2020/7/31

第10回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会:大阪からの報告(1)  X日の丸・君が代関連ニュース
 ◆ 2017年再任用拒否国賠訴訟報告
   梅原聡


 ◆ 再任用拒否までの経過と裁判の概要

 私は2012年、14年の卒業式の「君が代」不起立で二度の戒告処分を受けましたが、それ以降は、卒・入学式から排除される形が続き、新たな処分を受けることはなく、2017年に定年を迎えました。
 そこで、再任用を申請しましたが、これを拒否され、その理由については「総合的判断である」としか説明されませんでした。
 しかし、再任用審査会の議事録からは、再任用拒否の理由が「君が代」不起立処分と、その後の意向確認「今後、起立斉唱の職務命令を含む上司の職務命令に従いますか?」という問いにYesかNoで答えよという現代版の『踏み絵』)の結果だけであることは明らかで、2018年2月に国家賠償を求めて大阪地裁に提訴しました。


 この裁判では、能力・実績などに特に問題のない私の再任用を拒否したことが、裁量権の逸脱濫用にあたるとして、一年間の報酬相当の損害賠償を求めると共に、再任用拒否の大きな理由になっている「意向確認」そのものが人権を侵害する違法なものであるとして、別に独立して損害賠償を求めています。

 ◆ 再任用における裁量権 18年最高裁判決に寄りかかる府教委

 今回の裁判の大きな争点のひとつは、再任用における府教委の裁量権の大きさです。
 一昨年7月、地裁・高裁で勝訴を勝ち取っていた東京の再雇用をめぐる裁判で、最高裁は、原告側逆転敗訴の不当判決を出しました。不起立者の再雇用を拒否した都教委の判断は裁量権の濫用にあたらないとしたのです。
 府教委は、この判決に全面的に寄りかかって、今回の裁判を切り抜けようとしていますが、私の事案と最高裁の判例は状況が異なります。

 18年7月判決には「その当時の再任用制度においては・・」とあり、高年法が成立し、地方公務員に対する総務省副大臣通知などが「雇用と年金の接続」を求めている私の件では、当時とは事情が異なっています。
 また、再任用制度について定めた府の条例も、「雇用と年金の接続」を目的としていることを指摘し、本件当時において、任命権者は採用を希望する者を原則として採用すべきで、裁量権の範囲は極めて限定されると、私たちは主張してきました。

 これに対し府教委は、昨年の最高裁判決の判断枠組みが現在もあてはまると述べるのみで、私たちの指摘に具体的な反論を行っていません。
 都教委も現在では不起立者に対しても再雇用を認めるようになった(年金の支給開始までという条件付きながら)ということで、その状況をKさんに陳述書を書いていただいて書証として提出しましたが、府教委は他の自治体の件は無関係であるとして、特に反論さえしません。
 それなら、他の自治体の事案についての最高裁判例を大幅に引用した主張を全部引っ込めろ!と思うのですが…

 裁判はここまでスローペースの進行となっていましたが、ようやく最終盤に向かっています。
 ここに来て、裁判所から私の再任用当時の再任用制度の運用実態を示す資料があれば出すように、原告・被告双方に求めてきました。裁量権について検討する資料だろうと思います。
 府教委が資料と共に出した準備書面では、総務省通知はあくまで技術的助言であって、「地方の実情に応じた独自の基準」を設けて制度を運用することは問題が無いと主張しています。
 そう言うのなら、希望者全員を採用できない大阪の実情とは何なのか、どのような独自の基準を設けたのか、これらを明らかにするのが筋でしょう。
 また、そう主張する一方で、再任用の状況について、もともと高かった再任用率は2012年度以降さらに上昇して、14年〜18年度平均で99.8%を超えて、ほぼ全員採用が実現されていると明言しています。
 この事実は、私たち「君が代」不起立者だけをことさら排除してきたことをまざまざと物語っていると言えるのではないでしょうか。

 ◆ 「意向確認」の誤りを認めずごまかし続ける府教委

 府教委は採否を総合的判断としながらも、意向確認の結果で採否を決めていることを開き直って認めています。
 「意向確認」に関しては、関大の高作正博教授に意見書を作成していただき「意向確認」が「特定の教育上の信念等を有する教職員」を排除しようとする「告白強制型・思想強制型」の思想・良心の自由を直接的に制約する行為であり、違憲であると私たちは主張しています。

 また、「意向確認」については、府の商工労働部から「再任用に関しての質問としては適切ではない」という助言を引き出しました。厚労省などが公正採用の原則として聞かないように求めているいわゆる違反質問(思想・信条に関わる質問)にあたるからです。
 これは私たちの運動の大きな成果であったと感じています。

 私の再任用拒否の後、意向確認の文言から「入学式や卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱を含む…」の部分が消え、単に「今後、上司の職務命令には従います」と変更されました。

 その結果、大阪でも不起立処分者の再任用を認めさせることができました。
 これを受けて再任用を勝ち取った仲間の陳述書を書証として提出し、「意向確認」の文言変更が合否の結果を大きく変えたことから、平等取扱原則に反すると主張しました。
 すると、それまで「意向確認」の文言変更に全く触れてこなかった府教委が、初めてこの部分に触れる準備書面を提出してきました。

 文言を変更した理由として「不起立による処分者が減少し、起立斉唱に関する職務命令を明示する必要が認められなくなったことと、上司の職務命令に起立斉唱の職務命令が当然に含まれること」の二つをあげています。
 わざわざ「意向確認」に関して反論すると言って提出したものとは思えないお粗末さです。
 処分者数の多少と職務命令の内容を明示する必要性が無関係であることは誰が考えても明らかでしょう。また、上司の職務命令に起立斉唱の職務命令も含まれることはこれまでも変わりがないはずで、それならば、私の再任用のときにも同じ聞き方ができたはずです。こんなごまかしを平然と書面で提出する府教委の気が知れません。

 ※ 次回裁判は9月9日(水)13:30〜
 大阪地裁で私の本人尋問府教委側の証人石村氏の証人尋問が予定されています。
 コロナウイルスの感染拡大の影響で傍聴人数の制限がかかる可能性が高いですが、ご都合がつきましたら是非傍聴にお越し下さい。
 これまでに行われた書面のやりとりを考えると、私自身はこの裁判は負けるはずがないと感じています。あとは裁判所が、府教委も主張していないような理屈を持ち出して、私の排除を正当化しないことを祈るばかりです。
 まだ、しばらく闘いは続きますので、裁判傍聴等、皆さんのご支援をよろしくお願いいたします。


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