2021/9/16

五輪教育で正視すべき、こんなにあったオリパラの負の側面  Y暴走する都教委
 ◆ 小中高校の五輪教育は賛美≠ノ偏していないか?
   国家主義の危険、税金の浪費も授業で扱うべき
(マスコミ市民)
永野 厚男(教育ジャーナリスト)

クリックすると元のサイズで表示します
五輪開会式の弁当約4000食廃棄問題のデータを報じたTBS『報道特集』

 猪瀬直樹都知事や安倍晋三首相当時の東京オリンピック・パラリンピック(以下、オリ・パラと略記)招致運動で、政府や東京都、JOC(日本オリ委員会)、招致委員会等は「既存の施設を利用できる」と称し、低コスト・コンパクトな大会≠キャッチフレーズに、各国に売り込んだ。
 しかし公益財団法人・東京オリ・パラ競技大会組織委員会(招致委員会の後継組織。以下、組織委)や都・JOC等は、既に3兆円超の金を使っているのが実態である。


 だが、都教育委員会が全公立小中高校に16年度〜21年度、年間35時間程度のオリパラ教育を義務化している、その東京の校長らを始めとする少なからぬ教職員は、オリパラの金の浪費やナショナリズムに目を閉ざし、オリパラ賛美教育≠ノ邁(まい)進している。
 このため「オリパラの負の側面を、児童生徒に伝えてほしい」という思いを込め、本稿を執筆した。

 ◆ 国家主義と贅沢の目立つ閉会式

 7月23日の豪華過ぎる開会式で始まったオリ。8月8日の閉会式(各国や地域の選手団約4500名、IOC=国際オリ委員会等大会関係者約850名、メディア関係約4000名が参加し、夜8時〜 10 時20分開催)を、筆者が以下の内容の映像で見た感想は、国家主義と贅ぜいたく沢に満ちている、だ。
 秋篠宮文仁(ふみひと)氏とバッハIOC会長が入場後、6人の選手(柔道・高藤直寿(たかとうなおひさ)氏や水泳・大橋悠依(ゆい)氏ら)が巨大な日の丸旗を高く掲げながら運び入れた。そして宝塚歌劇団が君が代≠斉唱する中、日の丸旗を掲揚した。続いて、参加した205の国又は地域の旗手を先頭に選手らが入場した(難民選手団の選手も)。
 この後、ショーやパフォーマンス、オーケストラによるアニメ「鬼滅の刃」のオープニングテーマ演奏、和太鼓演奏、ダンサーらの踊り、東京音頭を流し盆踊りと、税金をふんだんに使った豪華過ぎるお遊びが続いた。
 東京から次期開催市のフランス・パリに旗を引き継ぐセレモニーでは、仏国歌が流れる中、仏国旗掲揚。マクロン大統領がライブ映像で挨拶した。
 10時10分頃、女優・大竹しのぶ氏が子どもたちに宮沢賢治作詞作曲の「星めぐりの歌」を教えた。夏休み中とはいえ、夜遅くに子どもを動員するのはいかがなものか。
 最後のバッハ氏の挨拶は、「皇嗣(こうし)殿下、世界中の親愛なるオリンピック関係者の皆様、東京の皆様・・・」で始まった。過剰警備や交通規制で迷惑をかけた市民が3番手で、皇室を最初に持ち上げており、上から目線≠印象付けた。


 ◆ オリパラ選手らの犯罪や不祥事

 閉会式翌日の記者会見で、日置貴之(ひおきたかゆき)・開閉会式統括プロデューサーが「無事に事故もなく閉会式を迎えられ嬉しい。大きな船が目的地までたどり着けたのは、スタッフ全員のいいものを作ろうという思いの結晶だ」と語ったのには、反発の声が多く出ている。
 公になっただけでも、次の@〜Cの事件やルール違反が発生し、組織委の隠蔽体質も露呈。本稿執筆時、まだ開催されていないパラでも、Dの通り選手が傷害事件を犯している。

