強制の「10・23通達」以降、職員会議での挙手採決の禁止、職階性の強化、業績評価などにより、都教委の教育政策に反対の声を上げることが極めて困難な状況になってきている。
そこで、卒業式などで「日・君」強制反対のビラまきをやっていた有志で、2016年9月より『オリンピックってなんだ?』というビラを都立高校の門前でまくことを始めた。
すると、昨年末、都立学校教員から次のような手紙が届いた。
その中では「特に所属生徒に欝して絶大な権力を行使できる学校当局が、これを強制するというのは、『現代の学徒動員』であり、『強制徴用』であると断じざるを得ない」とも述べてあった。
その学校ではその後、高校生の言論の自由の闘いが起きている。
都教委は、昨年11月に「都立高校生等ボランティア・サミット」を開き、そこには小池知事も出席し挨拶した。
さらに「東京2020大会都市ボランティアの応募期間の延長に伴う再募集について(通知)」を出し、「生徒の申込みの簡略化」を目的に応募用紙の取りまとめを学校で行うよう要請していた。
これについては、ある都立高校で担任がクラスの生徒に「全員書いて出して」と応募を強制するような発言をしていたことが報道された。それは都立高校生がツイッターで告発したことで明らかになったことだった。
教職員・生徒の間にも「オリ・パラ教育」への不満が高まりつつあると言えよう。
(市民運動家・荒川渡)
『週刊新社会』(2019年2月26日)
ボランティア意識を高める東京の教育 (週刊新社会)
◆ 東京都が必死の背景
2016年4月から東京都で始まった「オリンピック・パラリンピック教育」は、小・中・高校全てで年間35時間(週1時間)をかけ、これを行うために各校に30万円、「教育重点校」(100校)にはさらに20万円が支給される。そして、公立、国立、私立の小学4年生以上の全員に『オリ・パラ学習読本』や『オリ・パラ学習ノート』までも配布した。
ところで、「オリ・パラ教育」について、都教委の「実施指針」には、〈重点的に育成すべき5つの資質〉として、@ボランティアマインド、A障害者理解、Bスポーツ志向、C日本人としての自覚と誇り、D登かな国際感覚、を上げている。
ここで特微的なことは、第一にボランティアマインドを上げていることである。
前年12月に出された「有識者会議最終提言」では、「子供たちのボランティアマインドを高めていくことにより、子供たちが原動力となって、将来の日本がボランティア文化が進んだ社会へと変わっていくことも期待できる」とまで書いてある。
つまり、子どもたちを原動力として、日本社会全体を「ボランティア文化が進んだ社会(≒奉仕活動型社会)」へと変えていこうとしているのである。
また、4番目に「日本人としての自覚と誇り」が来ているのも特徴である。
安倍首相は2016年9月の「所信表明演説」で、「4年後の東京オリンピック・パラリンピックは、必ずや、世界一の大会にする。……同時に、我が国の『未来』を切り拓く。……世界一暮らしやすい国、世界一信頼される国を目指し、新たなスタートを切る時です」と述べた。
まるで、かつてナチスがやったような「国威発揚」のためのオリンピックである。東京の「オリ・パラ教育」はその具体化に他ならない。
◆ 学校での反響
東京都の学校現場では、「日の丸・君が代」強制の「10・23通達」以降、職員会議での挙手採決の禁止、職階性の強化、業績評価などにより、都教委の教育政策に反対の声を上げることが極めて困難な状況になってきている。
そこで、卒業式などで「日・君」強制反対のビラまきをやっていた有志で、2016年9月より『オリンピックってなんだ?』というビラを都立高校の門前でまくことを始めた。
すると、昨年末、都立学校教員から次のような手紙が届いた。
「生徒の中には『オリンピックなんか興味ない』『東京オリンピックなんかやめた方がいい』という子が複数います。また、他校の教員から聞いた話ですが、都市ボランティアの応募用紙が束になって捨てられていたといいます。現役の教員の一人として、生徒や教員の内心の自由を踏みにじる『オリ・パラ教育』の強制に怒りを感じています。同僚の中にも『くだらない』とつぶやく入がいます。問題を痛感しながらも、上からの指示に従わざるを得ないことに、恥ずかしさと屈辱感を覚えます」。また、2016年には、新宿山吹高校の生徒が、〈ボランティアは学校主導より生徒の自主性に任せよ〉という論文を学校新聞に掲載しようとしたところ、複数の教員によつて削除を余儀なくされた。
その中では「特に所属生徒に欝して絶大な権力を行使できる学校当局が、これを強制するというのは、『現代の学徒動員』であり、『強制徴用』であると断じざるを得ない」とも述べてあった。
その学校ではその後、高校生の言論の自由の闘いが起きている。
都教委は、昨年11月に「都立高校生等ボランティア・サミット」を開き、そこには小池知事も出席し挨拶した。
さらに「東京2020大会都市ボランティアの応募期間の延長に伴う再募集について(通知)」を出し、「生徒の申込みの簡略化」を目的に応募用紙の取りまとめを学校で行うよう要請していた。
これについては、ある都立高校で担任がクラスの生徒に「全員書いて出して」と応募を強制するような発言をしていたことが報道された。それは都立高校生がツイッターで告発したことで明らかになったことだった。
教職員・生徒の間にも「オリ・パラ教育」への不満が高まりつつあると言えよう。
(市民運動家・荒川渡)
『週刊新社会』(2019年2月26日)






