2019/12/11

「10.20集会実行委員会」による都教委請願  X日の丸・君が代関連ニュース
 ◆ “君が代”訴訟の教職員、「処分取消履歴明記」を都教委に請願
   都教委処分は恣意的 生徒に“猥褻”は停職の大甘も
(マスコミ市民)
永野厚男(教育ジャーナリスト)

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請願署名を都教委の中西正樹課長に手渡す近藤徹氏

 小中高校・特別支援学校の卒業式等の“君が代”不起立等の教職員延べ483人を、懲戒処分にしてきた東京都教育委員会と裁判闘争をしている教職員ら市民17人(平日のため元教員中心)が10月29日、都庁内で請願行動を行った。
 はじめに被処分者の会・近藤徹事務局長が「学校に自由と人権を!10・20集会」(『週刊金曜日』10月25日号拙稿)等で集めた、処分発出の元凶である“10・23通達”の撤回等を求める300人近い署名を、都教委の中西正樹・教育情報課長に手渡した。


 2012年1月・13年9月・今年3月の最高裁判決は、76件・65人もの減給・停職の処分取消しを都教委に命じている(【注】参照)。

 都教委は処分発出時は当該教員を校長同伴で呼び出し、発令通知書を手渡しする。しかし処分取消し時は、履歴力ードから処分歴を消去し、減額した給与を戻すだけ。謝罪は一切しない(裁判所に減給処分取消しを命じられた腹癒せに、都教委は現職教員には戒告の再処分まで出し続けている)。
 こうした実態を受け、停職・減給の計3回の処分取消しを勝ち取った元都立高校教諭らは「処分取消し通知書と理由書を文書で頂きたい。都教委は『最高裁が取り消し、履歴力ードの記録は消えましたから』と言うだけで、一切謝罪しない」「手書きの時代の履歴力ードは、二重線で処分を取り消した事実が分かったが、履歴力ードがPCの電子情報となり、不当処分がなかったかのように、処分歴を消去するのは文書の改ざん窟になる」などと追及。
 中西氏は「処分歴消去の規定があるかは、人事部に確認する」と回答した。

 ◆ 処分発出時HPに載せるが、取消し決定時は公表しない都教委

 次に、都教委は原則、猥褻(わいせつ)・盗撮・飲酒運転等の犯罪で懲戒免職になった教職員について、処分発出から半年間、ホームページに実名を出す
 不起立等への処分は最高裁判決前は停職もあったが、免職はないので教職員の実名は出さないものの、校種と地域、職名、年齢、性別、処分内容を、体罰やUSBメモリー紛失等の教職員の処分と同じHPに、半年間載せ続ける。
 しかし処分取消し時はHPに一言も載せない

 都立学校教職員ら結成の「被処分者の会」がこの理由を質した質問書に、都教委人事部職員課は8月15日、「他の機関が行った決定や発表等について公表していません。…裁判所の決定等についても、公表する考えはありません」と文書回答。
 このため元教職員らは「処分発出時、大々的にHPに載せるのに、最高裁に取り消された時はその事実を載せないのは、公平性を欠く。人権や名誉が著しく侵害・殿損されている」と述べ、HPに処分取消しの事実を掲載するよう強く求めた。

 中西氏は「処分発令時のHP公表は、服務事故の防止のためだ。最高裁の判決を受け都教委は、きれいきっかり取り消すのでなく(現職教員は)戒告の再処分発令で処分は残る」と述べつつ、「最高裁の判決や決定に基づき、都教委が処分取消しを決定した経緯を調べ回答する」と明言した。
 しかし、「最高裁判決は『他の機関が行った決定や発表等』とは異なり、三権の一つだから法的効力・重みがある」という市民の追及には、中西氏は「そういう意見があったことは記録し伝える」と答えるに留まった。

