2020/1/25

麻生妄言に怒りを示さない日本のキシャクラブメディア  ]平和
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6歳で「移民」になった私の物語

  =たんぽぽ舎です。【TMM:No3839】「メディア改革」連載第23回=
 ◆ 麻生太郎副総理の「日本は単一民族・2千年の王朝」暴言
   日本は多民族、移民国家になっている

浅野健一(元同志社大学大学院教授、アカデミックジャーナリスト)

 麻生太郎・日本副総理兼財務相は1月13日、地元の福岡県直方市で開いた国政報告会で昨年のラグビーワールドカップの日本代表チームの活躍に触れ、「いろんな国が交じって結果的にワンチームで日本がまとまった」などと指摘。
 その上で、「2千年の長きにわたって一つの場所で、一つの言葉で、一つの民族、一つの天皇という王朝が続いている国はここしかない」と述べた。
 麻生氏は同日に同県飯塚市で開いた国政報告会でも「2千年にわたって同じ民族が、同じ言語で、同じ一つの王朝を保ち続けている国など世界中に日本しかない」と発言した。


 麻生氏は2005年にも「一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかにはない」と発言し、北海道ウタリ協会(当時)から抗議を受けている。
 麻生氏の言う「日本」はヤマト(大和)を指すのだろうが、日本政府は2019年5月にアイヌ民族を「先住民族」と明記したアイヌ施策推進法を施行しており、麻生氏の発言は政府方針と矛盾する。

 日本には、アイヌ民族の他、かつて琉球王国があり、在日朝鮮人、在日中国人、渡日外国人など、ヤマトとは異なるルーツを持つ多様な市民が数百万人存在する
 琉球王国が日本(島津藩)に武力併合されたのは17世紀初めのことだ。
 また、2000年前は縄文時代で、日本国も日本語も日本文明はなかった。麻生氏は国家神道にならって、神話を元にした「皇紀」で年数を数えているのだろう。

 「同じ一つの王朝」が2000年維持されてというのも妄言だ。南北王朝時代もあったというのは小さいことだが、日本列島に国民国家が成立したのは1968年の明治政府の設置時であり、皇国史観に基づく天皇制国家が誕生したのは大日本帝国憲法施行からである。

 前天皇は2001年12月18日の天皇誕生日会見(23日報道解禁)で、日韓共催のサッカーW杯を前に、「私自身としては、桓武(かんむ)天皇の生母が百済の武寧王(ぶねいおう)の子孫であった」「韓国から移住した人々や招へいされた人々によって様々な文化や技術が伝えられました。宮内庁楽部の楽師の中には、当時の移住者の子孫で、代々楽師を務め、いまも折々に雅楽を演奏している人がある」と語っている。
 また、大日本帝国はポツダム宣言を受け入れ、無条件降伏を宣言した1945年8月15日に完全崩壊しており、1946年に制定された日本国憲法によって日本国は象徴天皇制となり、「一つの天皇という王朝」ではなくなっている

 麻生氏は最初に選挙に出馬した際、第一声は「しもじものみなさん、・・・」という挨拶から始まったという。数々の暴言、安倍記念小学校にかかわる文書改竄などで閣僚を辞任すべき麻生氏だから、また、やったかという扱いだ。メディアの追及が甘すぎる。

 日本のキシャクラブメディアは、麻生妄言について、アイヌ施策推進法との矛盾を指摘するだけで、2000年にわたって「王朝」が続いているという誤った歴史認識についてほとんど批判していない。大手メディアの記者たちはヤマトの支配層に属するエリートたちで、麻生氏の暴言に怒りを感じないのだろう。
 麻生氏は翌日の会見で「誤解が生じる発言ということなら、言い方に気を付け訂正せないかん」としたが、誰も誤解などしていない。
 麻生氏の記者団への話しぶりには、反省している姿勢は感じられない。慇懃無礼だ。

 2019年4月から改正入管法が施行され、外国人の新しい在留資格「特定技能」が創設されたが、安倍晋三首相は「移民受け入れ政策ではない」と強弁しているが、日本は既に移民国家になっているというのが現実だ

 ◆ 1/25(土)イラン人ナディさんの講演で多民族社会を知ろう

 麻生氏の「単一民族国家」という発言に違和感を持つ人たちに、ぜひ参加してほしい講演会を企画した。
 急な案内になるが、1月25日午後1時半から「スペースたんぽぽ」で、イラン人のナディ(Nady)さんの講演会を開きます。

 <浅野健一が選ぶ講師による「人権とメディア連続講座」>として開催し、講演のテーマは「ふるさとって呼んでもいいですか」
 私のブログに案内文とチラシを載せています。
http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi/archives/21561590.html

 ナディさんは1984年イラン生まれ。1991年に出稼ぎ労働目的の両親とともに家族で来日し、オーバーステイ(超過滞在)の状態のまま首都圏郊外で育つ。
 小学3年から公立学校に通い、高校在学中に家族とともに在留特別許可を得て定住資格を獲得。
 大学卒業後は都内の企業に勤務し、現在は2児の母。夫は同志社大学社会学部メディア学科浅野ゼミ出身。
 2019年6月、これまでの半生を綴った自伝『ふるさとって呼んでもいいですか―6歳で「移民」になった私の物語』(大月書店)を出版。

 「デカセギ」で海外から日本にやってきた人たちの子どもが、自分の言葉でその人生を語る。日本は既に移民国家になっていることが分かる。
 ナディさんの本は、朝日新聞読書面(評者・武田砂鉄さん)、TBSラジオ「荻上チキ Session22」、神奈川新聞、BuzzFeed Japan ほか、各種メディアで高い評価を受けている。1月18日、NHK・Eテレの「ウワサの保護者会」に出演した。
 講演会には、ナディさんに15年前、本を書くように勧めた編集者の岩下結さんも参加する。

 不法滞在という逆境の下でも、周囲と家族に支えられ、異文化の中で生きてきたナディさんが、来日後29年間の苦しみと喜びの日々を語る。
 米国と戦争の危機にあるイランとは、どんな国なのか、イラン人の生活実態などを知ることもできると思う。
 難民をほとんど受け入れず、外国人労働者を「労働力」としか見ない日本政府。「日本は単一民族国家」だというのは事実を見ない思い込みだ。
 国籍、人種、宗教を超えたワン・コミュニティを目指す皆さんの参加をお願いしたい。
 私は、2019年11月15日の「週刊読書人」(第3315号)に同書の書評を書いている。書評記事もブログにアップしている。
 ナディさんの著書は最近読んだ本の中で最も感動した本だ。
 本を読んだ上で講演を聞いてほしい。


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