2019/10/17

原発は「民主主義の対極にある」、人心を荒廃させた汚れたカネと嘘  ]Xフクシマ原発震災
 ▼ カネまみれ
   原発帝国の落陽
(週刊新社会)
鎌田 慧(かまた・さとし ルポライター)

 「原発は民主主義の対極にある」。70年代はじめから、原発建設反対運動を取材してのわたしの結論である。
 建設プロセスを貫通していたのは、膨大な汚れたカネと嘘だった。
 「電源三法交付金」「核燃料税」などによる核推進の国策は、地方議会を切り崩し、人心を荒廃させた。
 電力会社はカネに糸目をつけず、大量に地域にバラまいた。その経費はすべて電力料金に上乗せした。
 この「総括原価方式」は、人件費ばかりか、マスコミ対策、学者・文化人の買収費などのすべてを電力料金に上乗せさせる、政府の悪政だった。
 地方では、電力会社はカネを吐き出す「打出の小槌」だった。その一振りで住民を買収籠絡、原発反対運動を切り崩した。


 目に余るようになって、わたしは「経産省は、かつての軍部のように、敗色濃厚にしてなお、『聖戦』を唱えている」(『原発列島を往く』と書いた。
 フクシマ事故の10年以上前だった。

 いま時代が変わって、電力会社の幹部たちが立地町の助役から3億円もの大金をもらうようになった。
 助役は原発関連会社の顧問をつとめ、関電の幹部から「先生」、「先生」とおだてあげられていた。
 カネを貰ったのは、脅かされたからだ、と会長や社長が弁明した。しかし、脅かされてカネを支払うことはあるにしても、脅かされてカネを貰うチャンスがあるのは、売り上げ3兆1千億円、総資産6兆4千億円の電力会社の幹部たちだけだ
 もちろん、会長、社長がモンスターと喧伝(けんでん)される「助役」に脅かされていたのは、原発稼動にともなう原発汚染金の分け前をめぐる、「仲間割れ」を防ぐためだ。

 この一件、暴露されると、会長は月額報酬の2割を2カ月、社長はーカ月分を返上して、終わりにしようとした。
 それですむと思っているわけではないだろうが、腐りきっている。
 100万円の札束、一着50万円のスーツ仕立券、商品券。大判、小判の金貨、金杯などがざっくざっく。まるでよりどりみどり、乱獲奨励「高浜鉱山」のような、荒廃した光景になっていたようだ。
 政府の原発優遇社会が、人間の気品、衿持(きょうじ)の精神、自省、羞恥のこころを奪ってしまった。
 原発は、最も危険なモンスター、その証明である。

『週刊新社会』(2019年10月15日)


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