2019/11/17

麹町中学校工藤勇一校長は、安倍「教育改革」の異端児か?最も期待される担い手か?  ]Vこども危機
  =『学校の「当たり前」をやめた』著者 工藤勇一 学校長の=
 ◆ 麹町中学校視察記
(『いまこそ』予防訴訟をひきつぐ会通信)


 10月某日千代田区立麹町中学校の学校視察に原告の仲間2人と共に参加した。
 「宿題は必要ない、クラス担任は廃止、中間期末テストも廃止」〜表紙の紹介文にこう書かれた麹町中学校校長の著「学校の『当たり前』をやめた」なるタイトルにひかれて読んだ麹町中学校の「教育改革」にじかにふれてみたくなったからである。
 当日集合時間の午後一時よりやや早めに着いたが、さすが話題の学校、校門の前は貸し切りバスで乗り付けた山梨、茨木などから教育関係者もいて総勢170名という盛況ぶり。

 第5校時の授業見学は1〜3年までどの学年・クラスも出入り自由、その後2時から5時まで3時間にわたる工藤校長の講和を視聴した。
 私が見学したのは2年生のクエストエヂュケーションなる授業(ちなみに2年生はA〜D組の4クラス全てが同じ授業)。


 生徒は3〜4人のグループに分かれ、自分たちが選んだ企業(大和ハウス・大正製薬・テレビ東京・三菱地所等7社)の製品(ないし番組)開発についてPCを使い調べたり、話し合ったりして模造紙にまとめていた。
 ちなみに教員は冒頭パワーポイントを使い説明したが、あとはほとんど口出しせず見守っていただけ。

 生徒たちはややゆるい感じはあるもののリラックスした表情で、グループ毎にPCを検索し話し合ったりしながら、まとめる作業にいそしんでいた。
 聞けばこの授業は一年間かけて取り組まれ、最終的には企業人を前にプレゼン、最も優れているとされたものが全国大会に出場、麹町中学校は毎年優秀な成績を収めているとのことであった。

 質疑を入れて3時間ぶっとうしでもたれた校長の講話は、校長らしからぬラフないでたちとエネルギッシュな語りのざっくばらんさに好感がもて、事前に読んでいた校長の著書の内容がよりわかり易く、その「改革」(とりわけその手法)のリベラルさに圧倒される思いを感じて聞き入ったが、著書を読んだ直後に湧き上がった疑問〜「安倍政権の推し進める『教育改革』に棹さす『改革』ではないのではないか」との疑問は消えるどころか、より強い確信になった。

 校長の教育実践のりベラルさは、生徒を《お客様》扱いにせず、今の社会の一員として当事者意識を持たせ、授業も全て問題解決型の学習にしていくというもの。
 カリキュラムは「社会に開かれた教育課程」(改定指導要領)どころか「社会とシームレスな教育課程」との言葉通り、授業の7割は企業と連携したものである、という。

 その根底には子供たちに「(今の)社会でよりよく生きていけるようにする」、そのためには「自ら考え判断し決定し行動する資質」、すなわち「自律する力」つけていくことが教育目標というプラグマティックな発想(思想)がある。
 言い換えれば産業構造がめまぐるしく転換する今日の日本社会(否世界)、第4次産業革命の進展する社会にあって、その社会の一員としての当事者意識をもって(否リーダーとなるべく)自ら切り開いていくことが不可欠というものである。

 要は、授業の全てを「問題解決学習」にするという学習方法のりベラルさには目を見張らされるものの、欧米諸国や中国にも遅れをとっている第4次産業革命にその生き残りをかけて、焦りさえ滲ませている政財界の要請に応えるのが麹町中学校の《「教育改革」の要》の考え方。
 正に安倍「教育改革」を棹さすどころか、否安倍「教育改革」をその最先頭で牽引する「教育改革」といっても決して過言ではない、との思いを禁じえなかった。

 それにしても工藤校長はその著書においても講話の中でも「愛国心」教育には全く触れることがなかった。
 それどころか「新しく目指す学校は《よりよい民主主義社会を創る》ための」体験をさせる場であり、「民主主義の本質は多数決ではなく、少数意見をとりあげ、合意形成をつくっていくこと」、そのためには「生徒を《お客様》扱いせず、責任者・当事者意識をもったリーダーとして育てる必要がある。」と説く、のである。
 その内容・手法は彼の「教育改革」の手法にも貫かれているそのままに、文字通りりベラルである。

 私は、工藤校長が「愛国心教育」を、そしてこれを行うために文科省が改定指導要領に「道徳科」を新設したことをどう考えているのか、知りたいと思い、質問をしたが、校長の答えは「(政府・文科省と)愛国心教育の是非で対立構造をつくっては駄目、あくまで上位の目標は平和・民主主義の実現、その目的を達成するために『愛国心教育』は?と合意形成をはかっていくことが大事」というものであった。
 果たしてそういえるであろうか。安倍政権にとって「愛国心教育」は工藤校長言うところの「上位目標」どころか、最上位の目標ではないか!だからこそ教育基本法にも「愛国心教育」を盛り込んだのではないか!〜校長の話を聞きながら違和感を覚えた。

 麹町中学校では毎日、生徒が自分たちの手で「国旗」を掲揚しているという。自主的に掲揚するのであれば「問題なし」というのであれば、ソフトな形での「愛国心教育」は望ましいと考えているとしか思えない。
 むしろこのソフトさこそ、日本人としてのアイデンテイテイを根ずかせるのに、巧妙なやり方と感じてしまうのであるが、そう感じたのは私だけであろうか。

 安倍政権とて偏狭なナショナリズム教育をよし、としている訳では決してない。政治的・経済的な海外進出をスムーズに行うために、異文化理解のためにこそ日本人としてのアイデンテイテイの必要性を説いているのだ。
 教育再生実行会議に名を連ねている工藤校長は、決して安倍「教育改革」の異端者ではなく、安倍「教育改革」の最も期待される担い手として任命された牽引者なのだと、改めて認識せざるをえないとの感を深くした学校視察となった。(高槻)

予防訴訟をひきつぐ会通信『いまこそ 20号』(2019.10.30)

2019/11/20  8:50

投稿者:垣内つね子
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