2019/7/1

根津公子の都教委傍聴記(2019年6月27日) (レイバーネット日本)  Y暴走する都教委
 第2週・第4週の木曜日に開催されることになっている都教委定例会がこのところ何度も週が変えられ、今月は、第2週は開催されず第3週である先週の開催だった。議題がないからと中止になることもあるので、今月も1回かと踏んでいたところ、先週の「定例会」で今回の第4週開催を告げられた。理由も告げずに定例会を変更するのは、傍聴者を軽く見ていることにほかならない。
 この日の公開議題は、議案「都立学校設置条例の一部を改正する条例の立案依頼 ほか1件」(=特別支援学校新設に伴い)と報告「教科用図書選定審議会(第2回)の答申について〜教科書調査研究資料について〜」のみ。非公開議案には3件の教員の懲戒処分案件(停職から免職)が上がっていた。2週続けて定例会を開催しなければならなかった案件はこのうちのどれなのか、と思ってしまう。

 ◆ 報告「教科用図書選定審議会(第2回)の答申について〜教科書調査研究資料について〜」
   ――こんな「資料」を参考にして採択されてはたまらない!


 今年は小学校の教科書採択の年。採択にあたって都道府県教委は「教科書調査研究資料」を作成することになっている(教科用図書無償措置法)。


 そこで都教委は審議会に諮問し、答申を受けて、以下に示す「教科書調査研究資料」を作成した。

 都教委は、この「教科書調査研究資料」を都立義務教育諸学校の教科書採択の参考資料にするとともに、都内の区市町村教委、国立及び私立の義務教育諸学校の校長に配布し、教科書採択に関する指導、助言または援助をすることになっている。

 調査内容は――。教育基本法、学習指導要領、都教委の方針等を踏まえて調査研究したという。さらには、
   a.「我が国の位置と領土の扱い」、
   b.「国旗・国歌の扱い」、
   c.「神話伝承を知り、日本の文化や伝統に関心を持たせる資料」、
   d.「北朝鮮による拉致問題の扱い」、
   e.「防災や自然災害の扱い」、
   f.「一次エネルギーや再生エネルギーの扱い」、
   g.「持続可能な社会づくりについての扱い」、
   h.「性差と家族についての扱い」、
   i.「オリンピック・パラリンピックの扱い」
 に関しても調査研究をしたとのこと。
 a〜iは都教委が力点を置くところだから、という。

 国語では4つの発行者(出版社)すべてについて、「調査の結果、dについては記載のないことを確認した」と記す。開いた口が塞がらない。

 6年生社会では、3つの発行者別に「国家・社会の発展に大きな働きをした先人名」「国宝・文化遺産名」を古代から現代までに分けて列挙したり、「国際社会において我が国が果たしている役割を取り上げているページの扱い」を「政府・省庁・自衛隊」「ODA(JICA・青年海外協力隊等」「非政府組織(NGO)・その他」に分けて掲載ページや教科書「本文」を紹介したりする。

 また、上記aからiのすべての項目について、「本文」を使って詳細に掲載する。ここに力点を置いていることは一目瞭然だ。

 一方で、6年生で学ぶべき日清戦争以降の日本の政治についての調査研究は皆無である。上記した「先人名」で十分ということか。社会科を学ぶ意味をはき違えている。教育委員には、採択にあたり、このような毒にしかならない「調査研究資料」に振り回されないでほしい。

 そもそも、文科省は、2014年に社会科教科書検定基準「政府見解」や「確定した判決」があればそれを書くことを追加した。それによって、社会科教科書は「政府見解」を書かなければ教科書検定を通らなくなっている。
 したがって、どの社も「領土」を大きく取り上げる。その記述は安倍内閣の「見解」だから、嘘ばかり。安倍内閣の宣伝冊子のようだ。今後は原発に関する最高裁判決も書かれていくだろうが、忖度判決が記載される心配がある。
 国定教科書になっている現実を直視したい。

『レイバーネット日本』(2019-06-28)


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