2020/1/15

桜丘中学校の保護者有志が開いた教育トークイベント  ]Vこども危機
 ◆ いじめの原因は管理教育
   「規則」はいじめの道具に
(女性セブン)
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会場には幅広い世代が集まり、小・中学生の姿も多かった。
なかには地方から駆けつけた人も(撮影/浅野剛)

 世界主要国63か国の「世界競争力ランキング2019」(IMD=国際経営開発研究所)では、日本は順位を5つ下げ30位に。東アジアの中でも、シンガポール、中国、台湾、タイ、韓国の後塵を拝した。今こそ「子どもたちが主役」の学校づくりを進めていくべきではないか──。危機感を共有する4人による、緊急講演会が行われた(11月30日、東京・世田谷)。

 【講演会登壇者】
 ◆世田谷区立桜丘中学校長・西郷孝彦さん/養護学校(現:特別支援学校)を経て、都内で理科と数学の教員に。2010年より現職。常に生徒に寄り添い、「校則なくした中学校長」として知られる。著書に『校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール』がある。


 ◆教育評論家・尾木直樹さん/法政大学名誉教授。中学、高校、大学で計44年間教壇に立つ。尾木ママの愛称で親しまれ、NHK Eテレ『ウワサの保護者会』などに出演。

 ◆麻布学園理事長・吉原毅さん/2010年に城南信用金庫理事長に就任し、相談役、顧問(現職)に。2017年に「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」創設。同年より麻布学園で現職。

 ◆世田谷区長・保坂展人さん/1996年に衆議院議員初当選。児童虐待防止法の成立(2000年)に携わる。総務省顧問を経て2011年より現職。教育ジャーナリストでもある。

 学習指導要領が約10年ぶりに改訂され、2020年度より小学校、2021年度より中学校で実施される。そこで大きく打ち出されているのが、「生きる力」を育み、子どもたちが主体的に学ぶということ。

 だが実際は、ブラック校則がはびこり、学校側が「子どもを管理する」という姿勢が改善されたとはいえない。

 教育の第一線に立つ4人によるトークイベントを主催したのは、桜丘中学校の保護者有志
 同校は校長・西郷孝彦さんが“すべての子どもたちが幸せな3年間を過ごすにはどうしたらいいか”を追求し、校則を含めたあらゆる管理を撤廃してきた学校だ。
 この日、桜丘中学校の日常がスライドで紹介されたが、そこで学ぶわが子の生き生きとした様子を肌身で感じてきた保護者が、同校の活動内容や実情を広く知ってもらい、これからの公立中学校全体のあり方を考える契機になればという思いから開催。キャンセル待ちも出て、約1000人が来場した。

 だが、桜丘中学校も、はじめから今のような学校だったわけではない。

 「最初は校則の見直しから始めたのですが、きっかけは、生徒が校長室にやって来て“校則に疑問があって楽しくない”と言ったからでした。
 これに限らず、目の前の子どもたちを見ながら、この子が困っているならどうすればいいか。この子以外にも同じ悩みを抱えている子がいるんじゃないか。
 そう考えながら、一つひとつ変えていったら、校則もなければ定期テストもチャイムも鳴らない、服装も髪形も自由という学校に生まれ変わりました」(西郷さん)

 同校を訪れたことのある教育評論家の尾木直樹さんは、「学校で学んだことがいかされる社会になっていない」と言う。

 「今までいろんな学校を見てきましたが、桜丘中は子どもたちが主役になっていて、みんなが自立しています。なかには“こんな自由すぎる学校では、社会に出て役に立たないんじゃないか”と批判する人がいますが、それは違います。学校とは本来、社会に出ていくためのトレーニングの場。社会や企業に適応する子どもをつくるのではなく、子どもが学校で学んだことをいかせる社会をつくるのが本来のあり方です」(尾木さん)

 登壇者の3人目は、東京・麻布学園理事長の吉原毅さん。同校は中高一貫校の名門校として知られる。一方で吉原さんは、経済界にも身を置く。

 「なぜ中・高で管理教育がはびこるのか。それは、人を競わせて評価し、飴と鞭を使って脅し、ルール違反は処罰・管理する、というのが楽だからです。多くの日本企業も同じですが、これでは人間がどんどんダメになる」(吉原さん)

 ◆ 管理教育がいじめを生む

 世の親の学校への不安は尽きない。例えば中学校入学直前の子どもの保護者を対象にした調査では、保護者63.2%が「人間関係(いじめ)」47.2%が「成績(学力)」について不安だと答えている(学研教育総合研究所「小学生白書Web版2014年調査」)。

 実はこの「いじめ」の要因こそ、“規則や管理”だと登壇者は声をそろえる。

 「自分たちのルールや規則から外れた人間がいると“あいつだけズルい”と言って集中攻撃する。それがいじめです。規則はいじめの道具になってしまっています」(吉原さん)

 「学校現場のいじめ問題に35年かかわっていますが、最近は、自分がいじめたという加害者の意識が希薄になっている。先生がいつも言っていることを同じように自分も言っているだけで、正義感から注意しただけと本気で思っている。ルールや規則があればあるほど、いじめは発生しやすいのです」(尾木さん)

 桜丘中学校でも、1年生の間は、いじめが起こることもある。

 「みんなと同じであることを強制されてきた小学校教育がそうさせるのでしょう。でも、桜丘中で過ごすうちに“自分で考える力”を身につけた子どもたちは、学年が上がるにつれ、人間関係のすれ違いはあっても、いじめはなくなります」(西郷さん)

 『校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール 定期テストも制服も、いじめも不登校もない!笑顔あふれる学び舎はこうしてつくられた』(西郷孝彦著、小学館、1400円)

 西郷さんが40年間の教員生活でたどり着いた子ども主体の学校づくりについてまとめた一冊。
 尾木さんが推薦文を寄せ、本著に感銘を受けたという吉原さんは購入して麻布学園の教員らに配ったそう。

 ※女性セブン2020年1月2・9日号

『NEWS ポストセブン - Yahoo!ニュース』(2019/12/30)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191230-00000010-pseven-soci


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