2021/7/30

東京「君が代」第5次訴訟第1回口頭弁論原告側意見陳述@  X日の丸・君が代関連ニュース
  =東京「君が代」裁判・第五次訴訟第一回ロ頭弁論(2021年7月29日)=

 ◎ 陳 述 書
原告 川村佐和

 私は「10・23通達」による職務命令に違反したということで、今まで3回処分され、東京「君が代」裁判一次訴訟、四次訴訟、五次訴訟の原告となりました。
 「10・23通達」が発出された時の目の前が真っ暗になるような絶望感を今でもはっきり覚えています。私が起立できなかったのは、思想信条にかかわることについて、従わなければ処分するという強制が教育現場で行われることは絶対に許されないと思うからです。

 この五次訴訟で取り消しを求めている処分は、2016年3月の卒業式の国歌斉唱時に起立できなかったことに対するものです。2016年3月の卒業式は私が担任をしている学年の卒業式でした。
 私は2004年4月の入学式の不起立で処分されてからずっと希望しても担任にしてもらえませんでした。このまま定年まで担任にはなれないかもしれないとあきらめかけていた2013年、担任に決まった時のうれしさは忘れることができません。


 これがきっと最後の担任だと思い、自分にできることは全部やりつくそうという決意で3年間仕事をしました。
 「間違っていることに対して間違っていると言える勇気を持っ人になってほしい」と生徒に訴え続けました。授業やLHR、沖縄修学旅行を通して平和教育にもカを入れました。
 卒業式まで、私は何度も校長室に呼ばれて、起立してほしいと校長から言われました。校長から様々に説得されることにプレッシャーを感じ、卒業式の日までずっと悩みました。
 けれど、卒業式で「君が代」が流れたとき、私は立っていることができませんでした。間違っていると思っている命令に従って起立してしまったら、3年間生徒に伝え続けてきたことが嘘になってしまう、生徒を裏切ることはできないと思いました。

 私は今再任用3年目です。東京都は教員不足のため、再任用の希望者は基本的に65歳まで任用されるという運用がなされています。私は都立高校の仕事が大好きなので、定年後5年間再任用として働くことを楽しみにしていました。
 2019年の1月25日の朝、再任用の任用が決まったということを校長から告げられたのですが、その日の午後、校長が深刻な顔をして私のそばに来て「大事な話があるから校長室に来てほしい」と言うのです。
 校長室に行くと、校長は、前日の夜10時に人事部からメールで送られたという文書をゆっくり読み上げました。メールには「文書を該当者に渡してはいけない。校長の言葉で伝えるように。」という指示があったそうです。

 「懲戒処分歴のある教員に対する事前告知」と題されたそのメールの内容は簡単に言うと、年金支給開始年齢に達するまでは採用するが、その後は2016年3月に処分されているため任期を更新しないし、非常勤教員にも採用しないというものです。
 私は耳を疑いました。驚きのあまりただ呆然として、何も考えられなくなってしまいました。
 気持ちを落ち着けて、1時間ぐらい後にまた校長室に行き、もう一度「事前告知」を読みあげてもらい書き写しました。校長も「ひどいよ。怒っていいよ。」と憤っていました。
 戒告処分を受けて、十分不利益を被っているのに、定年後の職まで奪われてしまうことになるなんて、信じられませんでした。

 1年更新の再任用・非常勤教員の採用について、3年後は採用しないと事前に通告するということも不当だと思いました。また、この「事前告知」には「再任用職員としての資質に欠けるものがある」と書かれていますが、毎日手を抜かず一生懸命働いているのに、国歌斉唱時に起立できなかっただけでこのように決めつけられることに、私は教員としての尊厳を深く傷つけられました

 あれから2年、私は毎年全く同じ内容の告知を受けています。忘れるはずがないのに、繰り返し校長に伝えさせている都教委の執念深さは恐ろしいと思います。
 今までの裁判では、戒告処分は最も軽い懲戒処分であるとして、取り消されてきませんでした。しかし、戒告処分を受けたことによって定年後の職を奪われるということは、事実上戒告処分は免職処分に等しい重い処分になっていると言えます。

 私はあと八ヶ月しか都立高校で専任教員として働くことができません。専任の醍醐味は授業だけでなく、生徒会や委員会の指導、行事の運営、部活動指導などで生徒にかかわれることにあります。私は授業以外の指導の中で生徒の成長を実感できることのほうが多いような気さえしています
 退職の日が一日一日近づいていく中で、私は日々充実感とともにこの生活が奪われる寂しさを感じています。経済的な不安はもちろんですが、生き甲斐が奪われる辛さのほうが勝っているのです。
 私が再任用として都立高校で働き続けるためには戒告処分が取り消されなければなりません。どうか、裁判所におかれては、曇りのない目で「10・23通達」の不当性を見極め、戒告処分を取り消すという判断を下していただけるようお願いします。



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