 ◆ 減給取消し確定の現職教諭を再処分するな

 13年3・4月の卒業・入学式で4・5回目の不起立を貫いた都立特別支援学校の田中聡史(さとし)教諭に、都教委は前記12年1月の最高裁判決後にもかかわらず、減給処分を発出した。これに対し最高裁第一小法廷(池上政幸裁判長)は今年3月28日、都教委の上告申立不受理の決定をし、同処分取消しが確定した。元教職員らは、「何年も遡(さかのぼ)り、田中教諭に戒告の再処分を発出するな」と求め、請願行動を終えた。

 ◆ 生徒に猥褻行為した教諭を、停職の大甘処分に留めた都教委

 教職員や保護者ら市民の間で、「処分反対」の意見が多い教職員の“君が代”不起立と対照的に、猥褻等性犯罪を犯した教職員への厳罰は、大多数の市民が望む。だから、文部科学省初等中等教育局は10年1月と11年1月、「児童生徒への猥褻行為をした教員は原則、懲戒免職に」との文書を出しているのだ。懲戒免職は退職金ゼロ、教員免許剥奪、氏名公表となる。

 ところが03年4月〜08年3月、初の民間(リクルート)出身で都内公立中学校(杉並区立和田中)の校長を務めた、藤原(ふじはら)和博(かずひろ)氏が在職中、赴任してきた数学科男性教諭(当時50歳代後半)の猥褻行為に対し、都教委は懲戒免職にせず、停職6か月の大甘(おおあま)処分(教員免許は剥奪されず復職できてしまうし、自主退職したとしても退職金は支払われる)に留めていた事案が発覚している。
 当該教諭はリクルート出身の2代目民間人校長・代田昭久(しろたあきひさ)氏が在職中の09年12月末から10年1月にかけ「補習授業」と称し、女子生徒を放送室や印刷室等の密室に呼び出し、下半身を触る猥褻行為を繰り返し(当時の杉並区教委・大島晃(あきら)指導主事作成の11年1月24日の臨時保護者会の記録に「スカート内に手を入れ、太もも20秒、ひざ裏・・・その夜保護者から連絡が入り、次の日教諭から事実を確認した」と明記)、口止めまでしていた。
 しかし代田校長(当時)は「教諭は病欠」と虚偽報告(代田氏は懲戒処分に至らず、文書訓告どまり)。悪質性・不透明性の高い事案だが、都教委は1年近く放置・隠蔽し、11年1月20日、ようやく前記・停職6か月の大甘処分に至った。停職処分は氏名非公表だが11年1月23日、一部マスコミが暴露報道し、明るみに出た。
 だが前記・大島指導主事の記録は「都では区部としか公表していなかったのに、報道では特定されてしまった」と、都・区教委は被害者であるかのような書き振り。

 臨時保護者会では「復職できてしまう停職処分は甘い。日本中の教壇に立ってほしくない」等、不安・不満の声が続出したのに、都・区教委は猥褻事案には反省が不十分なのだ。
 一方、今回は紙幅の関係で言及できないが、国家主義思想につ取り憑かれた都教委は、“君が代”絡みの処分では思想転向を迫る“再発防止研修”と称するイジメ研修まで強制してくる。都教委の処分は特定の思想が絡み、恣意的であると言わざるを得ない。

 【注】 都教委は2003年、当時の横山洋吉(ようきち)教育長(77歳)が“君が代”強制を強化する“10・23通達”を発出後、卒業式等で校長から教職員に対し”君が代”起立・ピアノ伴奏等の職務命令を出させ、不起立や不伴奏の教職員を「地方公務員法違反」だとし、「1回目は戒告、2回目は減給(1か月間、10分の1に)、3回目は減給(6か月間、10分の1に)、4回目以降は停職(4回目は1か月間、5回目は3か月間、6回目以降は6か月間も出勤させず。この間、給与ゼロ)」と、機械的に累積加重処分してきた。だが12年1月以降の最高裁判決は、減給以上を原則、「重きに失し社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を逸脱・濫用しており違法である」と断じ、取消しを命じ続けている(戒告については「学校の規律や秩序保持」等の“理由”で、取消しを認めなかった)。

『マスコミ市民』(2019年12月)


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