2021/5/18

マンションの屋上に楽天の基地局を建設する計画を、住民運動で否決するまで  ]W電磁波と基地局
  《電磁波研会報から》
 ◆ 私はこうして楽天基地局設置を阻止しました
   なにもかも初めての体験でした

奥野かおりさん(仮名、電磁波研会員、関西圏在住)

 ◆ 突然自分のマンションの屋上に携帯アンテナが建つ計画が!…

 ある日マンションの総会で突然、屋上に楽天モバイルのアンテナ設置の話があると聞いた時、私はまだ電磁波のことなど全く知りませんでした。
 しかし、「自分の住んでいるマンションの屋上にアンテナを建てるなんて、大丈夫だろうか?…」という一抹の不安を感じ、すぐ電磁波の危険性をネットで検索してみました。そして電磁波の危険性を訴えているグループを見つけ、参加することにしました。
 そしてそこのメンバーの一人の方が「この本をまず読んでみて下さい!」と勧めてくれたのが、『電磁波の何が問題か』(緑風出版)でした。
 電磁波のことについては、電子レンジとかリモコン、携帯電話から出ているものだという程度のことくらいしか知らなかった私ですが、


 その本を読むと、電磁波の恐ろしさや、実際に健康被害で苦しんでいる人達が全国にたくさんいること、全国で200件もの近隣トラブルが起きていることなどを知り、自分のマンションの屋上にアンテナが建てば、同じようなことが自分の身にも起こるのだと思い、正直とても不安になり、焦りました。

 でも、まだその頃は、自分が積極的に反対運動をすることになるとは、思っていませんでした。というのは、私はもともと、あまり人権活動などをやったこともなく、好きではなかったからです。


 ◆ 楽天説明会のために資料作ることに…

 ところが、その頃、近々楽天アンテナのマンション住人説明会があることを知り、さすがに「このままではまずい」と思い、ようやく反対するための資料を作る決意をしました。
 もう用意するにもそれほど時間がないので、『電磁波の何が問題か』の本をじっくり読んで、この本1冊で住民説明会の際の資料を作ることにしました。

 しかし、住人説明会に集まったのは理事会メンバーを除くと3〜4人だけでした。
 そんな中、私30分ほど時間をもらい、資料を参加者に配り、電磁波の危険性や近隣トラブルなどのリスクについて説明したのですが、理事長をはじめ、理事のメンバーの方たちも、「電磁波過敏症になる人は人口の何パーセントですか?」とか、楽天は国の安全基準を満たしているとか、WHOはファクトシートで安全と言っているとか、お決まりの話に終始し、こちらの反対理由をほとんど考慮してくれませんでした。

 さらに、うちのマンション前には320人もの園児が通う巨大幼稚園があるのですが、宮崎県小林市の園児が鼻血を出している写真まで見せましたが、理事長の反応は「小さな子はよく鼻血を出すものですからね…」の一言でした。

 そんな中、唯一救われたのは、そこに参加していた住人の一人が、「あんた!さっきからセールストークばっかりして!」と楽天の担当者を一喝してくれたことです。
 この方も電磁波の危険性ついての本を読んでいたらしく、アンテナ設置には反対のようでした。しかしこの時はまだ、私は積極的に反対運動をする気持ちはありませんでした。


 ◆ 臨時総会で最終決議することを知り、ようやく反対運動へ

 ところが、しばらくして2か月後に臨時総会を開き、そこで最終決議をすることを理事会が決定したことを知り、このままの流れで行くと、住人が詳しいことを知らないまま、何となくアンテナ設置が決議されてしまう可能性が有ることにようやく気が付きました。
 でも何から手を付ければ良いか分からないので、先ずは説明会に参加した住人2人と、あと時々顔を合わせた時にお喋りをする住人の方、合計3人に声をかけました。幸い3人とも反対の意見でしたので、このメンバーで反対運動をすることにしました。

 それからマンションの目の前にある巨大幼稚園の園長に、うちのマンション屋上に楽天のアンテナ設置の計画が有ることを伝えました。園長には私の『電磁波の何が問題か』の本を参考資料としてお渡ししました。
 園長から「理事会からも一度話を聞きたい」と言われたのですが、理事長に伝えると「住人以外の人にいちいち説明する気はないし、説明する必要はないと思っている」との返事で、やむなく反対メンバー3人と私で園長と話をすることになりました。
 こうした頑な理事会メンバーの対応に私は、幼い子供がこのままでは犠牲になってしまうこと、マンション住人も電磁波の危険性を一切知らされずに決議を強いられてしまうことに苛立ちと一抹の不安を感じ、悩みました。

 そもそも反対運動などやったこともないし、もしマンションの住民から余計なことをしていると思われ、住みにくくなったらどうしよう…また、近隣の住民にも知らせるべきだとは思うが、どうやって伝えれば良いのか…チラシで告知すれば、何かクレームを言ってくる人がいるのではないか?などあれこれ考えると、本当に胃が痛くなったり、時には眠れなくなったりする日々が続きました。


