2020/1/19

オランダの年金基金はGDPの190%、負担が重いが不安はない。日本は30%  ]U格差社会
 ◆ 世界一優秀な「オランダの年金制度」日本とはこんなに違う (現代ビジネス)

 多くの問題が指摘される日本の年金制度は、海外からの評価も厳しいものだった。では、世界で最も評価されているオランダの年金制度と比べたとき、両者の間にどのような違いがあるのだろうか。

 ◆ 「持続性」が違う
 37の国と地域のうち、31位――。アメリカのコンサルティング会社、マーサーがまとめた、各国の年金制度を比較するレポート内での日本の順位である。
 マーサーから年に一度発表される「年金制度の国際ランキング」は「十分性」、「持続性」、「健全性」に大別される40以上の項目から各国の年金事情を比較し、順位づけるものだ。

 100点満点で評価されるこのランキングにおいて日本は48.3点にとどまった。29位に韓国、30位に中国とアジア諸国は低迷しているが、経済大国とは言えない南米のチリが10位、ペルーも19位であることを考えると、日本の順位はかなりショッキングだ。


 このランキングにおいて81点というスコアをおさめ、2年連続で1位に輝いたのがオランダである。人口1718万人、決して大国というわけではないのに、過去11年のうち10年で1位もしくは2位に輝いている。

 オランダの年金制度はどこが優れていて、日本より良いのか。
 マーサーの日本法人に所属する英国アクチュアリー会正会員の北野信太郎氏はこう語る。

 「オランダの年金制度において高く評価されているのは『持続性』です。年金制度と国民の生活が維持できるかという観点において、高いスコアが付けられているのです」

 実は、日本の年金の評価が低い大きな要因が、この「持続性」だ。オランダなど上位の国々に比べ、日本の制度は将来に向けた安心度がかなり低いというのである。

 日本の年金制度は3階建てと言われており、1階部分に相当する国民年金、2階部分に相当する厚生年金、そして3階に当たる企業年金により構成されている。

 一方、オランダもこれとほぼ同じ構造であり、公的年金、職域年金、個人年金という3階建ての構造である。

 オランダの年金制度において特筆すべき点は3点だ。

 まず1つ目の特徴は、資産(年金の基金)が圧倒的に潤沢であるということ。オランダの年金における2階部分である職域年金の資産残高は1兆2476億ユーロ。
 日本円にして149兆1880億円となっている。これはオランダのGDPと比べた時に190%に達する極めて高い水準だ。

 対して、日本の1〜2階部分に相当する国民年金・厚生年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の総資産は1.49兆ドル(約161兆7622億円)。
 金額としてはオランダより多くなっているが、対GDP比として見るとわずか30%にとどまるのだ。財政や人口の規模から考えても、いかにオランダの年金が安定しているのかがよく理解できる。


 ◆ 現役時代の70%を保証

 2つ目の特徴は、所得代替率が非常に高いという点だ。現役時代の収入に対してどれくらいの年金をもらえるかを示す所得代替率は、日本の場合、61.7%(2019年)。
 さらに厚労省はこのまま低成長が続くと、2050年には40%台にまで数値が落ち込むという見通しも立てている。
 一方でオランダは、70%という極めて高い水準で所得代替率を維持している。

オランダで高い所得代替率を維持できている理由としては、年金保険料が非常に高いことが挙げられる。

 月収42万円の単身者をモデルにした場合、日本だと年金保険料は国民年金と厚生年金を合わせて月額3万7500円。同等の条件で、オランダでは約10万円も年金保険料を納める必要がある。

 さらに3つ目、日本で言う2階部分、厚生年金に当たる職域年金のカバーする範囲が大きいことも、オランダの年金制度を特徴づけている。

 「オランダでは1階部分に相当する公的年金だけでも、最大で年に1万5459ユーロ(185万円)を受け取ることができます。
 これだけでも相当手厚いのですが、自営業者も含め、労働者の95%が職域年金に加入しているため、年金制度の持続性が十分に担保されているのです」(前出・北野氏)

 オランダでは年金保険料だけでなく、日本の消費税に当たる付加価値税も21%となっており、国民の負担感は大きい。その代わりに、長く、安定して、高い年金を誰もがもらえる仕組みができあがっているのだ。

 オランダの年金制度の基本理念について、北野氏が語る。
 「日本とオランダでは年金に対する国と企業、個人の役割分担の意識が違います。オランダは国と企業が主体となり多くの負担をするかわり、労働者にもある程度の負担と長期の勤続をしてもらい、老後の準備をするという考え方が浸透している。
 2階部分にほぼすべての労働者が強制的(自動的)に加入していることからも、これが理解できます」

 ページ末の表は、日本とオランダの年金制度の違いについて主な点をまとめたものだ。オランダは1年でも保険料を納めれば年金を受給でき、最低10年間は保険料を納めなくてはいけない日本と比べて受給資格が緩い。

 受給開始年齢をみてみると日本は65歳からとなっているが、オランダは66歳から。

 オランダでは平均寿命の延びに合わせ年金の受給開始年齢を上げる政策がとられており、2021年には67歳から受給開始になる予定だ。ただ、受給開始が遅くても、金額は日本の2倍近くと高額である。

 日本に比べて高齢化の進行が緩やかなことも、年金制度の安定につながっている。


 ◆ 不安か、負担か

 日本ではオランダ並みの手厚い年金制度を実現させることができないのだろうか。

 「日本の場合、年金制度に対するビジョンが定まっていないことが安定性を欠く要因の一つ」と語るのは、社会保険労務士の北村庄吾氏だ。

 「日本の年金制度には、はっきりとした目的がなかった。年金だけで老後を賄うための制度なのか、自助努力を前提とした、最低限の保障制度なのかすら定まっていません。
 この議論をしないまま、場当たり的な改正を続けてきてしまったことが、年金制度の危機を招いていると言えるでしょう」

 老後の安心のためには、日本もオランダのようにそれなりの負担を受け入れざるを得ないのか。

 ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏はこう語る。

 「日本では、年金制度は強制とはいうものの、各種の免除制度があり、実態は緩いと言える。そのためオランダのようにほぼ強制的に労働者を厚生年金に加入させることができれば老後の安心感は強まります
 負担は増えますが、国民年金の支払期間の上限を40年から45年、50年と延ばしていくことができれば、かなり年金財政に余裕が出てくるはずです」

 年金破綻という不安を抱えたまま、今の制度を維持するのか。それともオランダのように、負担が増しても将来の安心感を得るのか。
 日本ではもっと議論が必要なのかもしれない。

 「週刊現代」2019年11月23日・30日合併号より

『現代ビジネス - Yahoo!ニュース』(2019/12/20)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191220-00069054-gendaibiz-soci


※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く

名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