2019/11/23

「N国」は、安倍・日本会議政権の「別働隊」  ]平和
  《教科書ネット21ニュースから》
 ◆ 放送制度の破壊狙う「N国」の策動
   「公正な放送」の運動への悪質な攻撃

丸山重威(まるやましげたけ ジャーナリスト)

 7月の参院選で「NHKから国民を守る党」(立花孝志代表、N国)が、選挙区で150万票、比例代表で98万票を獲得、1議席を獲得しました。既に、各地で地方議員を擁し、一部では知られていましたが、国政では全く無名だったため、一躍脚光を浴びました。
 「優れた企画も多いが、ニュースはひどい」「国会審議でも野党の質問は一言。首相がやたらに登場する」「政府に都合が悪いニュースは報じない」など、NHKへの批判は少なくはありません。
 ですから「N国」を、「報道の自由」や「NHK改革」の中心だと「誤解」した有権者もあり、私も「N国を支持するんですか?」と、そそっかしい質問を受けたこともあったほどです。


 ◆ 実は政権の「別働隊」

 しかしこれは全く違っています。「N国」は、初登院した立花代表に安倍首相が議場で近づき握手したり、政党助成金狙いで議員数を増やそうと、「みんなの党」の渡辺喜美議員と院内会派を結成、「戦争で領土回復」を公言した丸山穂高議員を加入させるなど、およそ、国政に責任を持つ政党らしからぬ動きが目立っています。
 さらに立花代表は、「安倍改憲」について「スクランブル放送を実現させるために改憲発議に賛成することもある」と発言。

 根拠はわかりませんが、幹事長になった上杉隆氏が、今回の内閣改造について「立花党首に総務大臣として入閣要請があるものだとばかり思っていたので、まずは残念」との談話を発表したりしています。
 結局「N国」は、「メディア改革の旗手」どころか、安倍・日本会議政権の「別働隊」。運動の「破壊者」でしかないようです。

 放送について運動を続けてきた「放送を語る会」は8月14日、「N国」の生張を批判する「見解」を発表しました、、
http://www.ne.jp/asahi/hoso/katarukai/190814nkoku_kennkai.pdf
 NHKについては、既に「放送を語る会」や日本ジャーナリスト会議など、ジャーナリズム運動の中で「公共放送としてこれでいいのか」と、問題にされ続けてきました。
 特に、2001年、慰安婦問題を取り上げた番組が、当時官房副長官の安倍晋三現首相などの「干渉」で内容が改ざんされた「番組改編事件」などを契機に、「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」「NHK問題全国連絡会」が活動し、運動は広がりました。
 最近では「NHKとメディアの『今』を考える会」が、訴えを続けています。

 安倍内閣は、参院選を中心にしたことしも「韓国叩き」と「令和」、「小泉進次郎・クリステル」「韓国政界の疑惑」キャンペーンなどで、報道を操作・支配し、米国に一方的に譲歩した貿易協定などは隠して世論誘導する傾向を強めています。
 今回の参院選でも、例えば7月16−18日の3日間、NHK「ニュースウオッチ9」では、「密着党首の訴え」を報道しましたが、議席数をもとに時間配分したため、自民・安倍首相は他党首の2倍以上の時間が当てられるなど、首相の露出が日立ちました。
 こうしたNHKの姿勢をただし、公正なメディアを求める運動が広がる中で、これに便乗し、問題をすり替え、票をかすめ取ったのが「N国」でした

 ◆ 「公共放送」の破壊目指す

 日本の放送制度は、戦後1950年に放送法とともに、電波管理委員会設置法が創設され、電波行政を担っていました。
 電波管理委員会は52年、吉田内閣の下で廃止されましたが、NHKは放送法で、受信料制度で支えられる代わりに、全国どこででも放送が聴けるようにする責任を負い、同時に、経営委員の任命と毎年の予算は国会承認を受ける公共放送として運営されてきました。
 受信料については、その支払いを拒否したり、報道などに不満を持って支払いを停止している視聴者が少なからず居るなど、問題を含んでいます。

