2020/11/23
『月刊 救援』連載の「川柳コーナー」12年間の集大成、乱鬼龍 編『救援川柳句集』 ]平和
〔週刊 本の発見〕第178回(レイバーネット日本)
★ 獄中は怒り限界集落だ
『救援川柳句集』(乱鬼龍 編、救援連絡センター 発行、500円)評者:大山千恵子

*国会前で句集を手にする乱鬼龍さん(写真提供=松元ヒロさん)
「さあ 獄入り 意味おーい」3591−1301という電話番号、知る人ぞ知る「救援連絡センター」の機関紙「月刊救援」には、毎月の川柳コーナーがある。このたび、2009年から本年までの句集が完成した。80頁の小冊子だ。
後ろについている「読む年表」を参考にして、一年毎に紹介してみよう。
★ 2009年 大丈夫か真実分かるか裁判員 トリ天
裁判員制度が始まった。弁護士会まで一体となって「裁判員」様を持ちあげる。
かたや公判前整理手続で、とっとと処理のベルトコンベア法廷。
一般ピープルに死刑の見極めさせる新体制、大丈夫か。
★ 2010年 煉獄の炎で燃えよ検察庁 大分の清水
大阪地検特捜部フロッピー前田の証拠改竄、石川議員取調べ検事ストーリー田代の捜査報告書捏造と、ぼろぼろでてきたときだよね。
秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)、バッジが泣いてるぜ。
「盗撮は 検事不倫は 警視正」とは、白壁の理不尽大王の句。
★ 2011年 獄中は怒り限界集落だ 星の砂時計
3月、東日本大震災。そして今も福島は「安心」でも「安全」でも「大丈夫」でもない事態の現在進行形。
限界集落とは65歳以上が過半数の集落。これぞ獄の始まりか。
★ 2012年 言い訳はいつも震災担ぎ出す 大分の清水
震災から1年たって復興庁の発足。
東北にも他のとこでも新自由主義の嵐が吹き荒れている。
安倍の提灯持ちのマスコミのなか、獄中からの視線は鋭い。
★ 2013年 五輪のため虚像日本でおもてなし 九州の清水
オリンピック、東京開催の決定。
おもてなしとは、うらありありの真っ黒さ。
「おもてなし 政府公認 汚染水」だよ、羽黒山。
年末には特定秘密保護法の成立。
★ 2014年 この国のどこに安全置いてある ゆんたく
1月に国家安全保障局の発足、
4月に武器輸出を認める「防衛整備移転三原則」を閣議決定、
7月に集団的自衛権の行使を容認する政府見解を閣議決定。
どんどんと安全が遠のいていく。
ゆんたくは沖縄弁で、おしゃべりのこと。
11月、沖縄で基地反対の翁長知事の当選。
★ 2015年 海猿が走狗となって海埋まる 千葉刑名無子
オール沖縄。知事も県民も闘っているなか、海上保安庁の潜水士たちは走狗=犬となってカヌー隊に暴力を振るうのだ。
辺野古の海は絶滅危惧種ジュゴンも泳いでいるのに。
★ 2016年 一億が果たす活躍戦争化 堺のゆんたく
1月、安倍が「一億総活躍社会」を目指すと。
5月「伊勢志摩に 集う世界の テロリスト」、堺のゆんたく作。
8月、天皇生前退位の意向。安倍が酷いせいか、リベラル?天皇人気が高まるのも何だかなあ。
★ 2017年 歯向かえば皆テロリスト共謀罪 九州の清水
1月、世界の警察官トランプ就任。
7月、いわゆる共謀罪の施行。歯向かわなくても立派にテロリスト認定されるかも。
なんせ「晋三と 愛国ごっこの 仲間たち」だものねえ広島獄友。
★ 2018年 南北の融和ムードに焦る国 獄遊
2月、オリンピック 韓国と北朝鮮との統一旗を掲げて「コリア」として入場。
4月、文大統領と金委員長の板門店首脳会談。
かたや我が国「安倍の罠 気付かぬ民に どう悟す」とは、浦上剛志の警句なり。
★ 2019年 尊厳をレイプしたのは判事たち 金愛淑
どの事件かは分からねど、同感。
お名前からして女かしらと、取りあげてみた。なんだか9割方男ばかりなんだもの。
「バンクシー 小池知事も 塗りつぶせ」、「桜には 帝国主義の 臭いする」も、同じ作者。
★ 2020年 三密の監獄で作る防護服 岐阜の無境界人
岐阜刑務所からなのだろうか。末法の世は続くが、くすりと可笑しい獄中川柳。
3月、東京五輪の一年延期。
4月、コロナ緊急事態宣言。
特別寄稿として「底に近い場所からの叫びを楽しむ」、獄中体験5年の作家で詩人の小嵐九八郎の文が載せられている。
なお、これからも「救援」紙上での川柳は続くので毎月ご贔屓に。
400句が収録された句集は、一冊500円(送料79円)。救援連絡センターは、1970年に第三種郵便認可を受けてるから郵送料が安いのよ。
お申し込みは、東京都港区新橋2−8−16 石田ビル5F「救援連絡センター」、
TEL03-3591-1301 FAX03-3591-3583、郵便振替00100-3-105440 救援連絡センター)まで。
*「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美・根岸恵子・志水博子、ほかです。
『レイバーネット日本』(2020-11-05)
