2021/10/24

ダイバシティと相容れないオリパラ教育の目標「日本人としての自覚と誇り」  Y暴走する都教委
 ◆ 都教委がパラ観戦動員を強行
   〜小池都知事に忖度
(週刊新社会)
永野厚男・教育ジャーナリスト

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堀内詔子新五輪相との10月7日の会談で、オリパラ教育の内容に介入する発言をした小池百合子都知事

 東京都教育委員会がパラリンピック大会への小中高校生等の観戦動員を決定した、8月18日夜の臨時会の詳細が明らかになった【追記1を参照下さい】。

 コロナ禍がオリンピック開催時より更に悪化していた8月16日、東京都と政府、大会組織委員会、国際パラ委員会の代表者による4者協議【追記2を参照下さい】は「パラは無観客」と決定。一方4者協議は、学校連携観戦と称する児童生徒動員は"教育的意義"を理由に【追記3を参照下さい】、「都県をまたがない範囲で希望校・希望者を」との条件付きで、「自治体や教育委員会等の判断で実施できる」としていた。


 都教委臨時会で新井紀子委員は「4者は全てがコロナ感染と五輪に関し判断を間違えてきた組織だと思う」と指摘。
 だが、藤田裕司教育長(60歳)と瀧沢佳宏指導推進担当部長は「4者協議で観戦の道が開かれたのを、我々が閉ざしていいのか」「強い意欲を持つ観戦希望校の強い思いを実現していくのは、我々の役割だ」などと、小池百合子都知事に阿(おもね)る答弁に終始した。

 「子供たちが勇気をもらえる」と観戦賛成メッセージを寄せ欠席した北村友人氏を除く、新井氏らリモート出席の全委員は「反対」を明言。だが「審議事項でない報告事項」との理由で、都教委官僚は希望校の観戦動員を強行した。
 ただ公立校の児童生徒動員数は「オリパラ延期前の19年5月調査の約81万人予定→9月9日開催の都教委定例会で公表の"実績"9568人」と、激減した。

 【追記1】 この臨時会は「傍聴受付時間が夜7時30分〜50分で、午後8時開始」のところ、都教委HPでの公開は当日の夜6時頃だった。直前の告知ゆえ、都庁記者クラブ所属記者等以外、傍聴は困難であり、フリー記者は「1か月半遅れの会議録」を見てからの記事執筆となる。

 【追記2】 4者協議に出席する東京都の「代表者」は、小池百合子氏(69歳)である。その小池氏は10月7日、堀内詔子(のりこ)新五輪相(56歳)との会談で「都と国が連携して東京オリパラ大会のレガシーを発信していく考えで一致した」としており、その際小池氏は、「この後は、いかにレガシーを子どもたちの教育にも伝えていくかだ」と、学校教育の内容に介入する発言をしている。

 【追記3】 オリパラ教育やパラ観戦の"教育的意義"を、都教委は表面的にはどう宣伝し、一方、本音では何を謀んでいるのか?

 9月9日の都教育委員会定例会で、遠藤勝裕教育委員は「共生の概念を身に付けるように」と主張。また都教委指導部官僚が"報告事項"として出した文書は、「支え合うことの大切さ」等に触れた「参加した児童・生徒・校長の肯定的な感想」だけを宣伝した(オリパラ教育や観戦に否定的な意見や感想には一切言及せず)。更に都教委の同文書は、「令和3年度の主な取組」として、「様々な文化に対する理解を深める」など、"diversity=多様性"も宣伝した。

 しかし、都教委の同文書は「5つの資質の育成とオリパラ教育における取組を一層推進し、大会後も長く続く教育活動として発展させていく」とも明記しており、瀧沢佳宏・指導推進担当部長は「レガシーにしていくよう引き続き指導していく」と明言した。

 では瀧沢佳宏らの言う、この「5つの資質」の正体は?

 都の全公立学校に年間35時間ものオリパラ教育実施を義務化してしまった、元凶の『「東京都オリンピック・パラリンピック教育」実施方針』(16年1月14日策定。以下『実施方針』)において、都教委は「5つの資質」の4番目に、「日本人としての自覚と誇り」を位置付けてしまった。『実施方針』は、この「日本人としての自覚と誇り(を持てるような教育を進める)」を3回も繰り返し、「日本人としてのアイデンティティ」なる文言も明記してしまっている。

 外国人児童生徒にも「日本人としての自覚と誇り」を教え込もうというのは、排外的であり、超非常識。"diversity"の宣伝はウソであり、「衣の下から鎧が・・・」という感じだ。

 そして『実施方針』は、「学習・教育活動の進め方」の項には、「学習指導要領に基づき、我が国の国旗・国歌について、その意義を理解させ、これを尊重する態度を育てる」も、ちゃっかり盛り込んでしまっています。

 こう見てくると都教委は、"共生社会""diversity"という一見、"受け"のよいソフトな言葉を前面に出してはいるが、「競技大会終了後も引き続き強制していく」旨宣言したオリパラ教育において、"共生社会""diversity"とは真逆の国家主義、そして卒業式等での"君が代"起立・斉唱強制を主目的にしている、と言える。

『週刊新社会』(2021年10月20日)


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