2019/10/11

関西電力はブラック企業、原子力マフィアのボス  ]平和
  たんぽぽ舎です。【TMM:No3763】「メディア改革」連載第16回
 ◆ 関西電力社長の会見はキシャクラブの統制なし
浅野健一(アカデミックジャーナリスト)

 関西電力の歴代の役員、幹部が福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)らから多額の金品を受領していた「3億2000万円事件」は、日本における原発マフィアの実態を明らかにした。
 私たちは、この贈収賄、特別背任、脱税がなぜ、これまで隠蔽されてきたのかを究明しなければならない。
 テレビでは元検事の高井康行・若狭勝両弁護士や東京第二弁護士会から懲戒処分(大阪市の組合アンケート問題、裁判でも不当と認定)を受けた野村修也中央大学教授(弁護士)にコメントさせることが多いが、ゴーン氏の事件でも的確な論評をした郷原信郎弁護士も久しぶりに地上波に登場した。弘仲惇一郎弁護士の見解も知りたい。


 国税当局、大阪地検特捜部、大阪府警はなぜ、強制捜査をしないのだろうか。ゴーン氏、籠池泰典氏夫妻は逮捕、勾留したのに、アンフェアだ。

 関電幹部は2008年、毎日放送の「熊取6人衆」(京大原子力実験所の小出裕章助教ら)番組に怒り、毎日放送社長の携帯に電話をかけて「CMをやめるぞ」などと恫喝した過去がある。
 当時、朝日新聞、共同通信は関係者、電通の取材も終えていたのに記事にしなかった。
 関電はブラック企業、原子力マフィアのボスだ。近畿だけでなく全国のジャーナリストは、原子力マフィアについて徹底的な調査報道をするべきだ。

 関電は10月2日、2回目の記者会見を開いた。テレビで中継を見たが、キシャクラブの幹事社の記者が質問した後、TBS「報道特集」の金平茂紀キャスターが岩根茂樹社長に、「法的責任の他に企業トップとしての倫理責任がある」として辞職の意思はないか聞いた。
 岩根社長は「原因究明や再発防止策に取り組み、経営責任を果たしたい」として辞任を否定した。
 金平氏はSNSで「記者会見の場で社長に辞任させるべきだった」と投稿していた。金平氏は「大阪の記者たちはおとなしすぎる。パソコンに向かっているので、迫力がない。細かいことは聞くが、最も大事なことを聞かない」と言っている。韓国にみならって、日付が変わるまで聞いてもよかった。

 金平氏が関電の会見に参加して、質問できたのは、関電の会見が官庁の記者室ではなく、民間のビルで開かれたためだ。
 キシャクラブの仕切りで行われていたら入れない。

 意外なことだが、東京電力の会見も、キシャクラブの仕切りがなく、東電広報部に登録すればフリーランスでも参加できる。おしどりマコさんが東電福島第一原発事件の後、ずっと会見に出られているのは、キシャクラブの障害がないからだ。

 加計獣医学部疑獄の加計学園・加計孝太郎理事長が2018年6月19日に岡山市の学園本部で会見した時は、「岡山大学・交通記者クラブ加盟社」限定だったので東京新聞、週刊文春、フリー記者などは入れなかった。
 岡山理科大学獣医学部疑獄での「総理のご意向」に関する愛媛県文書をめぐる会見だったが、加計氏らが一方的に説明し、質疑応答は10分ぐらいで打ち切った。

 大手新聞やNHK、TBSの記者であっても、そのキシャクラブに常駐するメンバーでなければ、記者室を利用できないし、会見にも出られない。
 私が共同通信外信部の記者だった時、警察庁や裁判所のキシャクラブには入れなかった。かつて特派員をしていたインドネシアの市民が関わる事件でもクラブでの取材はできなかった。

 本連載12で書いた、日本で最初にキシャクラブを被告として民事裁判を起こした京都市伏見区の農業、藤田孝夫氏(故人)の裁判で、京都市が市政記者クラブとの懇親会に使った202万円は違法ではないという判決が確定している。
 京都市は1991年5月から10月まで7回クラブメンバーを接待し、出席者1人当たりの平均費用は約1万8000円だった。

 裁判所は、市や府にとって、記者クラブは広報機関としての役割を果たしているとして違法性はないとした。1人2万円近い豪華宴会が、社会的常識の範囲内として認められた。記者クラブは親睦を目的とした任意団体で被告としての当事者性がないと認定した。

 関電の役員たちは50万円のスーツ仕立券が「儀礼の範囲内」と考えていたが、日本では20万円を超えるスーツ仕立券は賄賂に当たらないという判決があった。京都府知事や京都市長が記者との懇談会で、1人当たり約2万円の飲食代を負担しても合法というのが日本の裁判所だ。

 京都府と京都市のキシャクラブは、裁判所に「記者クラブは、府庁、市役所の広報に役立っている」と認定されて喜んでいた。
 記者の仕事は権力の監視だと教育されている海外のジャーナリストにとっては考えられないことだ。

 日本のメディアで、藤田氏の対キシャクラブ裁判を報じたのは、日刊ゲンダイ(森下香枝記者=現在「週刊朝日」編集長)だけだった。
 藤田氏の裁判については元毎日新聞記者、木部克己氏の『犯人視という凶器』(あさを社)、拙著『記者クラブ解体新書』(現代人文社)に詳しい。

 私たちは、関電を取材する「記者クラブ」を監視しなければならない。
 関電はキシャクラブに限定しない国際標準のメディア対応をしてもらいたい。キシャクラブメディアには権力を監視する姿勢と能力がない。市民はメディア労働者を監視しよう。



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