 ◆ 配布資料を作ることに…

 でも、決議までの日は刻々と近づいてくるので、「もう待っていられない!」とようやく覚悟を決め、マンション住人用近隣住人用の資料を作ることにしました。
 近隣住人用のものには私の名前と住所を記載し、1000枚印刷しました。住所や名前を公開することに、正直不安や恐怖もありましたが、こうしなければいたずらと思われてしまう可能性もあると考え、覚悟を決めました。

 近隣住人用のチラシには、個人情報は求めず、「マンション名」と「反対します」という意見だけ、メールか手紙(近隣なので私の家のポストに投函)で書いて知らせてもらうようにお願いし、これを近隣マンションだけにボスティングすることにしました。(戸建ての方は名前が必要になるので外しました)

 しかしこの時点でもまだ私の中には、不安がいっぱいだったので、まず知り合いの住んでいるマンションに行き、今からやろうとしていることを説明し、「もしお願いできるならここのポストにもこのチラシを投函させてもらえないか?」と頼んでみました。
 知り合いと言っても、子供が昔、幼稚園や小学校で一緒だっただけで、最近は全く連絡をとっていない人達ばかりだったので、そこへ訪ねていくのにもかなりの勇気が必要でした。でも実際に訪ねてみると、思っていたよりずっと話を聞いてくれ、さらに励ましてくれました。
 それで、これを機に、私は本格的に反対運動をする気持ちが固まり、1000枚のチラシも平日の夜仕事が終わってから、娘に手伝ってもらって、自転車で配布しました。


 ◆ 一番の難関!マンション住人の訪問

 そして次に取りかかったのが、自分のマンション住人に渡す資料です。
 この資料は、いきなりアンテナ設置反対!というよりも、「決議をするのは早過ぎるのではないか?」といったタイトルにしました。その方が話を聞いてもらいやすいと思ったからです。もちろん、その中にはアンテナ設置のリスクなどや、説明会での楽天とのやり取りなども記載しました。

 こうして資料は出来上がったのですが、私は平日仕事でマンションにはそれほど親しい人がいるわけではなかったため、訪問すると迷惑がられるのでは?…という不安を感じ、楽なボスティングで済まそうかとも思いました。
 でも今回の議決は、住民の4分の3の賛成で可決されるため、反対者を9人集める必要があります。ボスティングだけでそんなに反対者を集めることが出来るだろうか?…そこで思い切って電磁波研スタッフに電話をかけて聞いてみることにしたのです。
 これもあとで思うと、面識も全くないのに、本を読んだというだけで、よく思い切って電話をしたな!と思うのですが、その時はもう切羽詰まっていたのでそんなことを考える余裕すらなかったのだと思います。

 スタッフの方に電話をすると、「住人はボスティングじゃなくて、一軒一軒訪問して回るくらいで行かないとダメだよ!」と言われました。
 この一言が結果的に私の背中を押してくれ、私は反対派の3人のメンバーと手分けをしてマンション住人を訪問することにしました。理事会のメンバー6人は訪問しないことにし、説明会に来なかった住人だけ訪問しました。

 いざ勇気を振り絞って、こわごわインターホンを押し「先日の説明会に参加されていなかった方」にお伝えしたいことがある」と伝えると、多くの方は快く玄関に出て来られ、話を聞いてくださり、むしろ「きちんと調べてまとめて下さったんですね。有難うございます!」と感謝され、私は意外な反応に驚きました。
 1件だけ訪問していきなり、「私は賛成派ですから!」とピシャリと断られましたが…。

 こうして訪問を重ねた結果、私のポストにはアンテナ反対のメモが次々投函され、気が付けば否決数9人を超えた状態で、最終の臨時総会を迎えることが出来ました。


 ◆ いざ臨時総会へ!

 そして臨時総会でも意外なことがありました。それは、私には連絡がなかったのですが、私への委任状を管理組合のポストに投函してくれた人が1名いたことです。
 また、反対者は私が把握している人数よりずっと多く、臨時総会を欠席して議決票だけ出している反対者だけで、既に否決数に達していたのです!
 さらに賛成派だとばかり思っていた理事の中にも反対派がいたのです。
 これは、やはり資料を持って訪問したことが功を奏したのではないかと思っています。やはりスタッフの方がおっしゃる通りでした。


 ◆ 今回感じたこと…

 訪問するのは、最初は本当に勇気が要りますが、やってみて思ったことは、やはりこちらの本当の思いは、訪問して話をしてみないと、相手になかなか伝わらないということです。
 一生懸命に話せば、その熱意のいくらかは届くのかも…と今回つくづく感じました。

 こうして、最初は眠れなくなるほど悩みながら一人で始めたアンテナ反対運動も無事成功したので、今度は条例設置の請願をする活動をしようと思っています。
 まずは市議会議員の誰に頼むのかを今検討中です。

 もしかしたら、またこの活動の中でも署名運動など全くやったことのない、苦手なことが出てくるかも知れませんが、その時はまた誰かの力を借りて、乗り越えていこうと思っています。もちろん、私はそんなに強い人間ではありませんので、本音では誰かやってくれたら良いのにな…と都合の良いことを考えています。

『電磁波研会報 129号』(2021年3月28日)



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