2021/6/20

萩生田大臣の『政府見解条項』解釈の発言が誤りだったことは認めた文科省  ]Vこども危機
 ◆ <情報>『朝日』が教科書課の「5・18WEB会議」を初報道!
   皆さま     高嶋伸欣です


 標記のように『朝日新聞』が本日(18日)朝刊で、「従軍慰安婦」等の教科書記述問題についての記事を、初めて掲載しました。
 今回の騒ぎを煽った『産経』「つくる会」(HP)などは、「5・18WEB」会議のことをこれまで全く触れていません。

 本来なら彼らの思惑通りに進んでいると勇んで報道したはずです。
 けれども、実態は「6月末までに訂正申請をしろ!」「出さなければ”伝家の宝刀”の大臣勧告を発動されると覚悟しろ!」という脅迫同然の内容であるので、さすがに一般世間に知らせるのはやめにして、”脅迫”が効果を上げるのを期待して待つことにしたのではないでしょうか。

 この後、『毎日』『東京』それに「共同通信」などがさらに掘り下げをするか注目です。
 なお、この『朝日』記事は最後の4行で、


 「文科省は、教科書が答弁書の政府見解と『従軍慰安婦』を併記することまでは否定していない」としていますが、これは、文科省(萩生田大臣)が根拠としている「検定基準」の「政府見解条項」の字面からすれば当然のことです。
 「政府見解条項」=閣議決定その他の方法により示された政府の統一的見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること。
 ところが、今回の場合について『答弁書』(4月27日)の先駆けとなった3月22日の萩生田大臣答弁以後の国会質疑では、そうした字面通りの解釈ではなく、萩生田大臣による「政府見解以外の教科書記述を許さないルールである」との勝手で違法な解釈の下に進行していたことが、今では判明しているのです。

 そのことに気付かせてくれたのは、下記の大臣発言です。

 同「条項」は「政府として認めたものについてのみ教科書には記述しようということをルール化をしまして、その後正常化をしてきたというふうに私は思っていたんですけれども、今回、久しぶりにまたこういう記述が出てきた」(5月12日、文科委員会での萩生田大臣発言。国会議事録のビデオライブラリーで確認可能。「5・18WEB」会議で教科書課が配布した「関連議事録」10pに記載)

 ただし、この明白な誤りについて大臣自身、その後の委員会で訂正謝罪等を全くしていません。文科省内には、その誤りを大臣に忠告・進言できる官僚は皆無なのでしょうか。菅官房長官がうるさ型の前川氏を辞任させた”効果”は覿面のようです。

 それに、野党も記者(委員会傍聴や記者会見)たちも、この点を追及した気配がありません。

 一方で、『答弁書』を獲得した馬場伸幸議員は図に乗って、「『従軍慰安婦』はこうして抹消された」(『Will』7月号。5月26日発売)などと”手柄”を吹聴しています。「日本維新の会」幹事長にしてこの状況です。

 本題に戻りますが、上記の大臣の違法な「政府見解条項」解釈なしには、「今年度の教科書検定より」「今後、そういった表現は不適切ということになります」との答弁(前出5月12日文科委員会答弁、『関連議事録』4pに記載)はあり得ないはずです。
 そうした違法な大臣答弁に基づいた訂正申請説明を強行したのが「5・18WEB」会議だったことになります。

 すでにこの違法・異常な状況を文科省・教科書課が18日の会議で生じさせたことを、6月14日の吉川元議員による教科書課ヒアリングに同席した私たちの追及に対して、事実として認めています。

 追及のやりとりは次のような具合で、吉川議員も積極的に衝いていました。
 @ 「萩生田大臣の『政府見解条項』解釈の発言があったことを認めるか」

   「そうした発言があって『関連議事録』に記載されてます」

 A 「その誤りを記載したままの『関連議事録』をWEB会議で配布したことになる」

   「配布しました」

 B 「その後、この大臣は発言は誤りであることを会議参加者に教科書課はつたえたのか?」

   「教科書課(文科省)としては何もしていない。でも6月9日の文科委員会での畑野君枝議員(共産党)への答弁で『政府見解のみを記載させるものではない』旨を説明したので、上書きができています」

 C 「それでことが済んでいるというのは無理だ。そうしたやり取りについて、教科書会社が自主的に国会審議に関心を払って気づくはずだ、というのであれば『5・18WEB』会議も開催する必要はなかったことになる。首尾一貫していない。『情報提供』の為は名目で、事実上の訂正申請強要のためだったとする見方が強まる。誤った内容の『関連議事録』を配布してしまった以上は、訂正の措置を何らかすべきだ」

