2019/12/9

安倍首相「桜を見る会」疑獄発覚後のメディア関係者との頻繁で長時間の会食は公金による報道陣の買収だ  ]平和
  たんぽぽ【TMM:No3808】「メディア改革」連載第20回
 ◆ 官邸キャップが買収疑獄告発の最中に安倍と会食
   内閣記者会を解体し、官邸広報センターを

浅野健一(元同志社大学大学院教授、アカデミックジャーナリスト)

 血税で開いた「桜を見る会」で山口4区の有権者を無料接待する後援会活動をした安倍晋三首相の「桜を見る会」私物化疑獄が政局になってきた。
 臨時国会は12月9日に閉会するが、安倍氏本人の選挙違反被疑事件だから、人民とジャーナリズムの共闘があれば安倍氏の公民権を停止できる。

 政権反対党(海外では政権反対党をopposition party=反対党=と呼ぶ、野党ではない)とメディアの調査報道で、マルチ商法のジャパンライフ会長が首相枠で桜の会に招待されていたという新事実が出てきた。
 共産党の宮本徹衆院議員が5月9日に桜を見る会に関する質問書を出した約1時間後にシュレッダーで廃棄されたこともわかった。


 「週刊文春」は、安倍氏が代表を務める自民党山口県第四選挙区支部が約89万円を下関市の「サンデン旅行」に支出したことを示す領収書をスクープ。
 「サンデン旅行」は安倍事務所の依頼で「桜を見る会」ツアー(ホテルニューオータニでの前夜祭と称する夕食会を含む)を組んだ旅行会社で、この費用は、「桜を見る会」のために地元事務所の秘書やスタッフの旅費と思われるが、安倍首相の政治団体の収支報告書には記載がない

 また、菅義偉官房長官は国会で、今年の「桜を見る会」で、組織暴力団関係者とツーショット写真を撮っていたことについて、「出席は把握していなかったが、結果的には入ったのだろう」と述べ、「反社会勢力」の参加があったことを認めた。菅氏は国会で「反社の定義は決まっていない」とふざけた答弁をした。
 吉本興業の芸人はNGでも政治家はOKなのかという批判が出ている。

 私は11月20日、モリカケ問題で告発運動を担った「税金私物化を許さない市民の会」の仲間と共に、安倍首相を「桜を見る会」疑獄で、公職選挙法違反(買収)と政治資金規正法違反(夕食会での収支の不記載)の疑いで刑事告発した。
 山下幸弁護士を代理人として、東京地検特別捜査部直告係へ告発状を提出した。受理されるかどうかは数週間以内に決まる。

 講談師の神田香織氏、一水会顧問の鈴木邦男氏、ジャーナリスト斎藤貴男氏ら50人が告発人になった。
 私たちは12月9日(月)午後5時から7時まで、衆議院第二議員会館多目的会議室で「安倍政治にとどめを!」集会を開く。

 モリカケ疑獄での財務省幹部らの告発の時にもあったが、今回も「刑事告発すると、安倍氏の国会での答弁拒否の理由に使われる」「安倍に逃げ道を与えるようなものだ」という批判が目立った。「安倍に頼まれてやっている」などという中傷もあった。告発しても、「総理の地位にある限り絶対に安倍は逮捕も起訴もされない」という指摘もあった。

 しかし、私たちの告発前に、東京都の市民が11月13日、東京地検に同じような告発状を郵送している。森羅万象を扱うという行政権力の長が、司法の捜査を理由に国会答弁を拒否したら、もうおしまいではないか。確かに、首相の訴追は非常に難しいが、捜査を開始させなければならない。モリカケとは違って、安倍氏自身に選挙違反の疑いがかかっている。

