2021/5/10

人権は普遍的なものであり、国際社会の批判を「内政干渉」として無視することは許されない  Z国際人権
  《黒風白雨 (週刊金曜日)》
 ◆ 人権問題は「国内問題」ではない
   宇都宮健児


 欧州連合(EU)と米国、英国、カナダは3月22日、新彊(しんきょう)ウイグル自治区責任者らの資産を凍結するなどの対中国制裁を発動した。
 イスラム教徒が大半を占める中国の少数民族ウイグル族の人権侵害が理由である。
 また、米国国務省は3月30日、世界各国の人権侵害についてまとめた2020年版の年次報告書を発表したが、この中で中国の新彊ウイグル自治区で少数民族ウイグル族に対する「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と「人道に対する罪」があったと明記し、厳しく批判している。
 年次報告書では、中国のウイグル族に対し「政府による恣意的、非合法な殺害」が行なわれ、「100万人以上のイスラム系少数民族を強制収容所に拘束した」と指摘している。
 さらに、「香港でも中国政府が香港の行政や司法に介入する『香港国家安全維持法』を成立させるなどして市民の自由を破壊した」と批判している。


 米国国務省の年次報告書による批判に対し、中国外務省の報道局長は3月31日の記者会見で、「世紀のうそ、真っ赤なうそで、中国人民への最大限の侮辱だ」と猛反発している。
 また、中国政府はウイグル族や香港の人権侵害批判に対し、「内政干渉である」として国際社会からの批判をはねつけてきている。

 しかしながら、中国も加盟している国連の国連憲章(1945年発効)では、「人種、性、言語又は宗教による差別なくすべての者」の人権尊重のために国際協力することを国連の目的の一つとしており(1条、13条、55条)、加盟国もそのために国連と協力して行動をとることを誓約している(56条)。

 また、国連が採択した世界人権宣言(1948年採択)では、すべての人間の自由、平等(1条)、権利と自由の享有においていかなる差別も受けないこと(2条)、生命、自由、身体の安全に対する権利(3条)、法の前に人として認められる権利(6条)、基本的人権を侵害する行為に対して救済を受ける権利(8条)、恣意的な逮捕や抑留を受けない権利(11条)、思想、良心、宗教の自由(18条)、表現の自由(19条)、平和的な集会と結社の自由(20条)、参政権(21条)、労働の権利(23条)、教育についての権利(26条)など、さまざまな人権が規定されている

 中国は現在、国連の国際人権規約(社会権規約)、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約、拷問禁止条約、障害者権利条約などを批准しているので、国連憲章や世界人権宣言に加えてこれらの人権条約を遵守する義務を負っている。

 このように、国連に加盟し、国連の各種人権条約を批准している国にとっては、国連憲章や世界人権宣言、各種人権条約が定める人権保障規定を遵守する義務があり、人権問題はもはや国内問題ではなくなってきているのである。
 したがって、人権侵害批判に対し「内政干渉」と拒否する中国政府の態度は、国際的にはまったく通用しないものである。

 現在では、人権は普遍的なものであり、世界中で適用可能であるだけでなく、過去の社会を評価する上でも有効な原則となっている。

『週刊金曜日 1325号』(2021.4.16)


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