2020/3/17

一斉休校中の課題の一つに「請願権を行使してみよう」を加えてみませんか  ]平和
 ◆ <緊急事態宣言への対抗策>
   法規改悪に対抗できる底力をつける「請願権」認識と行使実践力を!

   皆さま     高嶋伸欣です


 1 「法改定で首相が緊急事態宣言を発令できるようになった」としきりに危惧されています。その一方で、この間の法改定反対運動はこれまでと同様に政党や労組、市民団体など既存の組織が中心で、それらの動きをマスコミを拾い上げるというパターンが大半であったように見受けます。

 2 国会での議席数でこうした政治的決定がなされるにしても、日本国憲法の下で主権在民が大原則であるはずなのに、大多数の人々は声を挙げないままでいる現状が改善されなければ、今後も同じことが繰り返されのではないでしょうか。

 3 今後に備えるために、政治家や官僚、それに影響力をもつメディア、広告会社などによる横暴、世論操作などを不断に、広範に監視し「異議あり」の声が素早く全国から挙がるようような底力を日本中の人々が強化しておく必要がある、と改めて感じます。


 4 私の場合、これまでいわゆるセクトにはどこにも属さず、結果としてフリーハンドで言動の自由を保持し、声を挙げ続けてきました。その点、俗に言う”無党派層”と共通するものを感じます。

 5 ただ少し違うなと思うのは、「理不尽な目にあわされている」と感じた時には声を挙げ、権力者・政治家に対してであろうと「異議あり」との申立等をして泣き寝入りをせず、少なくとも同じことの繰り返しは食い止めができてきたと実感している点です。

 6 そうしたことができたのは、周囲の人々の支えがあったからですが、加えて職場の東京教育大学(現・筑波大学)付属高校と琉球大学教育学部がどちらも国立大学で、大学自治の原則に守られていたからだとも受け止めています。

 7 それだけに、そうしたバリヤーで守られていない人々が、同じようなことのあった時、「異議あり」「納得いきません」との声を簡単に挙げられないのはやむをえないと思っています。

 8 けれどももう一度自分自身の生い立ちを見直した時、東京・杉並の公立中学3年間(1955〜57年度)の社会科で、主権在民の理念を繰り返し説いてくれた3人の若き先生たちの影響をしみじみと感じます。

 9 先生たちが強調されたのは、「主権在民社会になったのだから、納得がいかないことには一人でも声を挙げて良いのだし、理不尽な目にあわされたら当事者として声を挙げる責任がある」ということでした。

 *それに両親が戦前の学校勤務でしたが教員で、母は実践高等女学校(現・実践女子大)国文科の第1回卒業生として、戦後に男性が会長だった同窓会の民主化に奔走し、大学のものにされていた同窓会館を裁判で取り返していました。
 私が1993年に「教科書裁判を起こしたい」と言ったところ、「正しいと思うのなら一人でもやりなさい」と背中を押してくれ、家族も同意して嫌がらせ等に耐えてくれました。
 私はこうした好条件に恵まれ、それなりに主権者としての言動を続けてこれました。教育活動の大切さとその恩恵を感じています。

 10 けれども、現在の40代以下で無党派層を形成している人々の多くは、1980年代以後の大勢順応型教育によって、「規則や法律がそうなっているのなら仕方がない」「政治家や役所がそのように解釈するのであればやむを得ない」というような社会観に染められているように見えます。

 11 こうした状況が、ごく一般の人々だけでなく教員ジャーナリストの間にも浸透していることを、私は何度も実感させられました。
 特に、東京都教育委員会が石原都政下で始めた卒業式・入学式での「日の丸・君が代」強制による”教育的効果”が今も拡散し続けているのを見せつけられている日々です。

 12 そのことが、今回のような危惧される法律改定に対して、多くの人々から反対の声が挙がらず、腰砕けの野党までが改定に賛成する事態をもたらした根本の要因の一つのように思えます。このままでは同じことが今後もくりかえされるのではないでしょうか。

 13 そうした事態を防ぎ、状況を変える手立て。くりかえしますが、それは何よりも多くの人々が声を挙げるのが当然という風潮が全国に広まることだと思います。
 政治家など権力者が迂闊に横暴なことをしたり、広告会社などが見え透いた政治的キャンペーンなどを展開した時、いち早く気付いた人の指摘を受けて、一斉に厳しい批判の声が挙がれば、支持を失う可能性が高いとして権力者たちは自制に追い込まれます。

 14 実際に、戦後の歴史では多くの人々が声を挙げたことで、不当な政治・行政を食い止めた事例は少なくありません。
 ただ惜しむらくは、それらの成功体験が一般化されず、その後の民主主義の活動にあまり継承されてきていないことです。