 安倍首相は「桜を見る会」疑獄の発覚後、キシャクラブメディア関係者との高級飲食店での会食を重ねている。

 首相は11月15日夜、東京・丸の内のパレスホテルにある日本料理店「和田倉」で日枝久フジサンケイグループ代表と約3時間会食。
 この日は、正午過ぎと午後6時過ぎの2回、「桜を見る会」に関して官邸で内閣記者会の番記者のぶら下がり取材を受けている。これは「会見」でなく、立ち話だ。

 18日夜は東京・有楽町の日本生命日比谷ビルにある和食レストラン「春秋ツギハギ 日比谷」で読売新聞東京本社の柴田岳常務取締役論説委員長、田中隆之取締役編集局長と約3時間会食。この日も、午前10時に、官邸でぶら下がり取材に応じている。

 20日夜には、東京・平河町の都道府県会館内の中国料理店「上海大飯店」で内閣記者会加盟報道各社のキャップと約2時間懇談している。毎日新聞だけは参加しなかったという。この会食は2日前に急に決まり、安倍氏は完全オフレコの懇談で、「桜を見る会」を巡る野党の追及を「この問題、ワイドショーはまだやるのかな?昭恵のことももうやったし、後援会の話も出たからもういいんじゃないかね」とうそぶいたという。「転がっているサッカーボールに子供が飛びついているようなもの」「週刊誌はウソばかりだ」とも言い放ったという。
 安倍氏は前夜祭の開かれた高級ホテルでの会食は「1人、1万5千円以上かかる」と調査報道したNHKを名指しで批判し、ぶら下がり取材でのNHK記者の質問について「あれ、キャップが聞かせているの?」と聞いたという。

 21日夜は東京・若葉のフランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」で、作家の百田尚樹氏、評論家の金美齢氏、ジャーナリストの桜井よしこ氏、有本香氏、作曲家すぎやまこういち氏と約2時間半会食。有本氏は安倍氏お気に入りの御用ジャーナリストで、大阪府参与も務めている。

 22日夜は、東京・渋谷の焼き鳥店「鳥福」で秋山光人日本経済社(日経新聞グループの広告会社)特別顧問らと約2時間会食した。秋山氏は安倍氏の父、安倍晋太郎元外相の番記者だった。

 1週間にメディア関係者との会食が5回というのは異常だ
 自分がお気に入りの企業メディアの経営者、論説委員、官邸キャップらと高級飲食店で会食を重ねるのは、桜を見る会と同様の公金による報道陣の買収である。

 高山佳奈子京都大学教授(刑法)は2015年7月、「首相がマスメディアの要職の方々と夕食会を何十回も繰り返している。圧力をかけたり、それから裏取引をしたりということは、場合によっては『刑事罰の対象になる行為』である。『業務妨害罪』であるとか、あるいは民間の『贈収賄罪』というような犯罪類型もある」と指摘している。

 内閣記者会の各社キャップ(官邸キャップ)との会食での首相とのやりとりは、全く報道されていない。記者だけが知っていて、人民には知らされないのは、ジャーナリズムの原則に違反している。
 内閣記者会は全国に約800あるキシャクラブの中で最も重要なクラブだ。内閣記者会は一部の外国メディアや官邸のお気に入りのニコ動などには部分開放されたが、私たちフリージャーナリストは参加もできない。

 韓国にもかつて記者団制度というキシャクラブと同じような排他的制度があった。日本の植民地支配の遺制だった。
 廬武鉉大統領は記者団廃止を公約の一つに掲げて大統領選挙で当選し、2004年に記者団制度を廃止し、青瓦台の記者団も解体され、広報センターが設置された。
 記者団に入れなかったネットメディアなどが裁判を起こし、裁判所の判決もあって記者団制度は廃止された。

 日本でも、首相や官房長官の記者会見にすべてのジャーナリストが参加できるようにすべきだ。当面は、内閣記者会の記者に頑張ってもらいたいが、内閣記者会を解体しなければ、キシャクラブ以外の記者は記者室に入ることもできない。キシャクラブ制度を不問にして、「会見をオープンに」と言っても実現性はゼロだ。


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