2020/5/31

コロナにめげず生き延びる 表現者たちの思い  ]U格差社会
 コロナ禍で、俳優、落語家、講談師などの仕事が奪われている。政権に見向きもされていない表現者たちの思いを、落語家の露の新治師匠に伺った。

 ◆ 落語家・露の新治師匠語る
   不要不急の笑売ですが
(週刊新社会)


――先日、上方落語協会が落語家や三味線奏者の方々にアンケートをとった結果、約7割が「無収入」という結果が出ましたが、新治さんご自身の場合はどれくらいの変化があったのでしょうか。

 新治 正直なこと言いますと、3月は落語会一回やったきりなんです。これは私が主催しているやつで、経費払ったら5千円の赤字。で、3月はこれ1本きりやったから、3月の収支はマイナス5千円!
 無収入というのを経験していますよ。そういう職種やいうのはある程度覚悟していましたけど、ホンマになるとは思ってなかった。


――他の手立ては考えますか。

 新治 やってる人もあります。ネット配信してそれを有料にして。で、投げ銭いうんですか?お金もいただけるんですね。それはそれで意味のあることやと思います。お金のことだけでなくて、何というか芸人として劣化せえへんためには、ええことやと思いますわ。
 コロナ禍で、「不要不急の商売」と一番最初に切り捨てられるということがようわかりました。ホンマは、最終的にあってもいいもんやと思てますねんで。
 東北の震災でも、阪神淡路の時でも、その時は何の役にも立たへんねんけど、生活が落ち着いてきた時には心の癒しですかね、ストレスの解消に私らは役に立つと思てますけど。

 今、無観客でネット配信してる落語の人もおるわけですよ。数日前からちょこちょこっと見てみたら、はじめは戸惑いというかやりにくそうに見えてた人が何回かしているうちに、どんどんイキイキとやりだしましたねえ。
 慣れてきはったんやろうね。聞いてても話の世界にスーッと入れる。春風亭一之輔さんが10日連続で生配信されてるんですけど、十分落語として届きました。
 もちろん一之輔さんの力量がすごいあるからやけど、聞く方もやる方も「無観客」に慣れてきたのと違うかな、お互いに。だから、これはこれで十分楽しめる。ええもんやないうのも分かってきました。

――いろんなやり方が見いだされてくるかも知れませんね。私たちも何らかの方法で、新治さんの落語を一刻も早く聞きたいと思います。

 新治 ありがとうございます。例えばね、酒蔵寄席でお客さんの前でやりますやん。それを同時にネット配信して聞きたい人は有料とか、聞いた上でネット上の投げ銭で払ってもらうとか。そういうことも考えられるなあと思いましたわ。
 例えば、近所で落語会とかない人は、CDとかでないと楽しまれへんのやけど、私らが発信できることもあるねんなと思いましたね。状況を逆手に取るというか、やれることを考えていくいうことで。
 もちろん、福島の原発の時も、東日本の震災の時もそうやし、阪神淡路もそうやったけど、何かあったら勝手に壊れていく、もろい社会やというのがようわかりました

――本当に私たち一人ひとりがこれからの生き方を考える機会にもなってると思います。

 新治 そやから、先ず生き延びることと、学者や評論家の先生らも考えてはると思うけど、ここから何を学んでどう生かしていくかということ、私個人でも考えなあかんなと思いましたわ。

 ※ つゆの・しんじ
夜間中学設立運動の中で学んだ人権感覚を生かし、人権講演会の講師としてとしても有名。柳家さん喬師との二人会でも活躍。15年第70回文化庁芸術祭賞優秀賞受賞。

『週刊新社会』(2020年5月26日)


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