2021/11/28

根津公子の都教委傍聴記(11月25日)  Y暴走する都教委
 ◆ 「教育デジタル化」のオンパレード (レイバーネット日本)

 今日の公開議題は議案が「都立学校設置条例の一部を改正する条例の立案依頼ほか」(=荒川商業高校や立川ろう学校の改編等に関して)、報告が @「来年度教育庁所管事業予算見積について」、A「東京の特別支援教育の充実に向けて〜東京都特別支援教育推進計画(第2期)第2次実施計画(素案)〜について」、B「『Society5.0を支える工業高校の実現に向けた戦略プロジェクト Next Kogyo START Project』の中間まとめについて」。
 やった感ばかりをアピールする、しかし、理念と実際は違うんじゃないのという報告や発言にうんざり。報告のすべてに「DX」が登場していたことにもぞっとした。DX化とは、デジタル技術による変革。
 非公開議題は議案にも報告にも懲戒処分が挙がっていた。

 @「来年度教育庁所管事業予算見積について」

 主な新規事業の第1に「教育のDX化」を挙げる。


 ・「高校段階における一人1台端末の整備」(主は保護者負担)
 ・「知的障害特別支援学校向けの独自デジタル教材の開発」
 ・「最新のDX機器を導入して質の高い実習環境の構築など、新しい工業高校に向けた取り組み」
 ・「デジタルを活用した児童生徒の心のケア」(=子どもの不安や悩みを早期発見、対応するために大学と連携してメンタル面での不安定さを可視化する質問回答ツールをモデル導入する)
 デジタルで人の代用は不可能だ。子どもたちが心を通い合わせることのできる環境整備、すなわち、教員の超大幅増こそが心のケアに必要なのに、それはせずにDXに走る。

 第2に挙げるのは「共生社会の実現に向けた取組」
 ここに、パラリンピアン等の学校派遣や大使館との交流推進等の実施などを事例とし、「オリンピック・パラリンピック教育のレガシー継承」を挙げる。6年間にわたるオリンピック・パラリンピック教育を、都教委は終わりにしない。
 パラリンピアンというトップを表舞台に立たせることで、共生の思想は育たない。共生社会の実現は、隣国と対話ができる歴史認識を政府が持つことや、国内にある、多々の差別問題に向き合う(向き合わせる)ことから始めるべきだ。

 「共生社会の実現に向けた取組」に「グローバル人材の育成」も挙げる。
 体験型英語学習施設の多摩版の開業(2023年)や中学生の英語スピーキングテストをアチーブメントテストとして本格実施するとともに、結果を都立高校入学者選抜に活用する、と。教育産業に丸投げ。教育予算の使い方として問題だ。

 第3の「『社会の力』を活用した教育内容の充実」では、商業高校における企業との連携の拡大等を挙げる。

 第4の「教員の負担軽減の取組(DX化を含む)」では、「業務支援システムの導入」を挙げる。
 生徒の成績・出欠・保健情報等を一元管理・蓄積する「統合型校務支援システム」の運用を開始するという。マイナンバー制度に通じる、個人情報の流失の危険を思ったが、教育委員からの指摘はなかった。


 A「東京の特別支援教育の充実に向けて〜東京都特別支援教育推進計画(第2期)第2次実施計画(素案)〜について」

 第2期(2017〜28年)の第2次実施計画(2022〜24年)の策定をするので、その素案を示し意見を募るという。意見の募集は12月25日が締め切り。

 「共生社会の実現に向け、障害のある幼児・児童・生徒の自立を目指し、一人一人の能力を最大限に伸長して、社会に参加・貢献できる人間の育成」を基本理念とし、「インクルーシブな教育の推進」「医療的ケア児への支援の充実」「デジタルを活用した教育の推進」をするという。
 「インクルーシブな教育の推進」では、「障害のある子供とない子供が可能な限りともに教育を受けられる条件整備」の必要性を素案は言う。教育委員からも「障害児」について、「障害がある、なしを前提に話が進むのはおかしい」「皆が特別支援を必要とする。障害というのかキャラクターか」という発言があった。しかし、そこ止まり。
 インクルーシブルな教育を方針に掲げるのはいいことだが、現実は特別支援学校を増設し、障害の重さによる分離教育を続ける。共に生き共に学び合うという、インクルーシブルな教育とは逆行しているのが現実だ。
 分離教育を続ける限り、「共生社会の実現」は不可能なのだ。都教委は、優性思想が起こした相模原事件から学び、「地域の学校で共に学ぶ」体制をつくるべき。

 「デジタルを活用した教育の推進」は、「来年度事業予算」に新規事業としてあげられた「知的障害特別支援学向けの独自デジタル教材の開発」と重なる。デジタル教材を使うことによって、「共生社会の実現」や「能力の伸長」が達成できるはずはない。軽く乗らないでほしい。

 B「『Society5.0を支える工業高校の実現に向けた戦略プロジェクト Next Kogyo START Project』の中間まとめについて」

 Society5.0とは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)という(内閣府)。

 中間まとめは、「高度IT社会において東京の成長を支える、魅力ある工業高校の実現に向けて」、「技術革新やDX等に対応できる人材の育成」やその「裾野拡大」を挙げ、そのために企業・高等教育機関・研究機関等との一層の連携を謳う。ユーザー視点やSDGsについても触れる。これらは、有識者会議の提言から出されたとのこと。
 中間まとめの公表を11月下旬に行い、都民から意見を募って2月に確定し公表するという。都民の声を拾って民主的に運営しているように見せても、教育に企業や行政が一層介入することになる。企業型人間の育成に他ならない。

『レイバーネット日本』(2021-11-26)
http://www.labornetjp.org/news/2021/1125nezu


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