 D 「持ち帰って検討します」
 この件での補足説明等、教科書課・文科省内でどのように検討しているかは、不明でしたが、すでに昨日(17日)、教科書課から各教科書会社に「議事録補足資料」が送信されているとの情報が今日はいりましたが、まだその文面を確認出来ていません。

 *文面が判明次第に精査して評価をまとめます。

 ただしその文面がどうあろうと下記の点における基本的な問題点は変わらないと思います。
 私見ですが、今回の件は文科大臣の誤った内規解釈を土台にして組み立てられた筋書きによって遂行されてきたものであるだけに、違法な法規解釈とそれに基づく行政行為(訂正申請を含む検定は行政処分に該当すると文科省も認識しています)は、職権乱用で違法という司法判断との兼ね合いで苦慮していることが想定されています。

 *ちなみに国会で文科省がこの件に該当する教科書として名前を挙げられ、「5・18WEB」会議に招集された教科書会社では「具体的に教科書のどこを検討すべきなのか判然としない」など、余計に不安を覚えている様子がある旨指摘したところ、「そのような場合は個々に教科書課に電話で聴いて欲しい。通常の『訂正申請』の場合もそのようにしているのだから」とのことです。

 今回とこれまでの通常のケースは異質のはずですが、ともあれ問い合わせには応じるということです。

 長くなりましたが、もう一件、重要な話題があります。

 それは「訂正申請は6月末の期限を重視する必要はない」ということです。

 このことに話が及んだのは「それにしても今後の検定についてであればともかく、すでに検定済みの山川中学教科書や見本本段階の「歴史総合」教科書について訂正申請の対象にするのは行き過ぎではないか」と衝いた時です。

 回答は「私たちが想定しているのは、今回の件の訂正申請が行なわれるとしても、来年4月からの個々の供給本についてということであって、目下使用中のものや採択中の見本本に間に合わせてということではありません」との旨のものでした。

 ここから「では今各地の教育委員会が請願を受けて『見本本が変わるかもしれないから状況を確かめる間、「歴史総合」の採択については様子見にしよう』となっているのは何なんだ」という議論に進むことになり、再度上記の回答に変更がないことを確認しました。

 同時に、「それならば、今回の訂正申請は来年度用の供給本の印刷に間に合えば良いのだから、会社によっては秋ごろ(場合によっては年末ごろ)までにけりをつければ良いことになる。だとすれば、もともと『検定は専門的学術的観点からの審議をへた検定審議会の決定に基づいて遂行している』としている文科大臣たちが先走って、審議会の審議に枠をはめるような発言をしたことを受けてWEB会議まで招集してしまったのであるから、本来の建前に戻って、審議会がこの件をどう判断するかが問うのが妥当で、文科省としても整合性を維持する方法のはずだ

 「その観点にたてば、今ちょうど高校2年目の検定中で『日本史探求』『世界史探求』に『従軍慰安婦』などの記述もあるのに対し、審議会がどのように対応するかを確かめる機会が、秋には生まれる。その結果を待ってから、この訂正申請について個々に判断するのが合理的となる。
 こうした手順は、WEB会議でも6月末以後でもこの件の申請は受け取らないということではない旨、口頭説明したと先ほど言われたので、支障はないはずだ
 訂正申請については秋ごろまで先延ばしになってもいいということでしょう!」
 との念押しに、担当の企画官は口頭の回答はありませんでしたが、「ダメです」とも言っていません。

 従って、「訂正申請は6月末まで」というのは、何ら合理的根拠がないまま、本来の検定業務で多忙になる時期を避けたい、あるいは大臣からの催促など、それにWEB会議で形成する文科省ペースが維持されているうちに、この無理筋の案件を処理したいなどの思惑が想定される程度のものでしかないように思えます。

 この事案にはまだまだ不明朗な事柄が山積しています。それらの指摘は、順次続けます。

 本日の『朝日』報道の続報を、同紙や他紙などによってされることを大いに期待しています。

 特に上記の「議事録補足資料」の発出は、文科大臣が法規の誤解釈を国会でそのまま表明し、その後に訂正・陳謝もされることなく会期末になっている国会軽視の事態ですし、その間に大臣の誤解釈に基づいて行政部門(教科書課)が教科書会社社への行政指導の一環に当たる情報提供名目のWEB会議招集と実質的指導をもって行政権限を行使中なのです。

 第3次家永教科書訴訟の最高裁判決で示された「法規の恣意的便宜的解釈と運用は職権乱用で違法である」とする判断事例にすっぽりとはまり込む事例だと、私には思えます。

 こうした複雑な話を分かりやすく紙面にまとめる力量どのように示されるかについても興味津々です。
 さらに、多くの方々に、関係教科書会社の編集者・執筆者の皆さんへの不当な干渉を跳ね返すための支援を呼びかけます。

 以上 また長くなりました。 文責は高嶋です。ご参考までに。

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