2019/7/21

6/30板門店・第3回朝米会談:なぜ素直に平和への動きを歓迎できないのか  ]平和
  たんぽぽ舎です。【TMM:No3700】「メディア改革」連載第9回
 ◆ 朝鮮半島の平和実現を妨害する日本メディア
   6/30板門店・朝米会談を「ショー」と揶揄

   米軍を撤退させ非戦・平和の憲法を守り
   世界の非核化のリーダーになることが最も現実的な安全保障政策
   浅野健一(アカデミックジャーナリスト)


 ◆ 米大統領の越境は朝鮮戦争の事実上の終結
 朝鮮半島の軍事境界線(分断線)の板門店で6月30日に行われた金正恩・朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)国務委員会委員長とドナルド・トランプ米合衆国大統領の第3回首脳会談は世界を驚かせた。
 トランプ氏は現職の米大統領として初めて軍事境界線を越え、朝鮮の土を踏み、約50分にわたって会談を行った。両首脳は7月中にも実務協議の再開で合意し、お互いに首都へ招待した。


 停戦協定から7月27日で66年になる朝鮮戦争の敵国同士の元首が板門店で握手を交わしたことは、朝鮮戦争終結に向けての「平和プロセスが大きな峠を一つ越えた」(文在寅韓国大統領)のは間違いない。

 ◆ ハノイ会談は“決裂”ではなかった

 昨年6月のシンガポール、今年2月のハノイでの首脳会談を現地で取材した私は、今回の板門店会談を英BBC、米CNNの生中継で見た。
 日本人記者たちはハノイ会談を「決裂」と決め付けていたが、決裂という評価は完全に誤っており、必ず再会談があると、私はIWJへの寄稿記事などで指摘してきた。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/445005

 テレビでは、なぜこのような画期的な会談が実現できたのかを誰も分析、解説できない状態が続いた。
 辺真一氏は7月1日のTBS「ひるおび!」で、「私は家で妻には、『板門店で米朝会談があるかもしれない』と言っていたんですよ」とコメントし、司会者に「それならこの番組で言ってくださいよ」と突っ込まれ苦笑するしかなかった。
 共同通信は「北朝鮮の術中にはまったとの指摘も出た」「融和先行を懸念する声もある」「会談はトランプ氏が29日朝に『思いついた』突然の動きで、勢いに任せて乗り切った」などと論評している。
 各紙も「壮大な演出」(東京新聞)「素直に拍手できない」(朝日新聞)と論じた。なぜ素直に、平和への動きを歓迎できないのか

 ◆ 会談後に正式コメントを出せなかった日本政府

 今回の板門店会談で面子を失ったのは、過去の歴史を直視できない安倍晋三首相だ。大阪での文大統領との首脳会談を見送ったのは大失敗だった。親しいはずのトランプ氏は何も教えてくれなかった。
 日本テレビの6月30日午後6時からの「バンキシャ」は板門店会談を速報したが、外務省幹部の「会談の評価は難しい」などという意味不明のコメントを流しただけだった。
 NHKは午後7時のニュースで外務省幹部(匿名)の「情報を集めて分析したい」という話を報じた。河野太郎外相が30日深夜、安倍首相が7月1日早朝、記者たちに聞かれて感想を述べただけで、政府の正式なコメントは出ていない

 経産省が7月1日に強行した韓国への輸出規制は、「蚊帳の外」に置かれたことへの八つ当たりの政治的報復に違いないが、萱野稔人・津田塾大学教授は7月1日夜のFNN系ニュース番組で、「きわめて妥当な決定」と言い放った。

 ◆ 文大統領は朝米に影響力がないと言い張る安倍首相

 7月3日のテレビ朝日「報道ステーション」で、後藤謙次氏から「文大統領とG20サミットで日韓会談をしていたなら(日朝関係で)違う展開が考えられたのでは」と聞かれた安倍首相は、「おそらくそんなことは起こらなかったと思う。残念ながら、北朝鮮に対して今一番発言力があるのは(文大統領ではなく)習近平中国国家主席、トランプ米国大統領だ」と答えた。
 首相は韓国を「向こう側」と呼んで、「文大統領は日朝関係の進展に役立たない」とも発言した。
 朝米首脳が文大統領に謝意を表明し、3人が談笑する場面を見ても、安倍氏は文大統領の影響力はないと言うのだ。

 ◆ 平和への動きを嫌悪する日本メディア

 安倍首相は前回の総選挙で「国難」扱いした朝鮮に対し、「無条件での首脳会談」を呼び掛けている。
 今、おこなわれている参院選では韓国攻撃だ。無節操が過ぎている。

 安倍首相、菅義偉官房長官らは、「あらゆる方法で首脳会談を要請している」と繰り返しているが、本当だろうか。
 日本側の対朝鮮担当者は公安警察官僚の北村滋内閣情報官だ。最もふさわしくない人物だと思う。
 米国の核の傘の下にあり、米国に自国を守ってもらえると妄想している国のメディアは、日本も含む北東アジアで、戦争の危機が消え、安全保障体制が構築できることの意味すら理解できない。
 朝鮮に対する過去の侵略・強制占領、植民地支配の歴史を忘却しているからだ。
 「朝鮮半島の非核化」(朝鮮戦争の終結と朝米国交正常化)の後は、日本列島の非核化=米軍撤退が課題になる。

 日本に74年間駐留を続けている米軍を撤退させ、非戦・平和主義の日本国憲法を守り、世界の非核化のリーダーになることこそが、最も現実的な安全保障政策だと思う。



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