http://www.labornetjp.org/news/2020/hon178
★ 獄中は怒り限界集落だ
『救援川柳句集』(乱鬼龍 編、救援連絡センター 発行、500円)評者:大山千恵子

*国会前で句集を手にする乱鬼龍さん(写真提供=松元ヒロさん)
「さあ 獄入り 意味おーい」3591−1301という電話番号、知る人ぞ知る「救援連絡センター」の機関紙「月刊救援」には、毎月の川柳コーナーがある。このたび、2009年から本年までの句集が完成した。80頁の小冊子だ。
後ろについている「読む年表」を参考にして、一年毎に紹介してみよう。
★ 2009年 大丈夫か真実分かるか裁判員 トリ天
裁判員制度が始まった。弁護士会まで一体となって「裁判員」様を持ちあげる。
かたや公判前整理手続で、とっとと処理のベルトコンベア法廷。
一般ピープルに死刑の見極めさせる新体制、大丈夫か。
★ 2010年 煉獄の炎で燃えよ検察庁 大分の清水
大阪地検特捜部フロッピー前田の証拠改竄、石川議員取調べ検事ストーリー田代の捜査報告書捏造と、ぼろぼろでてきたときだよね。
秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)、バッジが泣いてるぜ。
「盗撮は 検事不倫は 警視正」とは、白壁の理不尽大王の句。
★ 2011年 獄中は怒り限界集落だ 星の砂時計
3月、東日本大震災。そして今も福島は「安心」でも「安全」でも「大丈夫」でもない事態の現在進行形。
限界集落とは65歳以上が過半数の集落。これぞ獄の始まりか。
★ 2012年 言い訳はいつも震災担ぎ出す 大分の清水
震災から1年たって復興庁の発足。
東北にも他のとこでも新自由主義の嵐が吹き荒れている。
安倍の提灯持ちのマスコミのなか、獄中からの視線は鋭い。
★ 2013年 五輪のため虚像日本でおもてなし 九州の清水
オリンピック、東京開催の決定。
おもてなしとは、うらありありの真っ黒さ。
「おもてなし 政府公認 汚染水」だよ、羽黒山。
年末には特定秘密保護法の成立。
★ 2014年 この国のどこに安全置いてある ゆんたく
1月に国家安全保障局の発足、
4月に武器輸出を認める「防衛整備移転三原則」を閣議決定、
7月に集団的自衛権の行使を容認する政府見解を閣議決定。
どんどんと安全が遠のいていく。
ゆんたくは沖縄弁で、おしゃべりのこと。
11月、沖縄で基地反対の翁長知事の当選。
★ 2015年 海猿が走狗となって海埋まる 千葉刑名無子
オール沖縄。知事も県民も闘っているなか、海上保安庁の潜水士たちは走狗=犬となってカヌー隊に暴力を振るうのだ。
辺野古の海は絶滅危惧種ジュゴンも泳いでいるのに。
★ 2016年 一億が果たす活躍戦争化 堺のゆんたく
1月、安倍が「一億総活躍社会」を目指すと。
5月「伊勢志摩に 集う世界の テロリスト」、堺のゆんたく作。
8月、天皇生前退位の意向。安倍が酷いせいか、リベラル?天皇人気が高まるのも何だかなあ。
★ 2017年 歯向かえば皆テロリスト共謀罪 九州の清水
1月、世界の警察官トランプ就任。
7月、いわゆる共謀罪の施行。歯向かわなくても立派にテロリスト認定されるかも。
なんせ「晋三と 愛国ごっこの 仲間たち」だものねえ広島獄友。
★ 2018年 南北の融和ムードに焦る国 獄遊
2月、オリンピック 韓国と北朝鮮との統一旗を掲げて「コリア」として入場。
4月、文大統領と金委員長の板門店首脳会談。
かたや我が国「安倍の罠 気付かぬ民に どう悟す」とは、浦上剛志の警句なり。
★ 2019年 尊厳をレイプしたのは判事たち 金愛淑
どの事件かは分からねど、同感。
お名前からして女かしらと、取りあげてみた。なんだか9割方男ばかりなんだもの。
「バンクシー 小池知事も 塗りつぶせ」、「桜には 帝国主義の 臭いする」も、同じ作者。
★ 2020年 三密の監獄で作る防護服 岐阜の無境界人
岐阜刑務所からなのだろうか。末法の世は続くが、くすりと可笑しい獄中川柳。
3月、東京五輪の一年延期。
4月、コロナ緊急事態宣言。
特別寄稿として「底に近い場所からの叫びを楽しむ」、獄中体験5年の作家で詩人の小嵐九八郎の文が載せられている。
なお、これからも「救援」紙上での川柳は続くので毎月ご贔屓に。
400句が収録された句集は、一冊500円(送料79円)。救援連絡センターは、1970年に第三種郵便認可を受けてるから郵送料が安いのよ。
お申し込みは、東京都港区新橋2−8−16 石田ビル5F「救援連絡センター」、
TEL03-3591-1301 FAX03-3591-3583、郵便振替00100-3-105440 救援連絡センター)まで。
*「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美・根岸恵子・志水博子、ほかです。
『レイバーネット日本』(2020-11-05)
http://www.labornetjp.org/news/2020/hon178