 15 例えば最近では、新大学入試制度の柱だった英語会話能力検定での民間企業導入や記述式解答方式に対して、受験生・高校生などが前面に出て反対したことで、中止・延期が決まったことがよく知られています。

 16 大人の間では様々な思惑で決定できなかったことが、当事者の「異議あり」の声で決まったわけです。高校生たちは達成感と同時に社会の一員としての存在感を強く覚えたのではないかと想像されます。マスコミの一部では「高校生の勝利」などとも言われています。

 17 けれども、この話題は一過性のものとして忘れられかけていないでしょうか。
 残念なことに、この時の高校生たちの一連の動きについて強い関心を示し、事後に長文のインタビューを掲載したりした報道でも、それが「主権者としての当然の権利『請願権』の行使に当たる」という意味に言及したものが、見当たりませんでした。

 18 報道では学校名など伏せられていましたが、個人的に得た情報でまとめ役だった高校生の在籍していた高校の教員の方に尋ねたところでも、その生徒とそうしたやり取りはなかったとのことでした。

 19 報道関係者はもちろん教員、さらには各種市民運動に取り組んでいる多くの皆さんの間で「請願権」がほとんど視野の中になく、思い起こされることがないように見えます。これでは「主権在民社会でしょう!」と事ある毎に言ってみても、権力者たちには「遠ぼえ」と受け止められかねません。

 20 改めて確認しますが、「請願権」は憲法16条「何人(なにひと)も」「平穏に請願する権利を有し」と明記された基本的人権のひとつで、憲法と同時(1947年5月3日)に施行された請願法で、すべての官公署に住所・氏名が記載された文書を請願として提出された時、これを受理し誠実に処理することが義務付けられているものです。

 21 これらの規定で注目すべきは次の2点です。
 1)「何人(なにびと)も」
 *「日本国憲法」は国籍主義に基づき、多くの条文が「国民は」なっていますが、一方で「何人も」とする条文が幾つもあります。

 @「国民は」と限定していないので、「請願権」は国籍に関係なく、在住外国人も含む<すべての人々>が行使できる基本的人権であることを意味します。
 A<すべての人々>とは、住所と氏名を自分で書けるのであれば小学生や幼児でも行使できる人権であること意味しています

 *この@Aのことが、小・中・高の社会科教科書のほとんどで、きちんと書かれていません。逆に「国民の権利の一つ」という誤った記述のものが大半です。
 間もなく公表される新版中学教科書・公民ではどうでしょうか。要注目です。

 2)「(すべての)官公署」
 *現在の全国47都道府県のHPで「都道府県名」と「請願」の2語で検索をするとすべてが都道府県議会への請願案内の画面にしかなりません。

 B<すべての官公署>とは、都道府県や市町村の議会、国会以外のすべての行政部門や各種の独立委員会(教育委員会、選挙管理委員会など)も請願の対象であることを意味しています。
 都道府県のHP議会にしか請願ができないように思わせる案内をしているのは、行政部門や各種委員会に向けた請願はできないと思い込ませることで、請願権の行使を妨害し、結果的にことを行政官僚ペースでのみ進められる態勢をこれまで70年間全国に張り巡らしてきたものとみることができます。これは欺瞞・違法・違憲の手法です。

 *この全国47都道府県のHPの問題点を法学者やジャーナリストなどが指摘したケースを私は寡聞にして知りません。
 地方議会議員や国会議員についても、同様です。野党議員の中には弁護士もかなりいるはずですが。
 しかも、現在の国会法と地方自治法では、議会への請願にはその議会の議員の紹介が必要であるとしています。議員の大半は党派に属し様々な思惑に影響されていて、簡単には紹介議員を見つけることはできません。この点でも、請願は議会にだけしか出せないと誤解させる47都道府県のHPは、一般行政部門の官僚にとって、とても”ありがたい”存在なのです。

 *この国会法と地方自治法の規定は憲法違反だという指摘をしている憲法学者はいます(毛利透京都大学教授『憲法U 人権(第2版)』2017年、有斐閣)。
 私(高嶋)は目下、杉並区教委「教委への請願には教育委員の紹介が必要である」という請願法違反の規則を定めていたことで、私の請願が不当に扱われた件で、裁判をしています。その区切りがつけば、次には国会法と地方自治法のこの規定は憲法違反ではないか、という裁判を提起することを考えています。体力と気力が続けばですが。
 そのためにも「請願」についての人権の観点からの認識が、マスコミや学校教育さらには市民運動などを通じて広がることを願っています。

