2022/1/12

バイデン劣勢、11月の中間選挙に向けて、アメリカ政治はどうなる?  ]平和
 ◆ 四つに分裂するアメリカ政治
   劣勢のバイデン民主党 復活するトランプの共和党
(週刊新社会)
アメリ力政治社会運動ウォッチャー 佐野修吉

 米・バイデン大統領が誕生して一年が経とうとしている。手に汗握る接戦でトランプを倒し、その後のジョージア州上院選の決選投票で、かろうじて上下院を制したが、秋以降その不安定さを増す状況に置かれている。
 アメリカの政治地図は、従来は民主党と共和党にきれいに色分けされていた。ところが今や、民主党穏健派と進歩派(左派)に、共和党伝統的な保守派とトランプ支持派四つの勢力に分断されている。その四つの勢力がせめぎあいと協調を探るなか、今年11月には中間選挙が予定されている。

 ◆ 混迷するバイデンの投資計画


 バイデン大統領は5月に8年間で2・25兆ドルの「インフラ投資計画」を提起し、民主党の穏健派と共和党の保守派を中心に超党派合意を優先した。その結果、規模を1・2兆ドルに減額して、8月に上院で承認された。
 しかし、この合意案に下院の民主党左派が反発したため、家計支援や教育支援、ヘルスケア支援、気候変動対策などの「ビルド・バック・ベター(より良き再建)」計画との抱き合わせに向けて下院での調整が続いた。
 その結果、11月5日になってようやく「インフラ投資計画」は下院でも承認された。
 残る「ビルド・バック・ベター」計画は、約2兆ドルに増額して賛成多数(共和党が全員、民主党は1人が反対)で下院を11月19日に通過した。
 しかし、上院(民主50、共和50)では民主党のマンチン議員1人の反対表明で、12月16日になって年内成立を断念するにいたった。


 ◆ 共和党が支持挽回

 就任当初54〜55%だったバイデンの支持率は夏から徐々に下がり、11月には41%まで落ち込んだ。ほぼそれと連動する形で、民主党と共和党の支持率も11月に逆転し、12月には共和党が2〜3%優勢になっている(リアル・クリア・ポリティックス)。
 それを強く印象づけたのが11月に行われたバージニア州知事選挙であった。同州は最近民主党が強くなっていて、現職知事も民主党だった。
 共和党のヤンキン候補は教育、税金、治安など「食卓の話題」、特に学校教育での「批判的人種理論(CRT)」禁止を強く訴えた。
 CRTは「人種差別の根源は社会の仕組みや法律などに組み込まれている」とする理論で、進歩的な教師らが学校教育に浸透を図っているとの批判を保守層が強め、その是非が全米の論争となっている。
 この教育と人種問題をからめた主張によって、トランプ氏に不信感が拭えない無党派層と同時に、トランプ人気が根強い共和党支持層を取り込むことに成功したのだ。(中間選挙で注目されるであろう「批判的人種理論(Critical Race Theory)」については、別稿で詳しくレポートしたい)

 さらに民主党への批判が力を増しているのが、「治安」問題である。昨年のブラック・ライブズ・マター運動で警察の暴力への批判が高まったが、民主党進歩派の警察批判に対する反動がここでも生じている。
 特に都市部における犯罪の増加に、白人層だけでなくヒスパニックや黒人層も不安を覚え、共和党への支持が強まっているのだ。


 ◆ トランプの復活

 10月には、アメリカのコネチカット州にあるキニピアク大学の調査が注目された。それによると、トランプ前大統領の再立候補を望むかという問いに対しては、全体では58%が反対だったが、共和党支持者の78%は「望む」と回答した。前回の5月の調査では66%だった。
 しかもトランプは、「反トランプ派」の選挙区に次々と自身に忠実な候補者を送り込み、トランプ氏の弾劾に賛成票を投じた下院議員2人を再選不出馬表明に追い込んだ。そして、指名争いになれば他の候補を「たたきのめす」と宣言しているのだ。


 ◆ 着実に前進する進歩派

 民主党内の進歩派は、下院における最大会派の力を維持し、前述のようにバイデンの「超党派合意案」を押し返し、「ビルド・バック・ベター」計画を民主党内からの反対を1人にとどめて可決させ、年明けの上院での承認を迫っている。
 一方、アメリカ国内では労働運動が活性化している。日本ではアマゾンの組合結成の失敗が報じられたが、全米自動車労組(UAW)が労使協調から闘う役員体制へと変わるなど大きく変貌しつつあり、次々とストライキに入り成果を上げている。
 また、学生運動では4500万人の学生ローン支払い停止を2月1日からさらに3カ月の延長を勝ち取った。
 進歩派は、これらの草の根からの運動を背景に、11月の中間選挙での着実な前進を目指している。(さの・しゅうきち)

『週刊新社会』(2022年1月12日)


※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く

名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