2019/8/13

教員による暴力行為が常態化していた尼崎市立尼崎高校、人権意識の欠如  ]Vこども危機
  《The Interschool Journal から》
 ◆ 市立尼崎高 教員の暴力常態化 6人処分の異常事態


 今年5月に発覚した尼崎市立尼崎高校男子バレーボール部、硬式野球部での教員による暴力に関し、尼崎市教委職員課と体罰調査特命担当は調査が完了したとして校長以下関係教員6人を処分したことを、19日発表した。今回の調査で男子バレーボール部と硬式野球部で教員による暴力行為が常態化していたことが明らかになった。

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 ◆ 部活動顧問教員の暴力が常態化

 市教委職員課は19日、男子バレーボール部における教員の暴力行為に関して調査を完了させ、校長を含む関係教員4名の処分を発表した。


 発表によると、男子バレーボール部の臨時講師は、4月29日に男子バレーボール部員の3年生男子生徒に十数発の平手打ちを行い、この生徒を脳震盪で意識を失わせ、鼓膜裂傷の怪我を負わせたほか、被害生徒が意識を失っているにもかかわらず、救急車を呼ばなかった
 このほか、臨時講師はこの事案以外にも生徒の首を掴んで投げる、平手打ち、胸ぐらを掴む、頭を叩く、ボールを押し当てる等の合計7件の暴力行為を行っていた。

 同部の監督を務める教諭は、4月29日の臨時講師が行った生徒への暴力行為を把握し、生徒が脳震盪を起こした可能性が高いことを把握しながら、救急車を呼んだり、医療機関の受診を行わせなかった。
 そして同教諭は臨時講師の暴力行為があったこと、生徒が意識を失い、怪我をしたことを把握しながら、5月7日に学校管理職からの聴き取りがあるまでこれらを報告しなかった。このほか、教諭は自らも髪をつかむなどの暴力行為を行っていた。

 また、体育科教頭は、4月29日の臨時講師の暴力行為の発覚後、臨時講師と教諭の報告により、暴力行為があったこと、被害生徒が意識を失い、怪我をしたことを把握しながら、桑本廣志校長に対し、暴力行為があったことのみを記載した報告メモを作成し、提出した。

 そして職員課の報告書は、同校の桑本廣志校長について、4月24日の野外教室での暴力行為事案、野球部顧問による重大暴力事案が複数発生するなど校長として職員の監督が不十分だったと指摘している他、男子バレーボール部臨時講師の暴力行為発覚後の対応についても不適切と断じた。

 ◆ 野球部、延べ25件の暴力と暴言&強制増量

 一方、硬式野球部に関しても同日、市教委体罰調査特命担当が報告書を発表。こちらも調査が完了したとして関係教員3名が処分された。

 4月に行われた1年生対象の野外教室で野球部顧問を務める教員による暴力行為が明らかになったことから、全校アンケート調査と野球部員の生徒全員にアンケート調査を実施。その結果、野球部のA教諭16件もの暴力行為を行っていたことが確認された。このほかB講師9件の暴力行為C教諭生徒への暴言をそれぞれ行っていたことが明らかになった。

 発表された資料によると、A教諭は今年1月ごろ、野球部生徒の練習への怠惰な取組状況などを指導するため、練習中に生徒を部の倉庫に連れて行き、顔や胸を複数回、強く押したほか、2017年から2019年にかけて部活動において生徒を指導するために、頭や胸を押したり、地面に強く押しつけるなどの行為を10回以上行った。
 また、事情聴取において、当初、自身が行った体罰について記憶が無いと述べるなど体罰事案の実態解明に非協力的で不誠実な態度があったという。

 また、B講師は4月24日に野外教室で生徒の朝の集会での態度に腹を立て、左頬を10回以上叩く、右手で両頬を掴む、1〜2回蹴る、胸ぐらを掴んで生徒を押し倒し怒鳴りつけるなどの行為をした。さらに、2018年から2019年にかけて、野球部の生徒を指導するために、胸ぐらを掴んで押し倒したり、腹部を蹴るなどの行為を数回行った。

 このほか野球部では生徒を指導するために暴言を吐く、生徒の体を大きくする目的で相当な量のご飯を完食することを生徒に課していた
 食べ切れず吐いてしまう生徒がいたほか、食べ終わるまで帰宅できない状況を強いられ、肉体的・精神的に苦痛を訴える生徒が複数いたという。

 ◆ 停職、減給…校長含む6名処分の異常事態

 男子バレーボール部や硬式野球部での暴力行為の常態化が明らかになったことを受け、市教委は
   男子バレーボール部の臨時講師を停職6ヶ月相当(任用期間満了までの73日間の停職)、
   同部監督の教諭を減給3ヶ月
   体育科教頭と桑本校長をそれぞれ減給1ヶ月
   野球部のA教諭を減給3ヶ月
   B講師に減給1ヶ月の懲戒処分を行い、
   暴言を吐いたC教諭を校長指導とした。

 また、市教委は桑本廣志校長を市教委学校教育部参与に、般若利博体育科教頭をスポーツ推進課参事にそれぞれ市教委に異動する人事(7月26日付)を発令した。
 市立尼崎高校の新校長には高橋利浩学校教育部長が就任。体育科教頭は普通科教頭が兼任する。

 市教委職員課の竹原努課長は、本紙の取材に対し、桑本前校長と般若前教頭の異動について「懲罰的な人事とは考えていない」とコメントし、両氏の更迭を否定した。
 竹原課長によると、桑本前校長は「市尼(市立尼崎高校)に限らず、体罰再発防止に参画」する職務を担うほか、般若前教頭は「体育協会であったりとか、そういったところでのスポーツに関する指導策、社会体育と学校教育の連携における体罰防止」について担うという。

 ◆ 卒業生が告発 暴力体質は以前からのものか

 本紙が接触した同校の卒業生の女性は、10年前の同校でも教員が生徒の耳の鼓膜を破ったり、水を飲ませない等の行為があったと告発した。
 女性は「教員が強いというか、口が強いのもありますが、スポーツをしていたら(暴言が)当たり前のようになっていました。」と話していた。

 卒業生の証言からも市立尼崎高校の暴力体質は以前から脈々と存在するものである可能性が高い。
 同校の新校長はこの暴力体質を根本から破壊する改革を行わなければ、信頼回復は果たせないだろう。

 そもそも「体罰」は刑法上の「暴行罪」「傷害罪」に当たる犯罪行為であり、学校教育法上も禁止されている違法行為だ。同校に限らず、全国各地で毎月何度もこういった教員による暴力が明らかになるのは、教員そして学校、教育行政に人権意識というものが全くないことが原因だろう。

 「体罰」と称する暴力犯罪をはじめ、教職員の長時間労働問題、部活動やいじめの問題などは、学校教育に関わる人々の人権意識の欠如によって起きている問題だ。一般社会では明らかに違法として糾弾・検挙されるようなことが、学校教育の場では許されるーこのような「悪の治外法権」はもうやめるべきだ。

 (取材・文=平松けんじ)

『The Interschool Journal』(2019年08月02日)
http://interschooljournal.officeblog.jp/2019archives/190726%E5%B8%82%E7%AB%8B%E5%B0%BC%E5%B4%8E%E9%AB%98%E3%80%80%E6%95%99%E5%93%A1%E3%81%AE%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E5%B8%B8%E6%85%8B%E5%8C%96%E3%80%80%EF%BC%97%E4%BA%BA%E5%87%A6%E5%88%86%E3%81%AE%E7%95%B0%E5%B8%B8%E4%BA%8B%E6%85%8B.html



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