 @ オリパラ関連施設で使う産業用発電機の設置・管理を担う米国・英国人の電気技師、計4名がコカインを使用。→警視庁が麻薬取締法違反で逮捕し7月13日発表。組織委は「決してあってはならず大会を傷付けるものであり誠に遺憾。会社に対し厳重な注意を行い徹底した再発防止に取り組み信頼の回復に努める・・・」というコメントを出し、IDカード(資格認定証)を.奪した。

 A オリ男子柔道で銀メダルを得た、ジョージアの2選手が試合出場後の7月27日深夜、選手村から観光目的(プレーブックが禁じている)で無断外出。東京タワーのタクシー乗り場にいたのを目撃され、一部メディアが暴いた。→組織委は7月31日の会見で、「この件で選手村の関係者の参加資格を剥奪した」と発表したが、国又は地域名、選手か否か等、詳細は隠蔽した。

 B ヨーロッパのメディア関係者らが7月27日、都内の宿泊先のホテルでグループで飲酒・飲食していた。→組織委はIDカードの一時停止処分に。

 C 7月31日未明(午前2時頃)、選手村関係者が警視庁月島署に「公園で飲酒し騒いでいる選手らがいる」と通報。警察官が駆け付けた時には選手らは姿を消していた(組織委は選手村内の自室での飲酒は認めているが、公共・共有スペースでの飲酒は禁じている)。→組織委は8月3日、酒盛りに関与した選手らの所属する7〜8のNOC(国際的なオリ活動の国内又は地域内組織)に注意した旨、明らかにしたが、国又は地域名は隠蔽した。

 D パラ柔道出場予定で大田区のホテルに滞在していた、ジョージアのズヴィアド・ゴゴチュリ容疑者(34歳。16年リオ・パラ金メダリスト。飲酒し酔っていた)が8月12 日朝、63歳の男性警備員に暴行。肋ろっこつ骨を折る大けがをさせた。→警視庁が傷害容疑で逮捕。組織委は8月16日、「大変遺憾。処分についてはIPC(国際パラ委員会)と連携して検討している」とコメントした。


 ◆ 弁当大量廃棄、ユニフォームは山積み

 7月24日のTBSテレビ『報道特集』は、「組織委が開会式で、スタッフやボランティア用として発注した弁当約1万食のうち、4000食を廃棄していた」と報じた(競技会場でも2〜3割廃棄)。
 組織委の高谷正哲(たかやまさのり)スポークスパーソン(43歳)は、7月28日の記者会見で、「需要を過分に見積もって発注した。多くの食品ロスが生じた事実に対しお詫び申し上げたい」と謝罪した。 弁当を発注したのは開会式3日前の7月20日。組織委が政府や都など5者で「無観客」の方針を決定した7月9日から10日以上経っている。無観客ゆえ大会ボランティア(会場内)・都市ボランティア(街まちなか中で道案内や観光の案内等を行う)とも、ほぼ要らなくなるのだから、「過分に見積もって発注」すれば大量に余るのは、分かり切っていたはず。
 また、8月11日のNHK『おはよう日本』は、「都市ボランティアを採用した全国11の自治体(東京都・埼玉県・千葉県・横浜市等)が、組織委を通じてスポーツ用品メーカーから購入させられたユニフォーム(1セット2万〜4万円。予算総額は17 億円余)1万人分を、配付しないまま山積みにし保管している」(理由は辞退者が相次いだから)旨、報じている。
 この件で組織委は、「余剰在庫が生じた場合の取り扱いは各自治体で検討していることと存じます」と、他人事(ひとごと)のように言っている。
 15年9月の国連サミットで、加盟国が全会一致で採択した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、「30年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標・SDGs」の、17の目標の1番目に「貧困をなくそう」、2番目に「飢餓をゼロ」と明記。
 「持続可能(Sustainable)な五輪を目指す。食品ロス対策を進めるためのレガシーとする」とアピールしていた組織委は、偽善者と言われたくないなら、高額な給与を得ている職員全員でお金を出し合い、弁当大量廃棄分と余剰ユニフォームの費用を弁済するべきではないか。

『マスコミ市民』9月号


※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く

名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