2019/6/17

中高生による国会議員のための『世界一大きな授業』  ]Vこども危機
 ◆ 「世界一大きな授業」を開催
   世界の教育の現状を学ぶ
(週刊新社会)
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貧富・教育の格差を知る授業のゲームに参加した福島参院議員・逢坂衆院議員ら
〜5月15日、衆議院第二議員会館で(撮影・永野厚男)

 現在、世界で学校に通えない子どもが6400万人、読み書きができない大人が7億5000万人もいる。その多くを占める、紛争や災害、貧困などの危機にさらされている開発途上国の全ての子どもが学校に通うためには、37兆円の資金が必要だ。
 こういう現状を打開すべく、JNNE(途上国で教育協力を行うNGOからなるネツトワーク)は、世界の教育の現状や国際動向を学び、自分たちに何ができるか、世界各国で同時期に考え、声を上げようという、地球規模のキャンペーン「世界一大きな授業」(The World Biggest Lesson)を4月13日〜6月30日に実施している。


 これは国連総会が2015年9月、「持続可能な開発目標」(SDGs)を採択し、30年までにすべての子どもが質の高い就学前教育、初等教育、中等教育を受け、大人の識字率も大幅に改善することを新たな目標として掲げたのにも、呼応する。
 JNNEはこの取り組みの一環として、認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパンとともに5月15日、衆議院第二議員会館で「中高生による国会議員のための『世界一大きな授業』」を開催した。

 ◆ 貧富の格差は教育の格差に

 司会は山梨県立甲府第一高校3年生が務め、1時間目の先生役、フィリピン・スタディツアーに1週間参加した女子高生は、「ショッピングモールではブランド品が並ぶ一方、30度を超える中で生肉を売る衛生面に問題ある店もある」と、貧富の格差がある実態を指摘した。

 2時間目の先生役の男子高生は、約15人参加した衆参両院議員を4つの班(国)に分け、「合図ごとにサイコロを1回振り、サイコロの目の数だけ進み、『高校卒業のゴール』を目指すゲーム」を”指導”した。
 サイコロの目の数が少ない立憲民主党の逢坂誠二衆院議員の班はなかなか進まず、逢坂議員は「不平等だ」と一声。
 サイコロの目の数が6の班(9割が高校に進学する日本がモデル)と、2・1の班(チャド・アフガニスタンがモデル)との格差に、参加者らは改めて気付かされた。

 ところで、マララ・ユスフザイさん(2014年ノーベル乎和賞を受賞)は15年9月25日、国連サミット開幕式で「教育は特権ではなく、権利だ。難民などすべての子どもに教育を受ける権利がある」と訴えかけている。
 政策提言の時間、女子高生はこのマララさんの言葉を引きつつ、「しかし現実には、生まれる場所により格差が生じ、権利ではなく特権になっている。(学校が)軍事施設に使われ、平和でなくなっている国もある」と述べた。

 そして、(冒頭の)37兆円の資金を賄うには、先進国が4兆円を負担する必要があるが、現状は6分の1の約6800億円に留まっており、援助を増額する必要がある、と問題提起した。

 この後、授業を受けた議員たちが感想を述べた。3人紹介する。
 逢坂議員教育に格差あり。教育に力を入れないと、世界は良くならない。
 社民党の福島みずほ参院議員:参加していく中でいろんなことに改めて気付き、理解を深められるすばらしい授業だ。私の班は(サイコロの目の数の)ゼロが多い貧しい国だったが、他国に「貸して下さい」と言いにくかった。
 立憲民主党の福山哲郎参院議員:昨年も参加したが、年々授業の仕方が向上している。日本の海外援助は要請主義だから、途上国側から「ください」と言わないと援助してくれない。

 ◆ 予算は軍事を削り、平和創造に

 @米国のトランプ政権が5月25日、「17年12月に続き今年2月、臨界前核実験を行っていた」と発表し、
 A米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』が5月29日、「ロシアが新たな核兵器を開発する目的で、低出力の核実験を行っている可能性がある」と報じる等、米ロがCTBT(包括的核実験禁止条約)違反の核軍拡に走っている。

 今回の授業には自民・公明の議員も参加したが、安倍政権は海上自衛隊の護衛艦「いずも」を空母化したり、強い電磁波で住民に健康被害をもたらすイージス・アショア2基配備方針を打ち出したり、異常な軍拡を進めている。
 だが、軍隊・兵器・軍事費を削り援助等の平和を創る予算に回そう、という意見も若い世代に出てきており、未来は必ずしも暗いわけではない。

 マララさんは2014年12月11日、ノーベル平和賞を受賞時、「私たち子どもには分かりません。戦争を起こす力が強い国々が、なぜ平和をもたらす力は弱いのか。戦車を造るのは易しいのに、なぜ学校を建てるのは難しいのか」と演説している。
 また、前出のフリー・ザ・チルドレン・ジャパンが5月29日、送信した「キャンペーン中間発表のプレスリリース」は、授業を受けた埼玉県上尾市立原市中学校の生徒の「今回『世界一大きな授業』で、改めて世界の現状を知ることができました。現在、世界で学校に通えない子ども達が学校に行けるようになるには、軍事費を1週間分削ればいいだけなのにと思いました」という感想を掲載している。
 (教育ライター・永野厚男)

『週刊新社会』(2019年6月18日)


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