 C<すべての官公署>には、請願者の居住地の官公署に限るという制約の意味はありません。居住している自治体とは異なる場所の自治体に対する請願権の行使も、保障されています。
 つまり、全国のどこの自治体に対しても、誰でも請願文書を提出できるのです。

 *ちなみに、徳島県のHPでは、県議会への請願手続きについての説明しかしていませんが、「何人も」という意味について次のように説明しています。
 「県民の皆さんの要望を県政に反映させる方法の一つとして、請願や陳情があります。県民の皆さんをはじめ、県外の方や日本に住んでいる外国人、未成年者など、どなたでも提出ができ(ます)」と。

 *一方で北海道のHPでは、請願は同議会に出せますという案内の画面で、議員の紹介について次のように釘を刺しています。
 「請願者は、予め内容を説明し、賛意を得た上で紹介(署名または記名押印)を受けて下さい」と。(山梨県のHPもほぼ同じ)
 請願の内容に予め議員が関与することを当然視しているものです。

 *佐賀県HPでは「地域の課題で利益の一致するものについては、地元議員全員が紹介することになっています」とあります。党派が異なる議員全員が一致する内容かどうかを考えるだけで、意欲を委縮させる説明です。

 *他の都道府県のHPも似たり寄ったりで、ひどいものです。そうした状況が放置されているのも、人々の無関心を官僚が見透かしているからでもあるように思えます。
 私は2年前に沖縄県議会にHPの是正を申し入れましたが、改善されていません。

 22 「請願権」と制度の概況説明が長くなりましたが、最後に本メールのまとめとしの提案です。
 上記のように日本国憲法の根幹である基本的人権の確立と民主主義の貫徹にとって重要な役割を果たすはずの「請願権」を、私たちは憲法施行後70年間、忘れ、無視して「宝の持ち腐れ」状態に置いてきてしまいました。もっと早くに「請願権」を共有財産として認識し、その行使実績を蓄積していたらと、悔やまれます。

 23 そこで今からでも、「請願権」についての認識を広め、身近なこと、最近の体験などで感じた要望、説明要求などを各地の「官公署」にどんどん提出しましょう。
 その場合
a) 住所と氏名(印刷の場合は押印)が記載されていればOKです

b)郵送での提出も可能です

c)タイトルを「〇〇に関する請願(書)」、あるいは冒頭か文末に「これは請願です」「請願法に基づく請願です」などと書くと効果的です

d)「この請願がどのように処理された、文書での連絡を希望します」とも書き添えると、多くの場合に結果の通知があります。
 その結果の様子についてまた意見を言うことも可能です。
 24 「官公署」には、上記のように「教育委員会」も含まれます。
 今回の首相による「一斉休校要請」に各地の教育委員会の対応は多様で、それなりに主体性を維持したところがある一方で、多くは「春休みまで休校」などと言いなりの決定をして児童・生徒や保護者、関連事業者たちを大混乱、強烈な不安感に追い込んでいました。
 そうした教育委員会に、同じことを繰り返さないように当事者としての批判と同時に是正策の案などを例示して、それらが実際に反映されることなどになれば、請願の効果を実感できることになります。大人の眼からだけでなく、児童・生徒の眼・体験に基づく請願権行使の一つの機会とも思えます。
 家族などで話し合って、連名で「請願書」を作り、郵送するのも一案です。

 25 一斉休暇中の課題の一つに「請願権を行使してみよう」を加えてみませんか
 「請願」は小学校6年生の社会科、中学社会の公民、高校の公民科の政治経済と現代社会の教科書で扱っています。ただしその多くが、上記のように「国民の権利」などとし国籍や年齢に関係なく行使できる権利であるとは明記していません(著者も検定官も怠慢です)。
 各自治体で請願受理の規則をどのように定めているかを確認するところから着手すると、濃淡の差が歴然とします。
 「香川県 請願」では県議会への請願の説明さえ出てきません。
 請願の必要記載項目に「電話(番号)」を明示しているHPも多数ありますが、これは請願を委縮させるもので、請願法違反です。
 児童・生徒や保護者などに上記の「請願権」認識をひろめひろめる機会になるのであれば、嬉しいです。

 26 「新型コロナ問題の経験を通じて、日本社会の主権者意識が高揚した」と言えるようになればと願っています。

 以上 「請願権」に数年来こだわり続けている高嶋の私見です。気を悪くされた方もおいでかと思いますが、ご容赦頂ければ幸いです。 

   長文にお付き合いいただきありがとうございました。      転送・拡散は自由です



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