2019/11/19

根津公子の都教委傍聴記(2019年11月14日)  Y暴走する都教委
 ◆ 教育はますますダメになる情けない話題ばかり (レイバーネット日本)

 都庁は数年前から来庁に際し、受け付け票に氏名・住所・電話番号等を書いて提出させている。質問してもその必要性について説明をしてくれない。個人情報の提供を強要するならば、強要する側がその必要性を説明すべきと思う。必要性があれば私(根津)も受け入れるが、都民を上から目線で扱い、しかも、税金の無駄遣いでしかない。
 今日は私の名前をフルネームで書き、あと4人は苗字まで書いて出したところ、「名前を書いてください」。この人たちは警備会社で安く使われている人たちなので、皆さんに迷惑をかけるつもりのないことを伝えたうえで、都の総務部の責任者を呼んでもらった。総務部職員に必要性の説明を求めたが、職員はそれには答えず、いや答えられないのだろう。「名前を書けば入れる」の一点張り。職員は1時間が過ぎたところで、「引き上げる」と宣言して離れていった。というわけで、私たち5人は傍聴ができなかった


 そこで、Hさんに傍聴記をお願いした。Hさん、ありがとうございます。

 教職希望を増やすために都教委が考え出した策は、悪い冗談のよう。教員採用試験の倍率が極端に低いのは、都教委の教員管理・支配と弾圧が招いたこと。それが失策であったことを都教委はまず自覚すべき。

@@@@@ Hさんの傍聴記 @@@@@

 本日の傍聴者は、たったの4人。毎回余りに無内容な会議ばかり続くので、みんな傍聴する意欲も失せたのかと思ったら、別の事情があったようだ。今日も公開の議題は2つだけ。しかも薄い内容だった。ただし突っ込み処は色々あった。
  @議案:「管理運営規則の一部改正」等の件
  A報告事項:来年度の「教育庁所管予算」見積の件

 @の規則改正の中味は、都立学校の栄養教諭に上級職を導入することである。

 栄養教諭に、新たに上級職として「主任」(給料表3級)「主幹」(同4級)を設置する。改正理由に、「東京都全域における食育推進体制を充実していく上で極めて重要な職務」「人材育成の強化及び食育推進体制の更なる充実を図る」等の文言が並ぶ。あれ? 都立高校に給食ってあったっけ?て思ったら、一人の委員が質問してくれた。

 人事部の答は、全都で63人、都立は2人ということだ。
 この規則は都の規則、つまり対象者は63人しかいないのに「上級職」を作って職階を3段階にするということらしい。
 人事部は、都が規則改正すれば、執行予定の来年4月1日までに区教委も揃って規則改正してくれるはず、みたいなことを言っていた。確かにそうなれば対象者はもっと増えるだろう。でも、それじゃまるで区教委は都教委の下部組織だ。教育行政の地方分権の原則なんかお構いなしということか。

 そこまでして、栄養教諭に職階制を持ち込みたいか。これは子どものためなのか?お役人が何か仕事をやったふりをするためなのか?
 パワハラはタテ社会で起きるというが、こんなところまでヨコ社会を壊してタテ社会を導入してどうする。
 高校生の「食育」を言うなら、都立高校定時制の給食を次々民間委託にして、子どもたちから温かい給食を奪い、栄養教諭を首切りしてきたのはどこの誰か、と聞きたい。

 質問!!栄養豊かな食事を用意する「食育」と、職に上級下級を付けることと、どのような関係があるのか、説明してもらいたい。どこに金使ってるんだ。違うだろ!


