2020/4/29

官邸官僚は市民を見くびっているのか  ]平和
 ◆ ホメ殺し (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)

 「『官邸官僚』と新造語でくくり、専横をほしいままにしたがる輩(やから)」とみられているという、杉田和博、今井尚哉、北村滋、佐伯耕三氏などを、谷口智彦内閣官房参与が弁護している(「Hanada」六月号)。
 安倍首相のスピーチライターを務めた経験がある谷口氏はこの論攷(ろんこう)で、四月七日、緊急事態宣言発令の首相演説を取り上げ、「佐伯氏が精魂傾けた原稿と総理の声音」を絶賛。さらに経産省と警察庁からなる新官邸官僚を褒めたたえている。

 「今井氏は、もし官邸のどこかで突然心臓が止まり、そのまま横死したとしても、むしろ本望と思う、そういう人だ。それは今井氏にとって殉職だ。死ぬならそのくらいがいっそ有り難いと言うであろう下僚を、安倍総理は育てた。それも、一人や二人ではない」


 これは「文学的アヤ」というものであろう。

 もしも首相官邸五階、国家権力の中枢に殉職覚悟の忠臣たちが屯(たむろ)しているなら、これからふえそうな感染死や過労死、孤独死、生活苦からの一家心中など社会的な死などたいしたことはない、となろう。
 なぜなら名誉ある死にしか痛みを感じなくなるからだ。

 官邸官僚は市民を見くびっているのか。

 論攷は首相にオマージュを捧(ささ)げて、こう続ける。
 「七年有半、蓄え、磨いてきた安倍総理の指導力は、まるでこの日に備えてきたかのようにさえ見える」

『東京新聞』(2020年4月27日【本音のコラム】)



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