2021/6/16

「重要土地調査規制法案」は戦時中の治安立法への逆行  ]平和
 ◆ 監視国家への道 (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)

   怒濤(どとう)をおさえで聳(そび)え立つ
   朝鮮海峡制扼(やく)の 務めは重し、わが対馬

 朝鮮半島に近い対馬要塞(ようさい)重砲兵連隊の連隊歌の一節である。
 対馬は戦時中「日本第一の要塞地帯」(大西巨人『神聖喜劇』)と言われていた。

 大西の小説は、軍隊内での補充兵の抵抗を詳述した力作長編だが、軍隊内がばかばかしい規則に支配されていたように、塀の外もまた「要塞地帯法」や「建設物制限規則」や「軍機保護法」などに制約された、不条理な厳戒態勢にあった。
 たとえばその地域では新増設は禁じられ、写真撮影は論外、子どもたちの写生も取り締まりの対象になり、地図の作製などはスパイ扱いだった。


 突如として菅政権が持ちだしてきた「土地規制法案」は、米軍基地や自衛隊基地さらには原発などの周辺に「注視区域」や「特別注視区域」を設定し、建物の所有者や賃借人を調査・監視する治安立法である。

 十日付の「こちら特報部」の記事、沖縄「やんばるの森」でチョウ類を研究している宮城秋乃さんが、家宅捜索を受けた事件は、本人と面識があるだけに、戦時中のような、市民への軍事・警察組織の横暴がはじまったとの恐怖を感じさせる。

 当面は沖縄南西諸島だ。
 行政効率化をうたうDX(デジタル化)を強行、土地規制法で監視と罰則を政策強化して、歴史に逆行する菅政権は嫌だな。(ルポライター)

『東京新聞』(2021年6月15日【本音のコラム】)


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