 A「令和2年度教育庁所管予算見積について」という表は、多分HPで公開されるはず。

 12頁にわたる表を、総務部の担当者が20分くらいダラダラと説明していたが、この表と説明を聞いただけで教育庁が何をやりたいか、財政の意図をつかめるものはいないだろう。案の定というか、教育委員達からもそのような趣旨の質問が相次いだ。

 「どこに注力しようとしているのか、分かるような示し方は出来ないのか」「横並びの項目の羅列では、コア・コンピタンスが分からない」

 しかし財務担当者が説明したいことと教育委員が知りたいことの溝は最後まで埋まらないままだった。

 具体的には、こんなやりとりがあった。「8.教員の育成(1)A」に次のような記述がある。
 “将来の東京の教育を担う人材の育成に向けて、東京学芸大学との連携により、都立高校において、大学教員による教職の魅力を伝えるセミナーや教職大学院生による専門教科・科目のワークショップ、地元の小中学校での教育実習体験などの取り組みを実施。【新規】”
 ここで一人の委員が「東京にはたくさんの大学があるのだから、『東京学芸大学』の後に『等』を入れて、連携の幅を広げてはどうか」と質問したのに対し、総務部の答は、「既に執行予定で先方と打ち合わせているので、今年は『等』は入れられない」というものだった。
 学芸大と言えば近年、近藤精一・金子一彦・伊東哲ら歴代の指導部長が相次いで天下っていることはよく知られている。どこまで癒着しているのか。

 さらに「大学の先生が高校の教室で『教職の魅力』を伝えるのですか」の問いに、「その通り」との答え。

 それには他の教育委員から、「目の前に本物の高校の先生がいるのに、わざわざ大学の先生を呼んできて『教職の魅力』を語ってもらうんですか。教職を目指してもらいたいなら、目の前の高校の先生に直接お手本になってもらった方がよっぽど『教職の魅力』が伝わるのではありませんか」との意見が出て、他の教育委員も次々同調した。

 真っ当な意見だ。おそらく都教委は、今の都立高には『教職の魅力』を語らせる実態がないことを知っていて、外部の人間に「空虚な理想論」を語らせようとしているのだろう。
 現場ではとても思いつきようがない珍奇な案を上から有無を言わせず押しつけるのが、今の都教委だ。

 金の使い途について、感想を2〜3書いておきたい。

 「生徒」に関わることでは、今や“学力!学力!学力!”のオンパレード。「全人教育」という言葉は、都立高ではとっくに「死語」になってしまったらしい。

 英語教育には「話す力」を中心に、58億9600万円予算を付けて多彩な事業を展開している。しかし、大学入試の英語民間試験導入が延期されたので、目論見が狂ったのではないか?

 「教員の働き方改革」には、213億8600万円を注ぎ込む。しかしその中に、「正規教員の定数増」のような直接業務軽減につながる策は1つもない。自助努力が足りないと言わんばかりの項目が並ぶ。
 これでブラックが解消に向かうとは、現場は誰も思わないだろう。現場の声、組合の声を聞いて吸い上げたとは到底思えない

 今日前半の「栄養教諭の規則改正」の時に「組合との交渉で合意を得ています」と都合の良い時だけ組合の名前を使っている。ところが肝心の労使交渉の最重要課題である労働条件問題では組合の意見を全く聞かずに、一方的に上からお仕着せの「改革」を押しつけるとはどういう了見か。だから見当違いの項目ばかり並ぶ。
 このようなタテ社会組織の中で、ますますパワハラが生まれていく、というかパワハラで押しつけるしか実行不可能な無意味な策しか生まれない。
 東京の教育界は隅々までタテ社会に作り変えられてしまった。学校から「民主主義」は消えようとしている。

 最後に、教育委員諸氏も指摘していたように、予算の示し方が不親切で分かりにくいことについて一言。
 ささやかな提案!!教育へのお金の使い方が都民にもパッと見て分かるように、各項目が全体の中でどれだけの配分になっているかパーセントの数字を付けるなり、グラフで示すとか、また各項目毎に昨年との増減を数字で示して、今年は何に力を入れてその分どこを削ったのかすぐ分かるように親切に示して欲しい。それくらいの工夫ができないほど、総務部は無能ではないだろう。

 今日も、これでは東京都の教育はますますダメになって行ってしまう、という情けない話題ばかりだった。

 次回の定例会は、11月28日(木)10:00〜 都庁第2庁舎16Fで9:30〜9:50に受付。

『レイバーネット日本』(2019年11月16日)
http://www.labornetjp.org/news/2019/1114nedu



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