2021/1/22

文部科学省の教科書検定審議会が、規則違反に罰則を科す「報告」を提出  ]Vこども危機
 ◆ 文科省が検定規則改定
   改憲団体の失態が端緒
(週刊新社会)


 改憲政治団体・日本会議系のメンバーらが執筆した育鵬社版中学公民教科書と、同団体との分裂前からの流れを汲む「新しい歴史教科書をつくる会」系の自由社版中学歴史教科書の失態に対し、文部科学省の教科書検定審議会(検定審)は2020年12月2日、検定規則改定を含む改善策を盛った「報告」を決定。会長の五十嵐隆・国立成育医療研究センター理事長が萩生田光一文科相に手渡した。

 文科省はこれまで、毎年3月下旬の検定結果公表前は検定内容や合否結果などの漏洩を禁じてきたが、違反した出版社に罰則は科していなかった。
 自由社版は405カ所もの欠陥カ所があり、174カ所について反論書を提出したが、検定審が全て認めず、19年12月不合格が決定。「つくる会」の高池勝彦会長、藤岡信勝副会長らは前記・解禁前の20年2月21日、記者会見で検定内容を発表・漏洩し、文科省に不満だと主張した。


 次に育鵬社は、見本本の、社会権と子どもの貧困を扱う2カ所の写真に、「事前に掲載許諾を得ていないものがあり、その後、被写体の肖像権者から掲載しないでほしいという申し出があり」(同社・山下徹氏の20年8月28日付教育委員会宛文書)、教委にシールを送り付け、貼るよう依頼した。だが、少なからぬ教委が料金着払いで同社に送り返した。

 「報告」は、自由社版の事案では「近年、教科書として求められる水準に遠く及ばない図書が申請され(中略)検定が本来の趣旨から離れて利用されているような事態が生じている」とし、現行制度で不合格後、上限がない再申請可能な回数を「2回までとすることが望ましい」「2回目の再申請の期間は翌年度とすることが適当である」と牽制。
 その上で今回の「つくる会」の漏洩事案を、検定規則の「不公正な行為」に位置付け、こうした行為に及んだ出版社は次回の検定申請で不合格とする罰則を新たに導入すべきだとした。
 一方「報告」は、混乱した育鵬社版の事案を念頭に、「使用した写真や資料について、肖像権や著作権等の権利処理が済んでいることを確認できるよう、『出典一覧表』(検定申請時、出版社に提出させている)の様式を改めることが適当」と明記した。

 ◆ 教科書のデジタル化、QRコードの陥穽

 近年、様々な情報にアクセスできるURLやQRコードを、教科書に載せる出版社が増えている。文科省は教科書の内容と関連のある情報か報告させて確認はしているが、検定意見は付していない
 「報告」はこの報告・確認を検定規則に盛る方向だが、前記改憲”教科書”が、社会科の”君が代”、自衛隊、日米安保、天皇制など意見の分かれる問題で、政府や保守政党寄りのURLを多く載せる(自衛隊の一見カッコイイ映像等が出てくる)危険性がある。
 ”君が代尊重”教化の学習指導要領下でも、99年2月検定合格の東京書籍教科書は、「被害国の人々には侵略した国の国旗や国歌を、すなおに尊重できない感情が残ります」と、明記していた。
 だが、文科省は14年1月の下村博文文科相時、社会科で政府見解を教え込むよう検定基準を改定した。
 「政府見解とは反対の意見も教科書に載せ、授業でしっかり扱おう。これが本当の政治的中立性だ」と、筆者は文科省に、そして社会に訴え続けていきたい。
(教育ジヤーナリスト・永野厚男)

『週刊新社会』(2021年1月19日)


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