2019/8/13

日韓請求権協定によって個人の損害賠償請求権は消滅したのか?  ]平和
  【週刊金曜日 風速計】
 ◆ 対韓輸出規制は撤回すべきである
   宇都宮健児


 日本政府は、7月4日フッ化水素など半導体材料3品目について輸出規制を強化したのに続き、8月2日、輸出手続き簡略化の優遇措置を受けられる対象国(「ホワイト国」)から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。
 世耕弘成経済産業相は閣議後の会見で「あくまでも韓国の輸出管理や運用が不十分なことを踏まえた運用見直しだ」「もともと日韓関係に影響を与える意図はなく、何かへの対抗措置でもない」と述べている。
 しかしながら、輸出管理や運用における韓国側の問題については、具体的な説明をしていない。
 一連の経過を見れば、今回の輸出規制措置が元徴用工問題をめぐる韓国への報復措置であることは明らかである。


 元徴用工問題に関する韓国大法院判決に関して言えば、安倍政権は元徴用工問題は日韓請求権協定によって解決済みであり判決は国際法に違反していると繰り返しているが、元徴用工などの個人の損害賠償請求権を国家間の協定によって消滅させることができないということは、今や国際人権法上の常識である。
 また、これまで日本政府最高裁判所も、日韓請求権協定によっても個人の損害賠償請求権は消滅していないと解釈してきたはずである。

 韓国の元徴用工問題と性質を同じくする中国人強制連行・強制労働問題に関しては、1972年の日中共同声明による中国政府の戦争賠償請求権放棄後も、2000年花岡事件に関する鹿島建設和解、2009年西松建設和解、2016年三菱マテリアル和解などがなされ、日本企業から和解金が支払われているが、その際、日本政府は日本企業の和解金の支払いに一切口を挟まなかった

 しかしながら、元徴用工問題に関しては、日本政府は日本企業が韓国大法院判決に従って賠償金を自発的に支払うのを抑えるような言動を繰り返している。

 日本政府が韓国に対し一定の措置をとるにあたっては、かつて日本が韓国を侵略し、植民地にした歴史があることを忘れてはならない。
 今回のような報復的な輸出規制は、韓国政府と韓国国民をますます「反日」に追いやり、日韓関係を泥沼化させる危険性が大である。
 日本政府は韓国に対する報復的な輸出規制を直(ただ)ちに撤回し、元徴用工問題に関しては韓国政府との間で冷静な対話を行なうことによって事態の解決を図るべきである。

『週刊金曜日 1244号』(2019年8月9日)


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