2020/12/1

根津公子の都教委傍聴記(2020年11月26日)  Y暴走する都教委
 ◆ オリ・パラ教育、観戦とボランティアへの動員に反対の声を

 公開議題は、議案が「『東京都公立学校の校長・副校長及び教員としての資質の向上に関する指標』の改訂について」、報告が「都民の声(教育・文化)について 今年度上半期」、「来年度教育庁所管事業予算見積について」。後述するが、都教委はオリンピック観戦もボランティア体験も子どもたちにさせる、と張り切る。
 非公開議題・報告にはいつもながら、教員の懲戒処分案件があった。

 ◆ 「『東京都公立学校の校長・副校長及び教員としての資質の向上に関する指標』の改訂について」

 「教員の体系的かつ継続的な研修を充実させていくための環境整備が急務」だとして、2016年に文科省が教育公務員特例法に「資質の向上に関する指標の策定」を加えた。それを受けて、都教委は17年に策定。


 今回の改定は、これまで「教諭」とひと繰りにしてきた職種から、養護教諭版、栄養教諭版を分離独立させ、また、栄養教諭にも校長登用の道を拓いたこと。

 「指標」は養護教諭(採用1〜3年)で言えば、「学習指導要領の趣旨を踏まえ、児童・生徒理解に基づき、学級担任と連携し、養護教諭の専門性を生かした保健教育ができる。」「学校保健計画の策定など、組織の一員として校務に積極的に参画できる」など10前後の指標をあげる。

 自己申告・面接の際にはこの指標に沿って教員は自己申告をし(年度初めには目標・抱負を、中間、年度末には自己評価を)、校長は助言・評価をするということのよう。

 こんなことを学校側に課して、学校が子どもたちにとって安心して学び生活できる場になったか。その考察なくして改訂版を出しても、教員管理を強めるだけ
 管理を強めれば教員はさらに疲弊し、それが子どもたちに影響する。いじめや不登校の要因は社会や家庭にもあるだろうが、学校の管理体制・それによる、教員の子どもとの人格的接触の減少に主因があるのははっきりしている。


 ◆ 「都民の声‘(教育・文化)について 今年度上半期」

 今年上半期の声は例年の2倍以上の8800余件。新型コロナウイルス感染防止に関するものが最多。
 請願は14件。うち、教科書採択(育鵬社の歴史・公民、自由社の公民、日本教科書の道徳教科書は採択しないで等)が4件、都立高校定時制課程の存続が1件。

 陳情では「特別支援学校の医療的ケア児専用車両について、希望するすべての生徒が利用できるようになるまでは、タクシー・介護タクシーを就学奨励費の対象として利用できるように」等、障がい者教育の充実に関してが最多。他に、オンライン教育の早期推進、教科書採択について(請願と同趣旨)、「日の丸・君が代」の強制と教員処分の撤回を求めたもの。

 例えば、「都立高校生が駅構内の飲食店に複数で来店して、マスクをせずに大声で話したり、通路を塞いだり…店員が注意しても改善されなかった」という苦情に対しては「当該校では、直ちに今回のご指摘の内容を校内放送で伝え、改めて…注意喚起を行うとともに、…当該生徒に対し…個別指導を行った」と報告する。
 しかし、都教委の方針に反する、教科書採択や都立高校定時制課程の存続についての「請願者への通知」は、新たに検討したとはおよそ思えない文面だ。形だけの、ガス抜き装置の「都民の声」でしかない。


 ◆ 「来年度教育庁所管事業予算見積について」

 新規事業として、ICT教を活用した教育の推進に155億、小学校教科担任制の推進(推進校において実施)に7200万、理数教育の充実(理数教育の重点校の指定)に1600万円ほか。文科省方針に沿ったものばかり。

 他に、オリンピック・パラリンピック教育の推進に53億。コロナ感染が収まる見通しのない中、オリンピックは開催できない・すべきではないと多くの人が思っている。
 なのに、都教委は年35時間のオリ・パラ教育を続けるだけでなく、「オリンピック・パラリンピック教育の集大成として、子供たちが東京2020大会で競技を直接観戦し、その感動を掛け替えのないレガシーとして築いていくため、公立学校の子供たちの大会観戦チケットを確保する…」「都内公立中高生のボランティア意識を高め、ボランティア文化の定着・裾野拡大を図るため、東京2020大会における中高生のボランティア体験の機会を確保」と平然と謳う。
 どういう神経か! 感染の危険と隣り合わせの中、観戦もボランティアも子どもたちにさせるというのだ。命よりもオリンピックの成功が都教委(都)には大事ということだ。

 この方針に対し、教育委員の誰一人からも感染を心配する発言はなかった。
 感染の心配なし、と思ってはいないだろうに、発言しない。そのことも恐ろしい。かん口令が敷かれている? 戦時下のようだ。
 私はそう思う一方で、私の理解が間違っているのかと不安に駆られ、何度も資料を読み返した。私自身が戦時下に置かれたような錯覚をした。

 コロナ禍の中の今年の卒業式は、呼名もお祝いの言葉も省略し大幅に時間を短縮した。しかし、都教委は「君が代」起立斉唱については実施を指示し、結果、全都立校がそれに応じた。命よりも「君が代」=国家優先の卒業式を行ったのだ。アベの一斉休校下であり、感染を心配した人は多かっただろうに。
 「君が代」、オリンピックは都教委の方針。その方針達成のためには、命は軽視するということだ。

 オリ・パラ教育、観戦とボランティアへの動員に反対の声をあげていかねば。

『レイバーネット日本』(2020/11/27)
http://www.labornetjp.org/news/2020/1126nezu


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