2019/5/31

「日本すごい」はとっくに終わっているのに  ]U格差社会
  =週刊新社会連載「たんこぶ」第580回=
 ◆ 信じる者は救われない
辛淑玉(シン・スゴ)

 アベノミクスは成功だと言いながら景気が衰退方向に向かっているとし、選挙のために消費税を上げない選択をするとか言い出す安倍政権。勤労統計を偽装していた上、雇用統計のデータもないというから、もう国家の体をなしていない。
 で、中西経団連会長が、やっと「終身雇用なんてもう守れない」と言い出したが、今までは守ってきたかのような口ぶりに驚いた。
 これだけ含み資産を持ちながら、なお利潤を求め、低賃金の奴隷労働を継続するために正社員を切って派遣に切り替える選択をずっとしてきたではないか。

 私が起業した85年には半導体系の技術者は引っ張りだこだったが、いま当時の技術分野で会社に残れている人ば皆無だ。


 大学で学んだものや入社後に身につけたものだけで終身雇用される時代はすでに終わっている。
 2000年には即戦力の中途採用の時代に入ったので、企業内研修の内容は主にコミュニケーション研修にシフトした。
 社員に時代に合ったスキルを身につけさせる教育投資はコストがかかる。その都度必要な「専門家」を入れたほうが効率的で、不要になればいつでもお払い箱。そうすれば、人がいなくなっても「会社」は生き残れるのだ。

 で、派遣社員やバイトに、オレを尊敬しろ、オレの言うことだけ聞いて疑問を持たずに喜んで働け、生活の保証はしないが会社のために身を捧げ、そんな自分と仕事に誇りを持て、と呪文をかける。
 問題の根が深いのは、こういう経営者たちは、自分がどれほど滅茶苦茶なことを言っているか、疑問すら感じていないことだ。これでは景気の浮揚など望みようがない。

 世紀の原発事故の後ですら、自分の利権のために隠蔽ばかりを考え、自然エネルギーにシフトして新市場を開拓しようとはしない。
 いまでは、自然エネルギー潰しといえる買い取り価格引き下げに必死だ。まっとうな起業家にしてみたら、だまし討ちそのもの。
 すでに、日本が中国企業の下請けになって久しい。だのにまだ「日本すごい」と言い続けるハーメルンの笛吹きがメディアを席巻している。
 騙すレベルが高いというより、きっと、騙されたいんだろうな。

『週刊新社会』(2019年5月28日【たんこぶ】)


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