2019/10/27

維新政治による大阪の公教育破壊  ]Vこども危機
 ◆ 実施4年で問題点続出の大阪市「チャレンジテスト」 (週刊新社会)
子どもをテストで追い詰めるな!市民の会 志水博子

 大阪には全国で”唯一”と呼ばれる政策がいくつかある。中学生統一テスト「チャレンジテスト」制度もその一つだ。
 統一テストを実施している地方自治体は他にもあろうが、「チャレンジテスト」は高校受験の調査書(内申)にそのまま反映する。そのような手法を採っているのは大阪府だけである。
 2015年度から始まったこの制度により、中1・2年生は、その点数で(1年は3教科、2年は5教科)、教員が評価した5段階の評定の「修正」を余儀なくされる。教員の評価は適正ではないと修正された生徒は年間延べ2万人にも及ぶ。
 3年は、”団体戦”と称されるように、その学校の得点と大阪府全体の得点を比較し、各学校ごとの「評定平均の範囲」が決められる。


 例えばA中学2・0から2・6B中学3・8から4・4に全生徒9教科の評定平均を収めなければならなくなる。
 すると、A中学ではほとんど「5」はつかず、逆にB中学では「5」のバブル状態が起こる。

 何とも奇妙な制度が、当時の大阪市教育委員長の大森不二雄氏(現大阪市特別顧問)は、内申書革命と呼んだ。
 しかし、実施4年が経ち、府議会をはじめ市町村議会でも批判が起こり、昨年12月枚方市議会は大阪府にチャレンジテストの廃止を求める意見書を出したほどだ。
 大阪市立中学校長会は、チャレンジテストの公正性についてアンケートを実施したが、そこには悲鳴とも言える現場の声が噴出していた。

 9月2日、さすがにこのままではと考えた大阪府教育庁は「中学生チャレンジテストの見直し等について」を公表する。
 しかし、その内容はますます公教育の破壊を示すものであった。
 1・2年の「個人戦」こそ廃止するようだが、代わりに1年から「団体戦」方式を実施するという。おまけに全国学力テストに合わせて小学5年の統一テスト実施も新たに行うという。
 これでは改悪である。


 ◆ 維新政治の教育「改革」の狙い

 大阪維新の教育政策を捉える時、忘れてならないのは安倍政権との連携ぶりである。
 2012年2月、大阪で行われた「教育再生民間タウンミーティング in 大阪」で、安倍晋三衆議院議員(当時)と大阪維新の会の松井一郎大阪府知事(当時)は意気投合する。司会を務めたのは、主催者である目本教育再生機構の八木秀次理事長であつた。
 2006年第一次安倍政権下において教育基本法改悪。2007年には、43年振りに「全国学力・学習状況調査」、いわゆる全国学力テストを復活させる。
 大阪では、2008年橋下府政が始まり、2011年には「君が代」条例を制定し、翌2012年3月には新自由主義教育施策をベースにした教育諸条例を制定する。
 一方、安倍内閣が敷いた全国学力テスト体制教育は橋下大阪市長(当時)のリードによって市町村別公表、学校別公開にまで進んでいく。
 こうして競争と自己責任の学テ体制教育は安倍自民と維新の連携によって進んでいった。

 そして、大阪では全国学力テストに焦点を合わせた「チャレンジテスト」教育体制下が着々と作られていく。
 そもそも中3チャレンジテストは、文科省が全国学力テストの内申への利用を認めなかったことから始まった
 一見、大阪維新と文科省は対立しているように見えるが、同じ行政調査を目的とするチャレンジテストの内申利用については文科省は黙認している

 今回、大阪府教育庁はチャレンジテストに対する市民からの批判の声により何らかの「改正」を示さざるを得なくなったわけであるが、変更案は巧みである。
 わかりやすくしたとの大義名分をかざして、なんと1年から「団体戦」方式、つまり学校・地域を評価し、高校入試内申に反映させることとした。
 ”格差”はあって”当たり前”を自明とした公教育が行政によって打ち出されたわけだ。このまま行けば全国にも波及しかねない。私たちはこれを認めるわけにはいかない。


 ◆ 教育ビッグデータの構築

 安倍教育「改革」のもとで尖兵を務める大阪維新の会。青写真を書くのは、橋下徹氏が市長時代に教育委員として招聘した大森不二雄氏である。
 彼は教育委員長として、まさに維新が志向するところの新自由主義的教育「改革」の先頭に立って采配を振る。
 私は、大阪市教育委員会会議をも何度も傍聴したが、大森氏の弁のままに決定されていく有り様に唖然とさせられた記憶がある。
 その後、彼は2016年3月に任期をまたず退任する。理由は「多忙」。
 しかし、この時期大森氏は育鵬社教科書採択のためともいえるアンケート不正問題で追及されている真っ最中であった。

 なお「多忙」であるにもかかわらず4月には、彼は大阪市特別顧問に就任し、総合教育会議において吉村洋文市長(当時)とともに大阪市教育施策を牽引していく。
 昨年、吉村市長が出した、学力テストの点数を教員のボーナスに反映させる方針は、大阪市教育総合会議議事録を見る限り、背後で大森不二雄氏が動いていると見て間違いない。
 ところが、本年4月、前代未聞の大阪府知事と大阪市長の入れ替えダブル選により市から府へと鞍替えした吉村洋文大阪府知事であるが、ここで維新教育「改革」の本舞台は市から府へと変わったとみていい。

 先頃就任した文部科学相萩生田光一氏は、学校の情報通信技術(ICT)の環境整備を謳っているが、すでに大阪ではICTとともに「教育ビッグデータ」の構築・蓄積から活用が大森氏によって盛んに推奨されている。
 統一テストを行うのはおそらくそのためであろう。そして、それは教員人事評価制度にも直結する問題である。全国から反対の声をあげてほしい。

『週刊新社会』(2019年9月24日、10月1日、10月8日)


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