2019/9/23

根津公子の都教委傍聴記(2019年9月19日)  Y暴走する都教委
 ● 「底辺」の子どもを救おうとしない都教委 (レイバーネット日本)

 定例会と言いながら、今回も定例の第2、第4木曜日ではなく第3木曜日の19日に開催された。第2、第4週でないのは、今年に入って3回。定例会を待つことのできない緊急な場合もあるだろうが、今回を含めてこの3回ともが緊急性を感じられない議題ばかり。今回は、教育委員5名のうち2名が欠席。しかも、9月は第2、第4木曜日の教育委員会は開催されない。こんな運営に内部から批判は出ないのか。
 傍聴者にも予定がある。事務方や教育委員の都合で開催日をころころと変えられてはたまらない。

 今日の公開議題は、議案が@「都立学校等に勤務する時間講師に関する規則の一部を改正する規則外1件の制定について」、報告がA「来年度都立校入学者選抜実施要項・同細目について」 B「立川地区チャレンジスクールの開校予定年度の変更について」 C「墨田地区第二特別支援学校(仮称)の設置場所について」。非公開議案は「公立学校長の任命について」、非公開報告は「教員及び都教委事務局職員の懲戒処分について」。



 ● 教員志望が少なく、「底辺」の子どもを救おうとしない東京の学校

 @「都立学校等に勤務する時間講師に関する規則の一部を改正する規則外1件の制定について」

 公務員職場も非正規雇用が増え続けていることから、その人たちを「会計年度任用職員」とし、勤務条件等について「改正」することを、来年度から地方公務員法及び地方行政法に盛り込むことになっている。それに準じて、都の「時間講師規則」及び「日勤講師規則」を「改正」するというもの。

 時間講師(6月以上の任用で、基準日の6月1日、12月1日に在職する者)には、「期末手当」が支給されるようになるが、時間当たりの報酬額が減り、有給だった出産休暇が無給になるなど、「改正」とは程遠い印象を受ける。
 日勤講師規則「改正」の理由としては、「教科指導等のノウハウを有する退職教員等を日勤講師として一層活用するため」を挙げる。都教委は今年度から65歳以上でも引き続き任用することにした。これも教員採用受験倍率が低迷することからの苦肉の策なのだろうが、なんと場当たり的なことか。そして、安く使うことしか考えていない。教育に対するビジョンがないからに他ならない。

 教員志望が激減した一番の理由は、都教委が教員を管理支配し、創造的な教育をさせず、指示に従う「人材」づくりばかりをさせているからだ。
 「教師と子どもとの人格的接触によって」「子どもが自由かつ独立した人格として成長していく」ことを都教委が願い、そうした教育行政をしたならば、教員志望は上昇すると断言できる。

 A「来年度都立校入学者選抜実施要項・同細目について」

 日本語指導が必要な在京外国人生徒対象の入学者選抜校は、これまでの7校(今年度の倍率は1,75倍)に、1校加えるとのこと。
 宮崎教育委員は、「私の勤務する大学に都立高校出身の学生が在学するが、日本語は全く話せない」と言った。氏の発言からは、日本語指導が必要な外国人の子どもたちへのサポート体制を都教委がとっていないことが明白だ。
 ICT教育や留学、○○推進校等、都教委が力を入れる「人材」づくりには湯水のごとく金を投じるのに、都教委が求める「人材」からはみ出す「弱者」は切り捨てるということだ。
 外国人労働者の雇用を国の施策とするが、国や都はその子どもたちの教育には目を向けない。私たちが看過してはならない問題だ。 

 B「立川地区チャレンジスクールの開校予定年度の変更について」

 都教委は立川高校夜間定時制を廃校にして代わりに単位制・三部制のチャレンジスクール(720人規模)をつくる計画だが、開校が2年遅れの2025年度になるとのこと。理由は、既存建物(都が建てたもの)を解体したところで、設計に変更が生じたからという。専門家が既存建物の設計書と建物を見て設計しただろうに、こんなことがまかり通るとは? 豊洲市場の設計と同じか?

 立川高校夜間定時制も、他の閉校したあるいは閉校予定の3夜間定時制と同じく、在校生・卒業生・保護者から存続を切望する声がたくさん上がっているのに、都教委はそうした声は握りつぶして現在に至る。ここにも、在京外国人生徒の日本語サポートには金をかけないのと同じ都教委の方針が見え隠れする。

 また、三部制高校等では退学が多いと聞く。そこには、「都教委は受け入れ口をつくった、しかし、努力せずに退学した、それは自己責任」というストーリーが思い浮かんでしまう。生徒が求めるものは、「教師と子どもとの人格的接触」だ。それが満たされたなら、学校が意味あるものになり退学には至らないのではないか、と思う。大幅な教員増をして、教員に子どもたちとかかわる時間と自由を提供することが、都教委のすべきことだ。

 C「墨田地区第二特別支援学校(仮称)の設置場所について」

 「知的障害特別支援学校の在籍者数のさらなる増加に対応するため」に設置予定地を鐘ヶ淵駅近くに決めた。今後、住民向け説明会を実施し、開校に向けて動くとのこと。

 呼称が「養護学校」から「特別支援学校」に変更されたのが2008年度、その前々年に私が中学校に在職していた当時、年に少なくとも3回(初めの3か月は「君が代」不起立により停職処分だったので、その間はわからない)、「授業中、座っていられない」等の手のかかる生徒を挙げるよう指示があった。「1クラスに最低1名はいるはずだ」としつこく。「特別支援」の名の下、邪魔な児童・生徒を一般の学校から排除するためであった。「さらなる増加」とは、それが今も続いているということだ。

 一般の学校を設置するのに、住民向け説明会をするなんてこと、聞いたことがない。ここでも、都教委は社会にある「知的障害」者差別を助長させる。美辞麗句を使おうとも、「共に生きる」社会の実現に逆行させることが、国や都の方針なのだ。人々が低賃金労働に怒りを爆発させないために、為政者には差別構造が必要だから。

 上記した報告のAからCには、「底辺」の子どもを救おうとしない都教委の姿勢が明白だ。都教委がその姿勢を転換したなら、教員志望者は増えるに違いない。

『レイバーネット日本』(2019-09-21)
http://www.labornetjp.org/news/2019/0919nedu


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