 「N国」はこの「矛盾」につけ込みました。
 「N国」は「受信料を払った人だけがNHKを視聴できるようにするNHK放送のスクランブル化を図る」とし、「達成されれば党を解党、議員を引退する」とも主張しました。
 有権者の中には「NHKの偏向」を正すため、受信料の「不払い」や「停止」をしている人もいるのですが、「N国」は「議員が番組内容について言及するのは検閲となり、違憲となるから偏向報道の批判はしないとしています。
 そして何と、「改憲賛成と引き換えに、スクランブル放送を実現してもらう」と言い放っているのです。

 「スクランブルをかけて、受信料を払わない人には視聴できなくする」というのは、「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように、豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送を行う」(放送法)などとする、放送制度とNHKの理念を捨て、NHKをただの「会員制ペイテレビ」にしてしまおうというものです。
 そうなれば、NHKは間違いなく「ぶっ潰され」、公共放送と民間放送との2本建てで、ニュースや文化、スポーツなどの情報を流してきた日本の放送制度そのものが壊れ、権力者に都合のいい情報だけが大量に流され、世論が作られていく状況がますます進んでいくことが考えられます。

 ◆ 明らかになったかんぽ報道への:干渉

 9月26日の毎日新聞は、かんぽ生命保険の不正販売問題を追及したNHKの番組「クローズアップ現代+」(昨年4月24日放送)に対し、日本郵政がNHKに繰り返し苦情を言い、経営委員会(会長・石原進JR九州相談役)が上田良一会長に厳重注意、郵政に謝罪した、と報じました。

 経営委員会は「企業ガバナンスの強化」を名目に注意。続いて、郵政には現場の責任者を派遣、謝罪させたことや、予定していた続編の放送を中止させましたが、この間の事情は議事録たは掲載されていませんでした。委員からは、ネットで被害を集めた取材方法に批判もあったといいます。
 石原会長は「経営委員会が番組の編集に関与できないことは認識している。自主自立や番組編集の自由を損なう事実はない」と述べましたが、日本郵政の幹部には放送行政を所管する総務省の出身者も少なくありません。
 「身内にひどいじゃないか!」という郵政の番組干渉と、政府の意向を付度するNHKの姿勢でした。

 ◆ 改めて「放送改革」の運動を

 安倍首相は昨年1月、「インターネットテレビは、放送法の規制がかからないが、見ている人にとっては地上波などと全く同じ。電波でも思い切った改革が必要だ」と述べ、「放送改革」を表明しました。
 さすがに、具体化はしていませんが、考えられているのは、「インターネット通信と放送で異なる現行規制を一本化、放送局に『政治的公平』を義務付けた放送法4条を撤廃し、規制緩和、自由化をすすめる。一方でNHKは番組内容の規律を維持」というもの。
 民放は「ネトウヨ化」、NHKは「アベノ化」を狙った路線とみることができます。

 9月の内閣改造では、2016年に「政治的公平性を欠く放送を繰り返したテレビ局には、電波停止(停波)を命じることができる」と述べた高市早苗氏を総務相に復活させました。

 参院選で確認された、市民連合と野党の共通政策第13項では、「国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること」とうたって、初めて報道の問題が加わりました。
 放送や電波の総務省の許認可権を、中立組織に取り戻し、放送への政府の干渉をなくそうという政策です。

 放送法第4条では、放送の自立を守るため、「政治的に公平」「意見が対立している問題は、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」など、番組編集の基本が決められています。
 もともと、この条文は米国の制度を倣ったものですが、米国は1987年にこの規定を廃止、自由化しました。
 その結果、3大ネットワークや新聞が大きく衰退。インターネットによる右派メディアが世論をリードするようになり、トランプ大統領当選の要因を作りました。

 国民の目と耳となり、いまとこれからの国民生活のために、ニュースや報道には、事実に基づき公正で、文化については、人間性豊かで香り高いものであることが必要です。視聴者には、放送メディアをただ受け流すだけでなく、批判的に見つめ、積極的に発言することも必要になっています。

『子どもと教科書全国ネット21ニュース 128号』(2019年10月)


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